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B社

パートタイム労働者雇用管理改善マニュアル・好事例集(製造業)より

優秀な人材の確保・定着並びに戦力化を目指し、研修及び福利厚生は正社員とパート社員で同等、今後はパート社員にも退職金制度を導入予定

2.賃金・労働時間
3.教育訓練等の能力開発
4.人事評価
5.キャリアアップ・
正社員転換推進措置
6.福利厚生・安全衛生
8.職場のコミュニケーション等
所在地 大阪府 業種 印刷・同関連業
従業員数 約300名 パート労働者数 約175名
ポイント
  • パート社員の定着やモチベーション向上のため退職金制度を導入予定。
  • 正社員と同じ自己評価表を用いて、年に2回評価を実施。
  • 正社員へステップアップできる仕組みあり。
  • 全従業員参加型の改善提案制度あり。
  • 研修及び福利厚生は正社員とパート社員で同等。

(1)企業概要・人員構造

同社は、大阪府内24か所、大阪府外の西日本エリア12か所で印刷業を展開している。具体的には、官公庁や地方自治体、大手企業からの受注の他、インターネットや各店舗での直接受注によるプリント業務を行う。

本社勤務の間接部門担当者は約50名であり、大半がパート社員である。また、各店舗で働く現場従業員は約250名であり、内訳は正社員約125名、パート社員約125名となっている。

(2)取組の背景

営業は店舗ごとに行うことから、現場従業員のレベルが業績に直結する。そのため、正社員だけでなくパート社員にも高いスキルが求められる。また、多店舗展開を行うに当たり、優秀な人材の確保及び戦力化は不可欠である。

こうした中、労働時間の長さに関わらず高いスキルを発揮してもらうためには研修制度等の充実の他、処遇面での工夫も必要と考え、パート社員の処遇改善に力を入れている。

(3)取組の内容

パート社員に対する退職金制度の導入(予定)

処遇改善のために時給額の引上げを検討したが、配偶者の扶養範囲内での勤務を希望しているケースもある。そこで、正社員に導入している中小企業退職金共済をパート社員にも導入するよう検討を進めている。具体的な導入時期は2014年7月を予定している。

これにより毎月の手取り額が増えるわけではないが、将来への積み立てが行えるため、パート社員のモチベーションアップにつながるだけでなく、定着率の向上も期待できる。

評価制度の導入

正社員・パート社員共通の自己評価表を用いて、年に2回評価を実施している(図表1)。まずはパート社員が自己評価を行った上で、所属長と面談を行う。そして所属長は面談後、評価を行い、役員に提出する。

パート社員には年に1回昇給の機会があるが、昇給の有無は、当該評価結果に加え、ノルマの達成度合い、社内研修の成績を総合的に勘案して判断している。

正社員へのステップアップが可能

パート社員から正社員へ転換できる制度があり、年に1回提出が義務付けられている自己申告書や所属長との評価面談時に、正社員に転換したい旨を申し出ることができる。

パート社員から正社員転換の希望があった場合、会社側は会社業績やパート社員本人の能力(昇給判断要素と同様の要素で判断)に基づき転換可否を決定することとなる。毎年2名程度の転換実績がある。

自己評価表(一部抜粋)

自己評価表(一部抜粋)

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正社員と同様の研修を実施

メーカー研修をはじめ、技術面での研修を開催するときは、正社員だけでなく全パート社員に参加を呼びかけている。また、グループ内に研修を担当する会社を設立し、研修企画から研修内容のフィードバックまで行っている。技術面以外のコミュニケーションや接客に関する研修は同社が実施しており、これも正社員・パート社員ともに受講できる。

全従業員参加型の改善提案制度を導入職場の改善提案制度は全従業員を対象としており、改善に向けた提案に加えて職場で生じたヒヤリハットやクレーム処理など「ちょっとしたこと」の報告を徹底している。年間500件以上の報告が出され、「お客様ポイントカードの有効期限の延長」など、パート社員の改善提案が実現された案件も少なくない。

福利厚生面で正社員とパート社員は同等

福利厚生面で、正社員とパート社員は同等である。例えば、希望者が参加する運動会などの福利厚生行事は、パート社員も対象としている。また、福利厚生行事の費用の会社負担額は、正社員とパート社員とで同額である。

(4)成果と課題

これらの取組の具体的な成果として、ほとんどのパート社員の勤続年数が7年以上であることが挙げられる。また、パート社員が各種研修によって高度なスキルを身に付け、高いモチベーションを持ちながら活躍していることが、業績に好影響を及ぼしている。

今後は、パート社員の退職金について明確に制度化していくことを検討している。分かりやすい制度設計を行い、これを明示することで、パート社員のモチベーションや帰属意識がさらに高まり、その結果として業績の向上がもたらされることを期待している。

なお、現在の課題は未経験者の育成である。経験を要する職務であることから、一人前に業務を遂行するためには1年以上のOJTを続けることが必要となる。効率的に技術習得ができるように業務の標準化、業務に関するルールブックの作成を進めているところである。

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