ここから本文です

(株)ハルナ

パートタイム労働者雇用管理改善マニュアル・好事例集(製造業)より

事業所内保育所の設置をはじめ、ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた取組を積極的に行うことで、パートタイマーの定着率向上を図る

5.キャリアアップ・
正社員転換推進措置
6.福利厚生・安全衛生
7.ワーク・ライフ・バランス
8.職場のコミュニケーション等
所在地 大阪府 業種 プラスチック製品製造業
従業員数 49名 パート労働者数 7名
ポイント
  • 仕事と子育ての両立をはじめ、パートタイマーのワーク・ライフ・バランスの実現を積極的に支援。
  • 福利厚生は正社員とパートタイマーで同等。
  • パートタイマーを含めた全従業員で職場改善に取り組む。

(1)企業概要・人員構造

同社は昭和47年にプラスチック金型材の販売会社として創業した。その後、販売だけでなく開発設計製造まで事業を拡大し、開発型企業への転換に成功した。その中でも、国際特許を出願し2002年から発売を開始した「ECOMAK」は、シリンダー内のガスを抜くことで製品の加工品質を高めるとともに、製品に残留する環境ホルモン等を減少させることができるため、業界の安定した支持を得ている。

本社は大阪にあり、設計・開発・製造は大阪と岡山2か所の工場で行っている。また、群馬県に関東の営業拠点を設けている。

全従業員49名中、正社員は38名で、管理的な仕事や事務職、現場作業責任者として従事している。正社員以外には「パートタイマー」という雇用区分がある。この中には、短時間勤務の者が7名、フルタイム勤務の者が4名いる。なお、短時間勤務者は全員が子育て中である。パートタイマーは短時間勤務であってもフルタイム勤務であっても、適用される制度等に違いはない。

判断が必要な作業は正社員が担うこととなっていることから、パートタイマーは出荷業務、品質管理、検査、検品等のルーチンワークが中心であり、正社員と責任範囲が異なる。

定年は、パートタイマーも正社員と同じく65歳で、70歳まで継続雇用することを制度化している。

パートタイマーの給与は時給制で、昇給・賞与(寸志)がある。退職金は正社員にもパートタイマーにも支給していない。また、ワーク・ライフ・バランスを重要視しているため、残業はほとんどない。年次有給休暇は、採用直後から4~9月度入社の者には10日、10月度入社の者には6日など、採用月に応じて付与している(翌年4月1日には前年度入社した全員に11日が付与される。)。

(2)取組の背景

現在の社長は女性であり、先代社長が急逝した後に社長に就任し、4名の子どもを育てながら会社経営に邁進してきた。この実体験から、女性が社会で働くことの大変さを肌で感じるとともに、優秀な女性を積極的に活用することが企業を成長発展させていくために不可欠であると確信し、ワーク・ライフ・バランスに係る取組を始めた。

この取組を通じて、子育て中の女性、母子家庭の女性など、多様な事情を抱えていても大切な仲間であるという意識が生まれ、従業員全員が高いモチベーションを持ち、会社のために働く職場風土の醸成を目指している。

(3)取組の内容

事業所内保育所の設置

以前、育児休業取得後に職場復帰しようとした女性従業員が、1歳未満の子どもを預ける場所がなく、会社を辞めざるを得ない状況に陥ったことがあった。これを機に、2009年に岡山県の企業内非認可施設「第1号」として、事業所内保育施設(つくしんぼ)を設置することとなった。

同保育所は、子育て中の従業員であれば正社員、パートタイマーを問わず利用することができる。現在は、正社員3名、パートタイマー5名が利用しており、常時、保育士3名で8~10名の乳幼児を預かっている。保育料は正社員、パートタイマーで同額であり、1人目2万円、2人目以降は1万円に設定している。

なお、この実績は岡山県から認められ「おかやま子育て応援宣言企業」として岡山県知事賞を受賞している。また、「女性が働き続けられる社会の実現に向けて取り組む会社」として、各種マスコミ等からの取材も受けている。

ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた各種取組の展開

ク・ライフ・バランスの実現に向けた制度は、以前よりすべて正社員とパートタイマーの両方が利用可能であるが、2010年7月よりワーク・ライフ・バランスのさらなる向上を図るため 職場意識改善委員会を設置した。同委員会委員は社長や現場の管理職数名であり、会議は年2~3回開催している。

具体的には、時間外労働の削減・年次有給休暇取得率向上のための施策立案、ワーク・ライフ・バランス実現に向けたアイデアの募集等に取り組んでおり、継続的に各種制度の見直しも行っている。また、この活動内容を従業員に周知することで、従業員が主体的にワーク・ライフ・バランスに取り組むことを会社として積極支援する姿勢をみせている。

例えば、2010年7月には半日単位の有給休暇制度を導入した。半日単位の有給休暇は、各人の有給休暇日数のうち7日の範囲内(計14回まで)で取得可能であり、学校行事への参加、通院などに利用されている。これによってパートタイマーの年次有給休暇取得率は平均70~80%となり、正社員に比べて高い水準になっている。

さらに、通常の改善活動とは別に、作業の効率化による生産性の向上や時間外労働の削減のため、上司がパートタイマー全員の意見やアイデアを日々収集し、改善案を検討している。改善案や成果については、社内報や食堂に掲示することで周知している。

正社員への転換の仕組み

パートタイマーから正社員へ転換する制度を就業規則に規定している。具体的には、パートタイマーの意向及び上長の推薦があった場合に、会社が承認すれば転換することが可能となる。

現在までの転換実績は10名であり、うち1名は課長に昇格している。

正社員と同様の福利厚生

パートタイマーは全員社会保険に加入している。また、健康診断、食堂の利用など、福利厚生はすべて正社員と同等である。

また、従業員間の親睦を図るために結成した「ハルナ会」には、正社員だけでなくパートタイマーもメンバーとして参加している。月500円の会費を徴収し、定期的にレクリエーション(焼肉パーティ等)を実施することで、正社員とパートタイマーの垣根を越えたコミュニケーションの活性化を図っている。

職場改善に向けた取組

従業員からの意見要望は「苦情・意見・要望受付窓口(人事総務課)」を設置の上、受け付けている。同窓口は全従業員に周知しており、パートタイマーからは時間外労働や職場の人間関係、会社のルール等についての質問が多く出される。これら意見や要望は、課長に直接伝わる仕組みになっている。

また、パートタイマーが社長に対して直接相談できる場もある。社長は2~3か月に1回は個人面談のために現場を訪れ、パートタイマーの健康状態を確認するとともに、子育てや家庭のトラブルの相談にも乗っている。このような会社の雰囲気が正社員やパートタイマー、経営層間の信頼関係を強め、共に安心して仕事に集中できる職場環境をつくっている。

(4)成果と課題

ワーク・ライフ・バランスに係る各種取組により、子どもの体調や通院などの状況に併せて遅刻・早退することを全員が互いに認め合い、協力し合う風土を醸成することができた。事業所内保育所はパートタイマーの定着率向上に寄与しており、子育て終了後にはフルタイム勤務を希望するパートタイマーがほとんどである。

平成25年3月の契約更新時には、パートタイマー全員を有期雇用から無期雇用へと転換させている。以前よりパートタイマーであっても会社の戦力として期待し、会社運営に積極的に参加できるようにしていたが、これからさらにパートタイマーのモチベーション向上及びキャリアアップが図れるものと考えている。

なお、パートタイマーに対する人事考課は、公正さを担保し、説明できる体制が整備されていないとモチベーション向上においては逆効果になるおそれもあるため、現在は実施していない。しかしながら、今後はパートタイマーのさらなるキャリアアップのためにも、社内外の講師によるOffJTを含めた教育訓練カリキュラムを準備し、正社員転換制度と組み合わせながら人事考課制度を整備していくことを検討している。

一覧へ戻る