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株式会社K
研修の充実と明確な評価基準・賃金制度の整備による人材の確保
1.労働条件の明示、説明
2.賃金・労働時間
3.教育訓練等の能力開発
4.人事評価
5.キャリアアップ・
正社員転換推進措置
正社員転換推進措置
所在地 | 大阪府 | 業種 | 小売業 |
---|---|---|---|
従業員数 | 約5,500名 | パート労働者数 | 約4,500名 |
事業概要 | スーパーマーケット事業、⾷品製造 |
(1)取組の内容
1. 労働条件の明示・説明
- 採用が決まると、各店舗から契約上の必要事項を記載した「雇用契約書」を渡し、内容を口頭でも説明する。採用となったパート社員は「雇用契約書」を持ち帰り、署名・捺印をし、本社で研修を受ける際に持参する。研修では、人事部の担当者から、契約書の内容やどのような条件で働いてもらうか等について改めて説明をする。
3. 教育訓練等の能力開発
- 採用されて短期間でパート社員が退職する理由のひとつが顧客対応での戸惑いからのクレームやお叱りであったことから、実際に店舗で接客業務に就く前に、本社の研修センターで十分な研修(終日研修)を行うこととした。
- 研修は毎月1日と16日の2回行っており、半日は、全パート社員共通の業務に関する研修で、残りの半日は鮮魚や精肉、レジなど、配属される部門ごとの実務研修となっている。例えば、鮮魚部門で採用された人は、魚の捌き方などを実践的に学ぶ。研修は専門のトレーナーが指導し、技能のレベルを細かくチェックし、「ここはできる」「ここはまだ十分ではないので、もう少し」など、店舗に報告する。
2. 賃金/4. 人事評価・キャリアアップ
- 評価基準を設定し、「職責ランク」に基づいた賃金体系を整備し、その体系に応じた時給を支払っている。また、キャリアアップと賃金の仕組みに関する管理者用の評価基準の冊子を改定するとともに、パート社員向けにも簡易版をつくり、パート社員へ配布している。
- パート社員は「スタッフ社員(一般)」、契約社員は「スタッフ社員(総合技術)」という名称で区分される。パート社員の職責ランクを上げるには、社内検定での資格取得が必要要件になっている。
- パート社員の「職責ランク」は5ランクからはじまり、社内検定の「初級」に合格すると4ランクに上がる。一般職は3ランクまでで、社内検定「上級」に合格すると2ランク(専任職)となる。最も高い1ランクの専任職は、「非常に高い専門スキルや作業ノウハウを有する」ことが条件となっている。
- 社内検定は、部門ごとに知識試験と技術試験を実施している。
- 職責ランクは社内検定資格の取得に併せ人事評価を反映している。人事評価は行動評価で、業務に必要な項目を5段階で評価するが、自己評価に加え、上長2名による評価を行う。
5. 正社員転換推進措置
- 登用試験に合格することで、パート社員(スタッフ一般)から契約社員や正社員へと転換できる。
- パート社員から契約社員になるためには、「面接」を受け、「課題レポート」を提出し、「職責ランクが3以上」であること、「登用後1年以内に社内検定資格「上級」を取得できる見込みがある」こと、「勤務地に制限がないことを了承する」ことなどが条件となる。
- パート社員から正社員になるためには、「面接」と「筆記試験」の他に、「職責ランクが3以上」であること、「将来的に管理職になる意欲があり、その見込みがある」、「登用後1年以内に部門長候補者研修を修了できる見込みがある(自信がある)」、「職務と勤務地に制限がないことを了承する」ことなど条件がある。面接はいずれも社長と役員が行う。
- 登用試験は社内、店舗内にポスターを掲示して告知し、年に2回実施している。
- 登用時期は毎年4月と10月としている。
(2)取組の成果
1. 労働条件の明示・説明
- 「雇用契約書」のやりとりを店舗だけで行っていた時は、店舗によって説明の内容に差が生じていた。また、社会保険の手続き等も十分な説明ができず、書類のやりとりや手続きに余計な時間がかかっていた。しかし、研修時に人事部が改めて説明することで、店舗間でばらつきのあった説明の内容が統一され、また、書類の手続きもその際に一括して行なうため、時間短縮につながり、各店舗の負担も軽減された。
3. 教育訓練等の能力開発
- 研修でのパート社員の技能レベルをトレーナーが各店舗に報告することで、新人のパート社員に無理な仕事をさせることがなくなった。また、技能レベルに合った仕事から始められるため、顧客からのクレーム等も少なくなることが期待される。また、自分の技能で足りないところや、身につけなくてはならない技能を確認できるため、パート社員のやる気にもつながる。
4. 人事評価・キャリアアップ
- 評価の基準が明確になり、何をすればランクが上がるかが明確になったことで、パート社員の仕事に対するモチベーションも上がっていくことが期待される。
5. 正社員転換推進措置
- パート社員からの応募者は83名となり、その中から11名が正社員に、契約社員に36名が登用された。