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株式会社 北都銀行

平成29年度パートタイム労働者活躍推進企業表彰受賞企業事例集より

平成29年度「パートタイム労働者活躍推進企業表彰」
優良賞(雇用環境・均等局長優良賞)

パートタイム労働者本人に主体的に「どうキャリアアップしていきたいか」を考えさせてキャリアプランを作成、目標達成に向けた支援を実施し潜在的な能力を引き出す。研修や企業内大学等学習機会の提供と表彰制度により、スキル向上とモチベーション維持を図る。

2.賃金・労働時間
3.教育訓練等の能力開発
4.人事評価
5.キャリアアップ・
正社員転換推進措置
6.福利厚生・安全衛生
7.ワーク・ライフ・バランス
8.職場のコミュニケーション等
所在地 秋田県 業種 金融業・保険業
従業員数 1,513名 パート労働者数 329名
事業概要 預金・融資・外国為替・証券・信託代理業務
ポイント
  • パートタイム労働者について正行員と同様の仕組みでスキル認定及びキャリアプラン等策定を行い、それらを本人、所属長、人事部が共有して総合的に判断し育成支援・時給グレードを決定。納得感のある処遇の実現を目指す。
  • 幅広い分野でパートタイム労働者の頑張りを頭取が表彰することでモチベーション向上を図る。
  • 各種社内研修の実施、資格取得への費用補助は正行員と同様に各人のスキルアップをサポート。

審査委員はここを評価

新人事制度を導入し、パートタイム労働者も正社員と同じ仕組みの中で、キャリアプランを自ら考え、上司や人事担当者と共有する機会を得ています。その結果、パートタイム労働者の自ら気づかなかった能力が引き出され、キャリア支援を含め納得性のある処遇制度が実現しています。

1. 企業概要・人員構造

同行は、創業以来「健全経営を進め地域とともに豊かな未来を創造します」という経営理念の下、120年以上にわたり地域に根差した金融機関として業務を行っている。現在秋田県内に79店舗、県外に3店舗、ネットバンク1店舗(2017年7月1日時点)を展開し、時代の変化に合わせ、年中無休・夜7時まで営業している新スタイルのISB(インストアブランチ)をショッピングモール内に開設するなど、新しい挑戦を行っている。

同行の主な雇用区分には、①正行員、②キャストA(フルタイム)、③キャストB(パートタイム)がある。

主な雇用区分

区分 正行員 キャストA キャストB
就業時間 1日7.25時間
週5日
1日7.25時間
週5日
1日5時間~7時間
週3日~5日
契約期間 無期 1年契約 6か月契約
異動の有無 総合職:転勤制限なし
エリア総合職:転居なし(自宅から1時間圏内)
同一ブロック(県内を9つの地域に分割)内で異動あり
給与形態 月給制 月給制 時給制
賞与 支給あり 特別手当を支給

キャストは、有期契約のフルタイム労働者及びパートタイム労働者の呼称である。有期契約労働者の業務が年々拡大、高度化していることや、お客様との接点も多く「行員と共に北都銀行という舞台でお客様へ最高のパフォーマンスを提供してほしい」という願いを込めて名付けている。

キャストBは329名中317名が女性であり、主な担い手は主婦層となっている。キャストBの主な業務は、営業店勤務者は営業窓口や融資窓口、渉外訪問先での事務処理、商品やサービスの営業、本部勤務者は通達の作成、定例データの集計、外部機関への定例報告物の作成等である。フルタイムであるキャストAは正行員への転換を前提とした位置付けであり、キャストBの業務に加えて資産運用等の特定業務や検印代行も担当する。入行時は、一部の銀行業務経験者等を除き原則キャストBからスタートする。

2. 取組の背景とねらい

同行の経営の最重要テーマは「人材育成(行員の成長や満足感→組織の成長→地域の発展)」であり、テーマ実現に向けて2016年に人事部内にキャリア支援室を設置して新人事制度「HOKUTO 人材グランドデザイン」をスタートさせた。行員が日々仕事に臨んでいく中で、もっと“自分が何をやりたいのか”、“どうスキルアップしていきたいのか”を積極的に考え、生き生きと主体的に働くための目標となるキャリア(ビジネス・ライフ)プランとしてそれを捉え、本人と上司そしてキャリア支援室が共有して育成に取り組むことを最大の目的としている。

キャストにも自らの想いや考えを発信してもらい、それぞれが考えるキャリア(ビジネス・ライフ)プランの実現を目指して、キャリアアップ支援等、様々な分野の施策に取り組んでいる。

HOKUTO 人材グランドデザインの概要

HOKUTO 人材グランドデザインの概要

3. パートタイム労働者の活躍推進のための具体的な取組

正行員と同様の仕組みでスキル認定を行い、評価を決定

新人事制度「HOKUTO 人材グランドデザイン」のスタートに合わせ、2017年度から評価内容や項目を変更した。自社開発した個人別の人事管理システムである「スキルバロメーター」上でスキルチェック及びスキル認定を実施して評価を行っている。

スキルチェックは、業務可能範囲(お客様の資産運用相談ができる、ローン相談ができるなど)、自己啓発(通信講座受講・資格取得状況)、個人力(統率力、判断力、コミュニケーション力、企画力等)等28項目について、キャストが○△×の3段階で自己評価を行うものである。次に、このスキルチェックで評価した項目を基に、スキル認定を行う。スキル認定は、「個人コンサル」、「法人コンサル」、「内部事務」等6つの業務カテゴリーについて行うもので、本人の自己評価、直属上司の一次評価、所属長の二次評価の3段階により決定する。所属長の評価はA~Cの3段階で、各カテゴリーの基準(例:項目①のみ○の場合はC、項目②または③のいずれか○はB等)を目安にスキル認定を行っている。スキルチェック及びスキル認定は、正行員も同様の制度で運用している。

スキルチェックのイメージ図

スキルチェックのイメージ図

スキル認定のイメージ図

スキル認定のイメージ図


スキル認定の結果を踏まえながら、さらに普段の業務遂行状況や保有資格等を加味し、「能力・職務グレード定義一覧」に照らして、3段階の能力グレード(「TOP」、「HIGH」、「BASE」)を決定する。「能力・職務グレード定義一覧」は、キャストの役割や業務内容を基に設定した6つの職務グレード(「営業窓口・渉外」、「融資窓口」等)の能力グレード別の定義を明記したものである。

能力・職務グレード定義一覧のイメージ

能力・職務グレード定義一覧のイメージ


評価決定後に面談を行って、フィードバックするとともに、今後のキャリアプランを必要に応じ変更・共有している。評価の公平性を保つため、新任支店長研修や部店長マネジメント研修において、人事考課やキャリアコンサルティング(部下が大切にしている価値観や活力のもと等を相互理解する重要性)についての指導を行っている。また、後述する「ESインタビュー」(人事部と行員の面談)の際に、適切な評価が行われているかも確認している。

スタート時給(一律定額)に、個人別の職務グレードと契約更改時(6か月ごと)の評価で決定した能力グレードによる能力・職務加算金を加え最終時給を決定する。時給は評価実施の都度決定しており、制度上は降給もありえるが、加点主義の考え方により原則として能力グレードが下がるような評価は行わないことにしている。

特別手当は半期に一度の定額支給だが、営業成績等により加算されるキャストもいる。

頭取による表彰制度の実施

表彰式風景

表彰式風景

2010年度に頭取表彰制度を創設した。評価分野は「顧客のライフプランニングに対するコンサルティング」、「収益に対する貢献度」、「自己啓発」、「人材育成」等多岐にわたり、各所属長の推薦後、経営会議を経て受賞者を決定している。いずれの分野も正行員とキャストの区別なく推薦され、受賞することができる。年1回、ホテルで表彰式を行い、受賞者一人ひとりに頭取が自ら表彰状等を授与している。最優秀賞の副賞は海外旅行等である。ほぼ毎年キャストBも受賞しており、2016年度では表彰者62名中、2名のキャストBが優秀賞を受賞している。キャストBのこれまでの受賞事由は、「意欲的に能力開発に取り組み、住宅ローンアドバイザー、FP3級、法務3級等を短期間で取得した」、「豊富な知識と経験を活かし、厳格な事務処理、チェックを励行し、2016年度事務ミスゼロ、事務事故ゼロに貢献」等となっている。営業成績だけでなく、定量化できない幅広い分野での貢献を表彰することで、キャストの活躍にもスポットを当てることができ、意欲喚起につながっている。

頭取表彰の受賞実績

表彰時期 表彰人数
(  )はキャストBの内数
2014年度 上期 41名(2名)
下期 73名(6名)
2015年度 上期 59名(3名)
下期 61名(3名)
2016年度(※年1回に変更) 62名(7名)

フルタイムキャストを経て正行員に転換

正行員転換制度の対象者はキャストAである。入行1年以上の勤務経験(雇用区分不問)があり、所属長の推薦と一定の資格(生命保険募集人資格、FP技能士3級等)を有していることが条件となり、書類選考と面接で転換者を決定している。転換に当たり、総合職かエリア総合職かの選択ができる。転換時の給与は、資格給(職能資格に応じた給与)+職務給(役職・職務内容に応じた給与)で転換前の月給を下回らないよう個別に決定している。

正行員転換を志しキャストBからキャストAに転換を希望した場合は、支店長の面談・推薦を経て、人事部長の決裁で決定する。その際、証券外務員2種(特別会員)、生命保険募集人資格(一般)、損害保険募集人資格(初級)等の資格を保有しているかを参考にしている。

2006年度以降の正行員への転換者は125名(申請者150名、登用率83.3%)となっている。キャストBからキャストAを経て正行員に転換後に現在管理職として活躍している者は11名で、そのうち3名が支店長を務めているなど、正行員転換後にさらにステップアップを実現している行員もいる。

キャストの業務拡大を支える幅広い社内研修の実施

担当業務のスキルアップや業務開拓を目的として、融資基礎研修や投資信託基礎研修等の社内研修を随時実施しており、正行員とキャストの区別なく受講することができる。各担当部署が主催し、所属長による積極的な受講勧奨や通達等を利用した周知により、多くのキャストが参加している。

2012年より、キャストの入行時にはキャスト導入研修を実施し、人事部が店舗へ出向き、マナーや端末入力、伝票起票等の銀行業務を指導しており、全キャストが受講している。

キャストフォローアップ研修風景

キャストフォローアップ研修風景


さらに、2017年度にキャストフォローアップ研修を導入した。入行時に学んだマナー等の再確認の他、お客様の潜在的なニーズの引き出し方といった業務上の技術だけでなく、将来に向けた各自のキャリアプランの描き方(後述する「ESインタビュー」時に使用するキャリアプランシートの書き方)等を学ぶ内容としており、2日間のコースを上期・下期に分けて全キャストを対象に実施している。上期の受講者数は43名であった。

長期的な人材育成視点で企業内大学を開校

2017年度中に女性管理職比率を30%まで引き上げることを目的とした「Plan30」の施策の1つとして、挑戦意欲向上や新たな強みを作ることを目指し、地方銀行としては初の女性行員向けの企業内大学を2014年から開校している。企業内大学のうち「Women’s College」、「LPA(ライフプランアドバイザー)College」、「English College」は、長期的な人材育成の視点からキャストの参加を認めている。これまでのキャストBの入学実績は、「LPA College」3名である。また、「Women’s College」へのキャストの入学実績はないが、正行員転換後に「Women’s College」に入学した者は12名おり、その後4名が管理職に登用され、うち1名が現在支店長として活躍している。

企業内大学の概要

Women’s College LPA College English College
対象者 キャストを含む全女性行員 キャストを含む全行員 キャストを含む全行員
開催概要 6か月間・月1回 第1クール~第3クール
(合計6回)
1年間・月1回
目的 キャリア開発への挑戦意欲向上、ビジネススキルの習得・活用 LPAコンサルティング営業モデルの理解実践、個人リテール営業に強い人材の育成 海外に強い地方銀行、外国人に紹介したくなる銀行を目指し、英語基礎力を養成する
プログラム(例) ・ワークショップ
「こんなお店つくってみたい」
・役員等に対するプレゼンテーション
・コミュニケーションスキル
・お客様の潜在ニーズの掘り起こしとセールスプロセスの組立て方
・県内大学の留学生との交流
・窓口業務での英会話

正行員と同額の資格取得奨励金の支給

銀行業務検定や国家資格(FP技能士、金融窓口サービス技能士等)等一定の対象資格を受験し、合格した場合は正行員と同額の資格取得奨励金を支給している。対象となる資格にはTOEICや宅地建物取引士等も含まれ、全部で30以上と多岐にわたる。併せて、休日にFPセミナー等を開催し、資格取得に向けた支援を行っている。

頭取とキャストの交流の場としてランチミーティングを開催

2016年度より経営陣とキャストとのランチミーティングを実施している。頭取から直接経営方針や取組、キャストへの想い(感謝の気持ちや期待感等)を伝えることで「働きやすさ」や「働きがい」を見出してもらうとともに、キャストが頭取を始めとする経営陣へ想いを直接伝える場となることから、風通しの良い社風・組織風土であることを理解してもらう良い機会となっている。秋田県内を3地区に分けて、地区ごとにホテルで開催し、食事代は会社が負担している。休日に希望者のみの参加であるが、2016年度の参加者はキャストの4割強である188名(キャストA・キャストB合計)と高い参加率となっている。参加者からは「直接頭取からキャストに対する想いや女性の働きやすい環境についての取組を聴けて、とても良かった」、「他店のキャストとの交流の機会になり、情報交換ができたので有意義だった」との声が聞かれている。

一人ひとりのキャストと人事部が面談をしてキャリア形成を支援

行員がどんなことに生きがいや働きがいを感じているのかを問いかけ、キャリアプランの実現を支援することを目的に、2016年度からキャリアコンサルタント資格を保有しているキャリア支援室長を中心に人事部のメンバーが各店舗を訪問し、年1回、キャストを含む全行員と面談をしてESインタビューを実施している。

インタビューでは、ディスカッションペーパー、自己分析シート、キャリアプランシート等を活用する。ディスカッションペーパーは、働きがいや今後やってみたいこと、相談したいこと等を本人が記入したものである。自己分析シートは、「スキルバロメーター」という個人別の人事管理データベースの入力内容を出力したもので、これまでの経歴やスキル認定状況、今後のキャリア設計等の項目がグラフを交えた一覧表になっている。キャリアプランシートには自分が目指す将来像と、その実現に向け積んでおくべき経験や資格取得、その達成予定年齢を具体的に落とし込んでいく。これらのシートを基に、目標を実現するためにはどんな経験や技能を身につけるべきかを、キャストと人事部のメンバーで話し合っていく。将来像を明確化することでキャストの自発性を引き出すことが目的である。インタビュー後は、上司と話し合いの内容や支援策を共有し、面談を通じて本人が気づいたことや実現したいことを「気づきシート」に記入してキャリア支援室に提出する。翌年、気づきシートに記入した目標等を再確認する。

今年度で2回目の実施だが、初年度はキャリアプランが描けず白紙で提出していたキャストが、次年度には「若手行員の育成に携わりたい」との目標を設定するなど、変化がみられるようになった。また50代のキャストの気づきシートには、「生きがいや働きがいを持つ事の重要性に気づくとともに、自分の夢や何か楽しみのようなもののために働くことで人は成長する。そして、その夢や楽しみを実現することでモチベーションが上がり仕事のパフォーマンスも向上する。それは、プライベートなことでも、本当に些細な事でも良いということに気がつきました。」と記載されるなど、キャストの意欲向上に一定の成果がみられている。

ESインタビューの概要

項目 内容
目的 全行員の働きがい(生きがい)の意欲向上支援
使用するペーパー ディスカッションペーパー、キャリアプランシート等
対話のポイント ①前年度面接後に実現する予定であった目標について
②自分らしさ、価値観、大切にしている考えについて
③自己啓発について
④キャリアプラン実現に向けた取組について
⑤働く内容、働く場所について
⑥働きやすさについて、その他
面談後 気づきシートを入力し、上司及び人事部が共有


ディスカッションペーパー(平成28年度・29年度版抜粋)

ディスカッションペーパー


自己分析シートのイメージ

自己分析シートのイメージ


キャリアプランシートのイメージ

キャリアプランシートのイメージ

情報格差を無くすため社内のイントラサイトを活用

勤務時間の違いによる情報格差が生じないよう、キャストを含む全行員が利用できる社内共通のイントラサイト「ほっくんネット」を整備して、行内情報を共有している。経営陣が発信した情報が直接キャストに伝わり、より身近なコミュニケーションが可能となっている。また、行員同士で個別にメッセージを送ることができるため、他店舗メンバーとの交流も活発になっている。

産前産後休業及び育児休業取得者にはiPadを貸与して「ほっくんネット」を閲覧できるようにしており、スムーズな復職に向け、業務面・精神面の不安払拭に役立っている。現在キャストBの育児休業取得者は3名である。

県内金融機関初の企業内保育施設設置

ほっくんキッズハウス外観

ほっくんキッズハウス外観

子どもがいる行員が安心して働くことができるよう、2011年4月に県内金融機関では初の企業内保育施設「ほっくんキッズハウス」を設置した。キャストを含む全行員が利用でき、0歳児(生後8週経過)から3歳児(誕生日の年度末)までの乳幼児を預けることができる。開所時間は、日曜・祝日を除く7時30分から18時30分(希望により前後30分の延長あり)となっている。現在キャストBの利用者は3名いる。

ワーク・ライフ・バランス推進のための各種取組

同行は、子育てや介護等による労働環境や生活環境の多様化した行員それぞれが求めるワーク・ライフ・バランスを実現できる働き方や社内風土を作ることが重要だと考え、キャストにも正行員と同様の休暇制度が整備されている。

年次有給休暇は、雇入れ半年~4年未満で14日、4年以上6年未満で18日、6年以上で20日と法定を上回る日数が付与される。また、特別休暇として、罹災休暇、慶弔休暇、裁判員休暇等があり、子の看護休暇、介護休暇等を含めすべて有給となっている。2014年度から年2回各2日の季節休暇や半日休暇を追加、2017年度からはプレミアム・フライデーも実施している。表彰制度の項目に有給休暇の取得率を盛り込むなど、取得促進のための啓発も行っている。

部下のワーク・ライフ・バランスや人生を応援する新しい時代の理想の上司(イクボス)の必要性を認識し、2015年2月に全国の地方銀行で初めて「イクボス企業同盟」に加盟した他、管理職の意識改革に向けた「イクボスセミナー」を同年1月、休日に実施している。さらに、役員を含めた課長以上を対象とするマネジメント研修を年1回~2回開催している。同日に、上司に対する「部下アンケート」の結果を配付しており、日頃のマネジメントや職場でのコミュニケーションを見直すきっかけとしている。これにより、上司とのコミュニケーションが活発になったというキャストの声も聞かれるようになった。

福利厚生面では、勤続6か月以上の全キャストに定期健康診断を実施したり、正行員と水準は異なるものの慶弔見舞金の支給を行っている。

4.取組に当たって工夫した点・苦労した点

キャストの担当する業務範囲が拡大したことから、能力・職務の明確化を図り、求める人材像や業務範囲の目安を共有化することで、キャストの働くことへの納得性を高める工夫をした。また、評価制度の視点が「評価される」だけでは上司の評価の公平性に疑問が生じていたことから、「評価される」+「共に確認する」とし、所属長と一緒に「ありたい自分」さらには、上司からの役割期待を共有できる仕組みを作った。

さらに行員一人ひとりと向き合うことを目的としたESインタビューでは、当初、83店舗あった全店舗に行きすべてのキャストと面談することは難しいと思われたが、2016年度にはすべてのキャストとの面談を終了した。キャストの想いを知ることができ、正行員同様の研修や表彰機会を設けていることが、モチベーション向上やキャリアアップへの意欲につながっていることが分かり、人事部としては手応えを感じている。

5.取組の効果と今後の見通し

所属長や人事部との定期的な面談を通じて、働きながら感じる想いや悩みを伝える場を増やしたこと等様々な取組の結果、キャストBの定着率が高まっている。2015年度の離職率は11.86%であったが、2016年度は9.60%と2.26%減少している。勤続年数は2015年度の6年2か月から2016年度は6年11か月まで伸長している。

新人事制度「HOKUTO 人材グランドデザイン」の取組の1つであるESインタビューにより、キャストの潜在能力を引き出し上司と意識共有を行うことによるモチベーションアップや、休暇制度の充実等による働きやすさの実感が、定期的に実施しているモラールサーベイの結果として表れている。新人事制度導入前は2011年度実施時から前年比で2012年度0.03ポイント、2013年度0.06ポイントと少しずつポイントを延ばしていたが、新人事制度導入後の2016年度のキャスト満足度は導入前の2013年度比0.17ポイントと大幅にポイントアップしている。イクボスセミナー等管理職に対する意識改革や休暇制度の充実により、有給休暇の取得率が増加している。季節休暇や半日休暇を導入する前年度の2013年度のキャストBを含む全キャストの取得率は45.5%であったが、2014年度49.6%、2015年度68.6%、2016年度71.4%と年々高まっている。正行員を含む全体の取得率においても、2016年度55.1%と、厚生労働省「2016年就労条件総合調査」による「金融業、保険業」平均の49.0%を上回っている。

収益性においても、2016年3月期まで当期純利益3期連続最高益を更新している。この背景には、評価制度を明確化したことにより、自身の役割をしっかり理解した働き方を継続していることや、研修、企業内大学等の能力開発機会の積極的な提供による働く意欲やスキルの向上、モチベーションアップによるものと考えている。

今後も全行員としっかり向き合い、どのような想いや考えがあるのかを知る取組を継続させ、雇用区分の壁を取り除きキャストの想いや考えをしっかりと“カタチ”にして「モチベーション向上」や「働きがい」につながるよう実践していきたいとしている。

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