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イオンビッグ株式会社

平成29年度パートタイム労働者活躍推進企業表彰受賞企業事例集より

平成29年度「パートタイム労働者活躍推進企業表彰」
奨励賞(雇用環境・均等局長奨励賞)

職務や能力に応じた待遇制度を運用し、教育訓練や多様な正社員区分で正社員転換を推進。コミュニケーション向上の施策で働きやすい職場環境に寄与。

2.賃金・労働時間
3.教育訓練等の能力開発
4.人事評価
5.キャリアアップ・
正社員転換推進措置
6.福利厚生・安全衛生
7.ワーク・ライフ・バランス
8.職場のコミュニケーション等
所在地 愛知県 業種 小売業
従業員数 4,655名 パート労働者数 4,203名
事業概要 ディスカウントストアチェーンの運営
ポイント
  • 年2回の人事評価を実施し賃金や資格登用制度に反映。
  • 職務レベルや能力評価、職位等に応じた多要素で時間給を構成。
  • 積極的に正社員転換を推進し、働き方を選択できる正社員区分でキャリアアップを支援。
  • 「イオンの数字」でコミュニティ社員にも数値管理教育を徹底。
  • コミュニティ社員の定年年齢を引き上げ、高齢者の働きやすい環境も構築。

審査委員はここを評価

従業員の9割を占めるパートタイム労働者を人事評価表に基づき着実に評価、その結果を「部門給」、「資格給」、「地域給」、「職位給」、「能力給」等7つの要素からなる時給に反映することで、処遇への納得度を高めています。

1. 企業概要・人員構造

同社は、「ザ・ビッグ」等のディスカウントストアを、東海地方を中心に26店舗運営している。各店舗では、食料品、衣料品、日用品等を販売している。

同社のパートタイム労働者は「コミュニティ社員」と呼ばれる。コミュニティ社員は、社会保険加入要件を満たす勤務時間の「長時間コミュニティ社員」と、社会保険加入要件を満たさない勤務時間の「短時間コミュニティ社員」に分かれており、短時間コミュニティ社員がコミュニティ社員の約7割を占めている。

コミュニティ社員は、正社員が発注業務や数値管理といった管理的業務に従事し、給与等級制度による月給制で賃金が支給されるのに対し、6か月の有期雇用契約に基づく時間給制で、各店舗においてレジ打ちや接客、食品加工、品出し等の業務に従事している。また、正社員には賞与や退職金が支給される一方、コミュニティ社員に対しては、正社員と異なるものの賞与は支給されるが、退職金はない。さらに、正社員には転居を伴う転勤及び転居を伴わない店舗間の異動があるが、コミュニティ社員は各店舗で採用され、店舗間の異動もない。

なお、同社のパートタイム労働者には、コミュニティ社員(3,543名)の他、学生を対象とした「スクールアルバイト」(645名)と70歳以上の「シニアアルバイト」(15名)の区分があるが、後述する各施策はコミュニティ社員のみを対象としたものである。

2. 取組の背景とねらい

「コミュニティ社員あっての会社」という経営層の方針により、設立当初よりコミュニティ社員のモチベーションの向上と待遇の改善を図るとともに、教育研修を充実させステップアップできる道筋を作ることが必要であると考え、コミュニティ社員が活躍できる環境づくりに取り組んできた。

また、コミュニティ社員の声を十分に聴取できていないことや、経営施策がコミュニティ社員に浸透していなかったことを課題として認識し、コミュニティ社員とのコミュニケーションを充実させる取組もスタートさせた。

3. パートタイム労働者の活躍推進のための具体的な取組

資格登用制度で職務レベルに応じた待遇を実現

コミュニティ社員は、職務レベルに応じて「職務Ⅰ」から「職務Ⅲ」の3つの資格等級に区分される。入社時は「職務Ⅰ」からスタートし、各店舗において店長と副店長による面接試験に合格することで上位資格へ登用される。この面接試験では、①同社の行動規範や経営理念、売上高等の店舗経営に関する数値をどれほど理解・意識しているかを問う口頭審査と、②あらかじめコミュニティ社員が記入してきた業務改善シートに基づく業務改善実績の審査がある。さらに、後述する人事評価結果も総合的に勘案した上で、上位資格に求められる水準を満たすことができると店長・副店長が判断した場合に、上位資格への登用が決定する。

なお、当該資格登用制度は年2回(契約更新時期である2月と8月)実施され、上位資格へ登用された者には登用試験合格証が手交され、次期契約更新時に各人の時間給を構成する要素のうち、「資格給」(後述)が改定される。

職務Ⅲへの登用試験を受験するコミュニティ社員は正社員を目指す者も多く、登用試験に向けて店舗や事業部が勉強会を実施することで、結果的に正社員転換への支援にもなっている。また、コミュニティ社員の職務レベルを底上げできるよう、本部や店舗でも上位資格等級を目指すようコミュニティ社員へ声掛けをしている。

職務ごとの期待するレベル

職務Ⅰ ・入社時のレベル
職務Ⅱ ・持っている知識を幅広い業務に適用できる
・職務Ⅰの作業の質・スピードがあり、幅が広がる、イレギュラー対応ができるレベル
職務Ⅲ ・持っている知識を指導や改善提案として応用できる
・教育ができ、お客様の“不”への対応・改善提案及び実行ができるレベル

登用試験合格証

登用試験合格証

年2回の人事評価を実施し賃金や資格登用制度に反映

同社では、コミュニティ社員について定期的な人事評価を実施して、結果を給与と賞与や前述の資格登用制度に反映している。

農産、水産といった部門ごとに作成されている人事評価表には、「基本的な接客対応」、「返品・返金対応」といった評価項目があり、まず本人がこの評価表を用いて自己評価を行った後、主任(正社員)による一次評価、副店長による二次評価(主任がコミュニティ社員の場合は、一次評価が副店長、二次評価が店長)を経て評価点が決定される。評価は項目ごとに「よくできる」、「ふつう」、「いま一歩」の3段階で評価され、一次評価と二次評価においては、コミュニティ社員の資格等級のレベルに照らし合わせた評価となる。例えば、職務Ⅱのコミュニティ社員における上司評価(一次評価と二次評価)の場合は、職務Ⅱに求められるレベルに照らし合わせ、「よくできる」(4点)、「ふつう」(3点)、「いま一歩」(2点)で評価される。

各人の評価点が出ると、店舗内の各部門によって評価結果が偏らないよう、店長と副店長による協議が行われ、店舗ごとの相対評価によりAからEまでの5段階の総合評定が決定される。

総合評定の結果は、各人の時間給を構成する要素のうち「能力給」(後述)に反映される。評価結果が悪く「能力給」が下がれば、その差額を一旦「調整給」として支給し、直ちに減給しない運用としているが、過去、そのようなケースは生じておらず、降給となった例はない。

なお、正社員は目標管理による人事評価が行われるため、コミュニティ社員の人事評価表は正社員には適用されない。

コミュニティ社員の人事評価表

コミュニティ社員の人事評価表


資格等級ごとの評価点

資格等級 評価点
1 2 3 4 5
職務Ⅰの
レベルとして
いま一歩 ふつう よくできる
職務Ⅱの
レベルとして
いま一歩 ふつう よくできる
職務Ⅲの
レベルとして
いま一歩 ふつう よくできる


職務レベルや能力評価、職位等に応じた多要素で構成される時間給

コミュニティ社員の賃金は時間給であるが、以下の図のように、複数の要素で構成されている。これにより、従事する仕事内容や職務レベル、働きぶり等をきめ細かく反映できる賃金体系の構築が可能となっている。

コミュニティ社員の時間給構成

コミュニティ社員の時間給構成


優秀なコミュニティ社員は役職に登用、よりやりがいのある仕事を目指す

意欲のある優秀なコミュニティ社員は、コミュニティリーダーとその上位役職であるコミュニティ主任に登用される。登用は、当該部門で正社員が欠員し人員が必要な時等に随時行われ、登用に際しては人事評価結果と、本部が店長に実施するヒアリングにより本部が決定する。資格等級の要件はないが、結果的に職務Ⅲのコミュニティ社員が任命されている。

コミュニティリーダーやコミュニティ主任になると「職位給」が支給され、現場業務の他、より正社員に近い仕事である発注業務や数値管理等に従事する。

これにより、正社員のように転勤やフルタイム勤務ができないコミュニティ社員であっても、よりやりがいのある仕事を目指すことができる。子育てが一段落するなどによりフルタイム勤務や転勤が可能になったコミュニティリーダーや主任から正社員登用制度により正社員に転換する者もいる。

コミュニティ主任、コミュニティリーダーからの正社員転換人数

転換人数内訳
2015年度 コミュニティ主任からの転換:2名
2016年度 コミュニティ主任からの転換:4名
コミュニティリーダーからの転換:1名
2017年度 コミュニティ主任からの転換:4名
コミュニティリーダーからの転換:2名

※2017年11月現在、8名のコミュニティ主任と23名のコミュニティリーダーが活躍している。


徐々に正社員に近い仕事も可能とする働き方

徐々に正社員に近い仕事も可能とする働き方

積極的に正社員転換を推進、働き方を選択できる正社員区分でキャリアアップ支援

同社はコミュニティ社員の正社員転換にも力を入れている。年1回、正社員転換のための登用試験が実施されるが、①勤続1年以上、②登用後は会社のニーズを満たす配置転換、時間帯の働き方ができること、③主任(正社員)を目指す向上心があること、④各部室長・店長の推薦があること、の4つの要件を満たす長時間コミュニティ社員は正社員登用試験を受験できる。

正社員登用試験については入社時の集合研修において案内している他、登用試験の時期になると、試験案内が掲載された社内報をコミュニティ社員が必ず目にする場所へ掲示したり、社内のイントラサイトではトップ画面に案内を表示したりすることで、コミュニティ社員全員へ周知している。


登用試験を案内する社内報

徐登用試験を案内する社内報


同社では、正社員であっても転勤や異動を限定した働き方が選択できるよう、①N社員(ナショナル:全国転勤あり)、②R社員(リージョナル:エリア内の転勤あり)、③L社員(ローカル:転居を伴わない異動あり)の3つの正社員区分を設けている。コミュニティ社員が正社員に転換する際は、これら3つの中から本人の希望により転換後の区分を選択することができる。これにより、家庭の事情等で転居を伴う転勤ができないコミュニティ社員でも、正社員にキャリアアップすることが可能となっている。

登用試験は、筆記試験と面接試験からなる。筆記試験で一般常識や数値管理の知識を問い、面接試験では社長と人事部長が面接官となり面接を行う。正社員登用試験に応募するのは、比較的若い年齢層と育児が一段落した年代の者が多い。2016年は50名が応募し17名が転換した。正社員登用試験への応募に際し資格等級は要件となっていないが、合格者は職務Ⅲの者が多い。


選択できる正社員転換制度

選択できる正社員転換制度


正社員転換後の待遇については、有期雇用契約から無期雇用契約へ、賃金が時給制から月給制に変わる。正社員に求められる職務や責任の程度はコミュニティ社員の最上位職であるコミュニティ主任より大きいとする位置付けから、給与等級は正社員等級の最下位等級(高卒新入社員等級)からスタートするが、職務Ⅲのコミュニティ主任よりも時間当たりの賃金単価が上がり、退職金の支給対象にもなる。

「イオンの数字」でコミュニティ社員にも数値管理教育を徹底

同社では正社員の昇格のために受講必須となっている原価や売価といった数値管理に関する教育研修を「イオンの数字」と呼んでおり、正社員のみならず、コミュニティ社員も希望者はその勉強会に参加することができる。勉強会は2か月~3か月おきに1回、毎回1日かけて地域ごと・営業部ごとに事業部長を講師として開催され、勉強会中の給与はもちろん、参加のための交通費も支給し、積極的な受講を後押ししている。

「イオンの数字」は、従来正社員のみを対象とした教育研修であったが、コミュニティ社員から数値管理についての質問が多く、またコミュニティ主任や正社員を目指す上で、売上個数以外の数値管理への理解を深めるための支援が必要であるとの声があり、2016年よりコミュニティ社員も「イオンの数字」勉強会に参加できるようにした。2016年は75名の受講者のうち18名がコミュニティ社員であった。参加したコミュニティ社員からは好評で、「学んだ数値管理の知識を今の職場で実践したい」との感想も出ており、数値管理のノウハウが十分に発揮できる正社員や、さらに正社員の中でも高い数値管理能力が求められる正社員主任職を目指すための動機付けにもなっている。

OJTとOff-JTを組み合わせた教育体制

同社に入社したコミュニティ社員には、新規入社者集合研修を受講させている。新規入社者集合研修では、社内のルールや経営理念、懲戒事由、人権教育に至るまで教育し、正社員転換制度についても周知している。

また、地域ごと・営業部ごとに担当部門のスーパーバイザーが講師となり「畜産技術セミナー」、「水産技術セミナー」等の実務に直結する技術教育を、年に1回、Off-JTの形で行っている。これらのセミナーは初級編、中級編といったレベルに分かれ、複数年度にわたってステップアップできる研修体系となっている。研修中の給与や研修場所までの交通費も支給される。また、「鮮魚士」や「デリカマスター」等の社内資格が用意されており、技術教育は、これらの社内資格取得に向けた研修としても位置付けられている。コミュニティ社員も社内資格を取得でき、取得すると各人の時間給を構成する「調整給」として資格手当が支給される。

その他、職務Ⅱや職務Ⅲへの上位の資格等級に登用された者への意識付け教育を行う「資格別教育」や、フォローアップ研修では前述の新規入社者集合研修の他、コミュニティ主任を対象とした意識付け教育を行う「主任塾」等のOff-JTが用意されている。

Off-JTと組み合わせ、店舗では、入社間もないコミュニティ社員を対象に勤続年数の長いコミュニティ社員等によるOJTが実施される。OJTでは、「食品」や「店舗後方」等のカテゴリーごとに、全社共通の「学習項目一覧表」が用意され、商品の陳列方法、ゴミの出し方、領収書の書き方といった具体的なスキルを細かくチェックでき、OJTの目安としている。

優秀従業員表彰にコミュニティ社員の部を新設、働きぶりを表彰

従業員表彰制度は、業績向上に貢献した従業員、または業務改善等で功績顕著な従業員を年1回(毎年3月頃)表彰する制度で、各店長が業績貢献、業務改善提案等の実績から店舗推薦者を選出した後、各営業部長が行う最終選考を経て決定するものである。

創立以来、各店舗より優秀な社員を選出し、全店舗で優秀社員を選定して、全店舗合同の表彰式を開催していたが、各店舗から選出されるのは正社員ばかりであったため、コミュニティ社員の働きぶりも表彰されるべきという考えから、2016年よりコミュニティ社員の部を新設、各店舗から必ず1名以上の優秀なコミュニティ社員を選出することとした。

頑張っているコミュニティ社員にスポットを当てて、正社員への転換等活躍推進の後押しをすることがその目的の1つである。

表彰されると、商品券が贈呈され、また社長をはじめ会社の幹部との、ホテルでの食事会に招待される。この食事会はコミュニティ社員に大変喜ばれており、励みになっている。

コミュニケーション向上を図る各種取組

コミュニティ社員とのコミュニケーションを向上するための施策にも、2年~3年前より力を入れている。

店舗ごとにコミュニティ社員が中心メンバーとなって、現場の課題として挙がっているテーマに対して解決を図るQC活動(「マイストア委員会」と呼んでいる。)では、レジ混雑の対策案等が月1回のペースで6か月間協議される。マイストア委員会については、構成メンバーや委員会数等を店舗で自由に決定できるが、各店舗の代表委員会を選出し、毎年2月に本社で発表会を行い、優秀な提案は全社的に表彰されてその提案は各店舗へ水平展開される。これまで、労災削減に向けた取組や効果的な販売促進手法等が表彰され、実際に各店舗で採用されている。

また、店舗ごとに、その月に誕生日を迎えるコミュニティ社員や正社員が、店長等と業務時間中に会食等をする「お誕生日会」を開催している(経費は会社負担)。店長や他部門のコミュニティ社員とのコミュニケーションの場となっている。「お誕生日会」の様子は社内のイントラサイトに掲載され、他店舗のことを知る機会ともなり、また店長との距離が近くなる場として好評である。

さらに年に一度、社長や幹部が各店舗に出向いて「イオンビッグの明日を語ろう会」を催している。店舗ではコミュニティ社員が中心となって通常の手順ではなかなか解決できない事案等を直接経営層に伝えたり、経営層から直接コミュニティ社員へ経営施策や経営状況を伝える場となっている。会は店舗の休憩室で行われ、普段、直接話をすることのない経営層とコミュニケーションを取ることのできる機会としてこちらも好評である。

その他、毎月の幹部の店舗巡回、社内情報の取得や情報発信等ができる社内のイントラサイト環境も整備されており、コミュニティ社員は商品入荷情報や社内マニュアルを取得するなど活用している。

法を上回る両立支援制度を導入、コミュニティ社員も利用

育児や介護のために時間単位で取得できる有給の看護休暇を法定の看護(介護)休暇とは別に用意している他、10日間の有給の育児休業や、子が3歳になるまで取得できる育児休業(第1子の場合。第2子以降は2歳になる日を含む勤続月の20日まで、もしくは1歳6か月を超えた4月20日までのいずれか長い期間)等、コミュニティ社員が利用できる法を上回る両立支援制度が用意されており、男性のコミュニティ社員の育児休業取得実績や3歳までの育児休業取得実績もある。

同社は女性の多い会社であり、育児や介護による離職防止の施策として両立支援を重視してきた。管理職に対する研修、全店長による「イクボス」宣言等により両立支援を浸透させている。

コミュニティ社員の定年年齢を引き上げ、高齢者の働きやすい環境も構築

2017年より、コミュニティ社員の定年年齢を65歳から70歳へ引き上げた。65歳を超えても働く意欲があり、健康面の問題がなければ雇用契約を更新する。現場では、マニュアルの文字を大きくするなど、高齢者が働きやすい環境づくりも行っている。

4. 取組に当たって工夫した点・苦労した点

同社は、関東地方から近畿地方まで幅広く店舗を展開しているため、コミュニティ社員への施策を講じても、迅速・確実にすべてのコミュニティ社員に伝えるのが難しい面があった。そこで、社内メールや社内報、店長への通達では、コミュニティ社員全員には十分に伝わらないため、書面にしてコミュニティ社員一人ひとりに手交する、ポスターを店舗に掲示する、社内のイントラサイトの活用等により、施策が十分に伝わるよう工夫した。

また、正社員転換の推進に当たっては、職場によっては横並び意識からか、能力があっても正社員登用試験を申し込みにくい職場風土がある場合が見受けられる。本部と店舗が密になり、そういった職場でも正社員登用試験を目指せるよう、普段から店長や副店長が優秀なコミュニティ社員へ声掛けを行うことで、よりキャリアアップを図ることのできる環境づくりをするよう努めている。

5. 取組の効果と今後の見通し

コミュニティ社員が定着しており、平均勤続年数や離職率に取組の効果が現れている。

コミュニティ社員の平均勤続年数と離職率推移

2014年度 2015年度 2016年度
平均勤続年数 3.3年 3.5年 4.2年
離職率 33.9% 30.7% 23.6%


定年年齢を引き上げたことの影響も大きいが、コミュニティ社員の意見や声を聴く機会を重視していることが、成果につながっていると考えている。人手不足感が強い昨今において、65歳を超えて他社を定年となった者の雇入れもあり、多くの人員が必要となる新店舗募集時等、現場の人材確保にメリットが生じている。コミュニティ社員求人募集の応募者数を見ると、2016年は2015年に比べ17.3%の伸びがあった。

職務レベルを上げるための資格等級の登用試験合格率は50%程度であるが、年間に登用されるコミュニティ社員数はおおむね増加している。

登用試験合格者推移

2015年 2016年 2017年
職務Ⅰ→職務Ⅱ 129名 122名 177名
職務Ⅱ→職務Ⅲ 49名 90名 83名


社員の労働生産性を測る人時売上高の年次推移も伸びており、教育制度の充実や待遇に直結する評価制度が成果に寄与しているものと考える。

人時売上高の年次推移

2014年 2015年 2016年
人時売上高 16,154円 16,466円 16,619円


優秀従業員表彰では、2016年表彰者の3割に当たる8名がコミュニティ社員であった。候補者を選出するため、各店舗の店長からは、これまで以上にコミュニティ社員の働きぶりを注視するようになったという声が聞かれ、前述のマイストア委員会の活動報告書の中には、コミュニティ社員も受賞を目指した働き方を意識している内容のコメントが見受けられる。

一方、今後の課題としては、現行のコミュニティ社員の資格等級は「職務Ⅲ」が最上位級であり、人事評価の結果により昇給することもあるが、さらに昇格し賃金を上げるには、フルタイム勤務となり転勤または異動のある正社員への転換が必要となる。そのため、個人の都合によりフルタイム勤務や転勤等ができない「職務Ⅲ」のコミュニティ社員のさらなるステップアップの道筋をどう創っていくかが課題である。

また、同じ店舗で同様に育児をしているコミュニティ社員同士が協力し合い、非番の時にお互いの子の面倒を見るファミリー・サポートのような環境が社内で作れないか、事故対応の保険の整備等も含め検討しており、さらなる働きやすさを求めているところである。

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