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株式会社光洋

平成29年度パートタイム労働者活躍推進企業表彰受賞企業事例集より

平成29年度「パートタイム労働者活躍推進企業表彰」
最優良賞(厚生労働大臣賞)

充実した教育体制、資格制度により、パートタイム労働者のキャリアアップを支援するとともに、透明性の高い人事評価制度を整備し、昇給と賞与に反映させ、正社員転換へとつなげることで、優秀な人材の確保や生産性の向上を実現。

2.賃金・労働時間
3.教育訓練等の能力開発
4.人事評価
5.キャリアアップ・
正社員転換推進措置
6.福利厚生・安全衛生
7.ワーク・ライフ・バランス
8.職場のコミュニケーション等
所在地 大阪府 業種 小売業
従業員数 7,786名 パート労働者数 6,158名
事業概要 食料品及び日用雑貨品等の小売販売店
ポイント
  • 正社員と同等の計画的な教育・育成システムにより、パートタイム労働者のスキルアップを支援し、サービスレベル、生産性の向上を図るとともに、正社員へのスムーズな転換も可能に。
  • 透明性の高い人事評価制度を導入し、結果を昇給・賞与やキャリアアップに反映。
  • 委員会の開催、提案制度、幹部社員とのミーティング等、パートタイム労働者の声を経営に活かす取組を実施。

審査委員はここを評価

パートタイム労働者のキャリアアップを強力にバックアップできるよう、多段階評価を取り入れた透明性のある人事評価制度と、職能資格に応じた担当業務に必要な知識・技術を体系的に習得・検定できる独自の「マルチラーニング」による育成・昇格、さらに実技コンクールや他店舗視察ツアー等により意欲の向上を目指し、スムーズな正社員への転換を図っています。また、社内提案制度、幹部社員とのミーティング、職場環境に関するモラルサーベイ等、パートタイム労働者の声を経営に活かしています。

1. 企業概要・人員構造

同社は1973年に鮮魚専門店として設立され、その5年後にはスーパーマーケットとして展開を開始した。2007年にはイオングループの一員となり、2018年には創業46周年を迎える。「お客さまのくらしにとけこみ、お客さまのくらしに役立つ」という企業コンセプトの下、イオングループの食品スーパーマーケットとして、2017年2月末現在、関西一円にKOHYO、MaxValu、PEACOCK STOREの3ブランドの食料品及び日用雑貨品等の小売販売店81店舗を運営している。

従業員は、正社員、エキスパート社員(フルタイム。有期雇用契約(契約期間1年))、コミュニティ社員(労働時間は本人の希望により決定。ほとんどがパートタイム労働者。有期雇用契約(契約期間6か月)))の3区分から構成される。正社員には店舗を越えた異動があるが、エキスパート社員、コミュニティ社員には原則として店舗間異動がない。エキスパート社員の給与は正社員と同じ支給基準に基づいており、賞与、昇給、退職金も正社員と同等である。エキスパート社員と正社員の違いは、店舗を越えた異動の有無と、経営層までの昇進昇格の有無である。

コミュニティ社員は店舗単位で採用される。約6,000名の内訳をみると、主婦層が多く年齢別では40代から60代がそれぞれ1,000名を超える。学生は1,600名程度、65歳以上の高齢者も約400名が働いている(定年年齢は65歳、70歳まで再雇用あり)。

コミュニティ社員は主に、水産、畜産、寿司、惣菜等の分野で売場での商品の陳列や接客、レジ、バックヤードでの在庫管理、調理等の業務を担当する。勤務時間は個別に決定され、1日6時間から7時間程度、シフト表に基づいて勤務する。

2. 取組の背景とねらい

同社は2007年にイオン株式会社の子会社となり、翌年2008年に現イオンリテール株式会社より、京阪神地区のMaxValu15店舗を継承することで会社規模を拡大した。さらに2016年にはイオンマーケット株式会社から京阪神地区のPEACOCK STORE23店舗を継承した。これにより経歴の異なる従業員が急増したため、仕事に対する考え方や業務スタイルの統一を図ることが大きな課題であった。

また、同社の店舗はお客さまの生活圏に直結している。そのため、一店一店が「自分たちの」商圏を知り、「自分たちの」お客さまを知り、そのニーズの変化を敏感に察知して柔軟に対応していける従業員を育てることが大切であると考えている。すなわち、「すべてはお客さまのために」何をすべきか、何ができるか、それらを追求し、行動に移していくことで「お客さまのくらしにとけこみ、お客さまのくらしに役立つ」従業員の育成を、知識・スキルだけでなく、「商品」、「販売」、「販促」、「店舗」、「人間」といった5つの価値観に基づいて進めている。

同社では、直接お客さまに接するコミュニティ社員を、会社にとって非常に重要な存在と位置付けている。そのため、段階的なプログラムに基づく基礎教育(マルチラーニング)や透明性の高い人事制度、エキスパート社員や正社員への転換制度を整備し、コミュニティ社員のキャリアアップを支援する他、コミュニティ社員とのコミュニケーションを積極的に図り、その声を経営に活かしている。

3. パートタイム労働者の活躍推進のための具体的な取組

全従業員を対象とした「マルチラーニング」による育成・昇給の仕組み

コミュニティ社員は入社直後の「フレッシャー」(3か月間の試用期間)を経て、「職務Ⅰ」~「職務Ⅳ」という4段階の職能資格に分けられる。この職能資格に応じた担当業務を行う上で必要な知識・技術を明確に示し、それらを体系的に学ぶ機会を提供することによって実務能力を向上させるため、「マルチラーニング」と呼ぶ学習指針及び検定制度を設けている。

マルチラーニングの仕組みは、正社員、エキスパート社員、コミュニティ社員に共通であり、正社員(資格:J1~J4。J5まで昇格するとマネージャー層以上となり対象外)、エキスパート社員、コミュニティ社員が対象となる。部門・職能資格ごとに例えば「接客応対の4原則を理解している」「売場案内時の応酬話法を理解している」といった学習項目(身につけるべきポイント)が示されており、それに基づき、毎年3月に年間の学習計画(月単位)を上司と面談の上で策定する。

従業員は、毎月20日までに計画に従って学習を進め、21日~25日の間で自己評価を行い、上司に確認を受けて修了となる。習得できなかった項目は、次月以降に再度学習することになる。

各ステージは3月~9月の6か月間で修了するよう設計されており、すべての学習を修了した者は、10月に当年度の検定試験を受ける。検定の試験官は店長と上司が担当し、各ステージで学習した内容について口頭試問や実技試験により審査する。検定試験に合格すると翌3月に次の職能資格への昇格が認定される(ステージ1を修了すると職務Ⅰに、ステージ2を修了すると職務Ⅱに、ステージ3を修了すると職務Ⅲに、ステージ4を修了すると職務Ⅳに登用される)。なお、不合格の場合は翌年再受験できる。

マルチラーニングの合格率は各ステージとも70%台後半であり、昇格に要する期間の平均は、ⅠからⅡは2年4か月、ⅡからⅢは1年6か月、ⅢからⅣは1年程度である。計画的なOJTのツールとして、また、上司と部下のコミュニケーションツールとしても、効果的に活用されている。

コミュニティ社員への職能資格別研修

マルチラーニングによりOJTを充実させる一方、Off-JTとして、2012年度より職能資格別研修を実施している。この研修では、売価、原価、値入れ、荒利益高といった数字から、チーム内での良好な人間関係の作り方、職場内におけるコミュニケーションのとり方まで多彩な内容を学ぶ。研修終了後には受講報告書の提出を義務付け、受講者の理解度の確認や次回研修への改善に活用している。

受講報告書では、「他店舗の従業員と話をする中で、皆それぞれの環境で頑張っていることを知り、自分も頑張ろうと思った」、「数字の勉強は難しかったが、研修を通じて少しは理解できた」といった声が寄せられている。

フレッシャー研修入社者全員
職務Ⅰ研修330名
職務Ⅱ研修256名
職務Ⅲ研修173名

客観的な人事評価を実施し、結果を昇給・賞与、キャリアアップに反映

コミュニティ社員に対する人事評価は年2回、上期(3月1日~8月31日)、下期(9月1日~2月末日)の成果に基づき実施している。評価の透明性を担保するため、人事評価表を定めて標準化している。コミュニティ社員の人事評価項目は「業務・作業遂行」、「知識・技能」、「店方針・組織運営への取組姿勢」、「挨拶・お客さま対応」、「責任感」、「勤務態度」、「身だしなみ」の8項目である。職能資格(職務Ⅰ~職務Ⅳ)に応じて各項目へのウェイト配分が異なり、評価点は各項目の素点×ウェイトによって決まる。

自己評価→一次評価(マネージャー)→二次評価(店長)→面談(マネージャー)→最終決定(店長)という多段階評価が行われ、評価点によって最終ランク(A~Eの5段階)が決定される。

コミュニティ社員の給与体系は、基本給(650円)、資格給(職務等級(Ⅰ~Ⅳ)による)、能力給(年1回評価・改定。職能資格と評価でクロスするテーブルによる)、地域給、職務給(マネージャー以上の場合は、正社員と同等のマネージャー手当がつく)、調整給(過去の企業統合の経緯等を踏まえて設定)で構成されており、人事評価の結果は能力給に反映される。能力給は、評価結果を上期と下期の平均値を基に改定している。

評価結果による昇給額

昇給額評価ランクABCDE
職務Ⅰ10円10円5円0円-5円
職務Ⅱ・Ⅲ15円10円5円0円-5円
職務Ⅳ15円10円5円0円-5円


賞与額は、労使交渉により決定する賞与単価を基に、下記の計算式により算定、支給される。

賞与単価計算式

評価結果の賞与評価乗率への反映

評価乗率 評価ランクABCDE
職務Ⅰ 1.051.000.950.900.85
職務Ⅱ・Ⅲ 1.101.051.000.950.90
職務Ⅳ 1.151.101.051.000.95

エキスパート社員・正社員への転換制度を整備しキャリアアップを支援

キャリアアップ

職務Ⅳのコミュニティ社員のうち、マルチラーニングのステージ5を修了した者は、フルタイム勤務が可能であればエキスパート社員転換試験を受験することができる。転換試験は行動規範や就業規則、企業理念、用語等の知識を問う筆記試験と、課長職以上の社員との質疑応答による集団面接から構成される。合否の判定時には、人事評価の結果も参照される。エキスパート社員は契約期間1年間の有期契約社員で、転勤はないが、それ以外は店舗に勤務する正社員と同等のマネジメント業務を担う。同等の職位の正社員と同じ賃金が支給され、賞与や退職金も正社員と同等である。

なお、コミュニティ社員でもマネージャー(店舗の部門(鮮魚・精肉等)の管理者)になることができるが、フルタイム勤務でないと難しいため短時間勤務のマネージャーはいない。

エキスパート社員から正社員への転換試験は、一般の中途採用試験と同じものであり、筆記試験と面接試験から構成される。2012年以降、50名のエキスパート社員が正社員に転換し、中にはその後店長まで昇進した者もいる。

マルチラーニング制度の活用により、コミュニティ社員→エキスパート社員→正社員への継続的なキャリアアップが可能となっている。

各種表彰制度によるモチベーションの向上

○年間優秀従業員表彰制度

年に1度、コミュニティ社員も含めた全従業員を対象に、優秀従業員表彰を行っている。店舗・部門の売上げに対して顕著な功績を上げた、担当部署の業績を飛躍的に向上させたなどと判断された従業員について、管理職からの推薦を経て役員経営幹部が参加する経営会議で被表彰者を決定する。被表彰者には、従業員約500名が参加する政策発表会の場で、社長より表彰状が授与される。さらに被表彰者には国内流通視察研修に参加する権利が与えられる。

2016年度の被表彰者数は、個人表彰26名(うちコミュニティ社員6名)、団体表彰14団体(うちコミュニティ社員1団体3名)であった。


キラキラさん

○我が店のキラキラさん

2016年度より、各店舗のコミュニティ社員の中から同社の模範となる従業員として「キラキラさん」を選出している。

マネージャー職以上の従業員が、毎月2枚の「キラキラさんカード」に、他の従業員の手本となるような業績や気配りがみられるコミュニティ社員に対する感謝の言葉を記載して、本人に直接手渡すとともに、その従業員が勤務する店舗の店長に控えを渡す。コミュニティ社員にコメントを添えて直接渡すので、コミュニティ社員からは「手紙をもらったようで嬉しい」と好評であり、モチベーションの向上につながっている。

店長はキラキラさんカードの控えを毎月集計し、最も多くカードを獲得したコミュニティ社員を店舗表彰者として1名決定する。店舗表彰者の中からさらに1名が運営部表彰者となり、表彰状と副賞のボールペンが贈呈される。結果は社内報に掲載して全社に広報しており、受賞者からは喜びの声とともに仕事に対するモチベーションが上がったという声が聞かれている。本表彰は、以前は毎月行っていたが、四半期ごとに変更した事により、中期的な従業員の取組を評価することができるようになった。

技術コンクールとチェックアウトコンクールで技術向上を目指す

同社では、社内で求められる技術の基準を統一し、全社で技術力を競うことで担当者のモチベーションや意識、技術レベルが向上することを目的として、2014年より「技術コンクール」を実施している。対象者は、該当する部門(水産、畜産、寿司、惣菜等)に属する全従業員であり、各部門において高い技術を持つバイヤーが審査員となって、予選と本大会を行っている。例えば水産部門であれば、制限時間内に一定数の魚をさばき、刺身パックを作る課題等が課され、スピードと品質、見栄え等が審査される。2016年度の技術コンクール予選参加人数は、総勢105名(水産、畜産、寿司、惣菜)で、そのうち本大会に進出したコミュニティ社員は、水産部5名、畜産部5名、寿司部6名、惣菜部6名であり、各部で最優秀賞1名、優秀賞1名がそれぞれ選ばれている。

1個人単位ではなく、店舗や部門といった複数名での表彰を「団体表彰」としている。

また、接客技術の向上を目的とし、2011年よりレジ及びサービスカウンター部門の従業員を対象とした「チェックアウトコンクール」を実施している。2016年度のテーマは「接客を磨く」であり、心からの笑顔でお客さまへの挨拶と丁寧な接客を、社内審査員と社外審査員によって審査した。2016年のチェックアウトコンクール(コミュニティ社員の部、アルバイトの部)には1,000名以上が参加した。

チェックアウトコンクール

チェックアウトコンクール1 チェックアウトコンクール2

月例ミーティングの実施で本社と現場をつなぐ

本社部門と現場とのコミュニケーション活性化を目的に、2015年より、本社の課長職以上が各店舗に赴き、隔月に一度の「月例ミーティング」を実施している。この場で、経営方針の解説や営業成績の共有に加え、新商品の発売や新制度の導入に際してその内容を伝えている。また、一方的に本社管理職が話すだけでなく、コミュニティ社員からの質問や意見も聴取するようにしており、職場の活性化につなげている。店舗全員参加とし、また、本社管理職は店舗ごとに担当を決め、毎回同じ本社管理職が来ることで話のしやすい雰囲気を醸成している。

充実した社内報による情報共有

社内報を毎月発行し、全従業員に1部ずつ配付している。社内報には会社からの案内の他、新商品の案内、人事制度の改定情報等、従業員にとって関心の高い情報を掲載している。また、社長からのメッセージや他店舗の優れた取組(好事例)も掲載しており、自身の仕事の仕方の見直しにもつながっている。

マイストア委員会の開催でお客さま満足度をアップ

各店舗では、コミュニティ社員が委員となって「マイストア委員会」を組織し、毎月1回~2回程度、より良い店舗づくりのためにどのような取組が必要か意見交換を行ったり、店舗の販促キャンペーンや季節のイベントの飾り付け等を企画している。

さらに年1回、全社的な取組として各店舗のマイストア委員会の取組等をプレゼンテーションし良好な取組を表彰する「マイストアコンクール」を開催している。一部を店長(正社員)がサポートすることもあるが、コミュニティ社員のメンバーの自主性や主体性を尊重することで、達成感ややりがいを高めている。

社内提案制度や従業員アンケートにより職場環境を改善

2016年度よりコミュニティ社員も含めた全従業員を対象とした社内提案制度を運用している。四半期ごとに、会社をより良くするためのアイディアや工夫、ひらめきを募集している。優れた提案内容には、「優秀賞」、「改善賞」、「良賞」の表彰を行い、報奨金(35,000円~500円)を支給している。2016年には、応募総数約3,200件の中で、コミュニティ社員の提案(厨房クリーナーの適正量使用の工夫によるコスト削減)が年間最優秀賞を受賞した。優れた提案内容は全店舗に水平展開されている。

また、従業員満足度を調査するため、2年に1回モラルサーベイ(アンケート)を実施し、職場環境の課題の把握、従業員の満足度やモチベーションの度合いを確認する。結果については必ず振り返りを行い、課題があれば、具体的に施策を講じている。

光洋バスツアーで視野を拡大

普段見る機会がない他店舗の運営状況を知ることで自店舗の方法論を見直したり、従業員同士のコミュニケーションを通じ、顧客満足につながる新たな視点を得たりすることを目的として、貸切りバスで他店舗を巡る視察ツアー「光洋バスツアー」を2016年度より開始した。売場だけでなく、作業場等のオペレーションも視察し、直接担当者に質問することで、作業を効率化するための工夫等を現場の担当者が相互に学ぶ。視察終了後は本社で社長や役員も参加して意見交換会を行っている。また、バスツアーで学んだことを報告書に記載して自店舗へ持ち帰り、積極的に取り入れている。光洋バスツアーには誰でも参加できるが、主にコミュニティ社員や若手の正社員を参加させるようにしている。

2017年度は創業45周年の記念企画として、取引先の協力を得て、工場見学バスツアーを実施した。自分たちが日頃販売している商品が、どんなところで、どのようにして作られているかを知ることで、業務への取組姿勢にも好影響があることが期待される。

光洋バスツアー

光洋バスツアー1 光洋バスツアー2
光洋バスツアー3 光洋バスツアー4

年次有給休暇の計画的付与の導入により取得を促進

2017年度より、正社員同様、コミュニティ社員についても年次有給休暇の取得推進に向けて、保有日数のうち最低6日間(付与日数が10日の者は5日間)を計画的に付与することとした。年間スケジュールを立案し、本社にてシステム管理を行っている。

毎月、取得実績等を各店舗に周知するとともに、計画どおりに取得できていない場合は原因を把握し対策を講じるよう指示している。この結果、2016年5月~7月に2.86日であったコミュニティ社員の年次有給休暇取得日数の平均は、2017年5月~7月では3.00日に増加した。

年次有給休暇の時間単位取得等の制度を導入し、育児・介護との両立を支援

2017年5月より、年次有給休暇の5日分を時間単位で取得できる制度を導入した。この制度を利用し、毎月1回以上2時間~3時間早く帰り余暇を楽しむ「プレミアムデー」制度を導入した。

さらに、子の看護休暇・介護休暇についても子または要介護者1人につき5日、2人以上で10日分(そのうち5日分は有給)を時間単位で取得可能とするなど、法を上回る制度を導入している。取得人数は、5月104名、6月309名、7月337名と着実に増加してきた。休暇を柔軟に取得できるようにしたことで、育児・介護と仕事との両立がしやすくなり、従業員のワーク・ライフ・バランスの実現につながっている。

育児・介護ハンドブックによる各種制度の周知

育児・介護ハンドブック

育児・介護ハンドブック

産前産後休業や育児休業、育児休業給付、育児中の社会保険料免除等の制度の情報提供を行うとともに、子育てや介護をしながら働き続けられる職場環境づくりへの理解を深めるため、2017年に「育児・介護ハンドブック」を作成した。ハンドブックは社内のイントラサイトに掲示するとともに各店舗に配付している。さらに、店長会議や副店長会議ではハンドブックの内容について説明を行っており、管理職の意識改革につなげている。

ハンドブックでの周知後、つわり等により就業が困難な場合に取得できるマタニティ休暇取得に関する質問等が寄せられ、休暇の取得実績も上がっている。

リ・エントリー制度により退職者の職場復帰を支援

2016年3月より、勤続1年以上で、配偶者の転勤、転居、結婚、出産・育児、介護、留学等の理由で円満退職した従業員を対象として、会社が提示した雇用条件に応諾した場合に再雇用を認める「リ・エントリー制度」を導入した。

復職時の待遇は、離職後3年未満は退職時の職能資格とし、3年以上の場合は職務に応じて面談で決定している。これまでコミュニティ社員4名が登録し、そのうち2名が再雇用に至るなど、優秀な人材の確保につながっている。

ロコモコダイヤルを設け、キャリアやライフイベントの悩みに対応

直属の上司や職場では言いづらい、キャリアやライフイベント(妊娠・出産・育児等)に関する悩みの相談窓口として、「ロコモコダイヤル」を設置している。ロコモコダイヤルという名称は、「ロング光洋(長くいつまでも)、モア光洋(もっと好きになってほしい)」との思いから名付けられた。ロコモコダイヤルのことは、毎月の社内報で案内しており、男女ともに利用できる。悩み等を気軽に相談できる体制を整えることで、より働きやすい職場環境の構築に取り組んでいる。

4.取組に当たって工夫した点・苦労した点

同社は、全従業員の8割以上をコミュニティ社員が占めている。このコミュニティ社員が仕事を楽しみ、やりがいを感じ、キャリアアップを目指す組織を作ることが、お客さまの満足度を高め、会社を発展させていくために不可欠であるとの考えから、様々な取組を行ってきた。

特に意識しているのは、コミュニティ社員の声をよく聞き、それに真摯に対応することである。マイストア委員会や社内提案制度、月例ミーティング等、お客さまと最も近い距離で接するコミュニティ社員の意見や要望、提案を聞く機会を多く設け、寄せられた声を迅速に全店舗に展開するなど、経営に活かしている。このような会社の姿勢は、コミュニティ社員にとって「自分の声が聞いてもらえている」という実感につながり、さらにモチベーション向上にも寄与している。

5.取組の効果と今後の見通し

この数年で様々な制度・施策を展開してきた結果、パートタイム労働者の退職者数の減少と定着率の向上がみられている。また、パートタイム労働者から正社員に転換する人数は毎年20名程度に達しており、新規採用が難しい昨今の雇用情勢の中で、経験・能力のある人材を継続して確保できている。

退職者数・離職率の推移

 2014年度2015年度2016年度
退職者数1,126名1,103名942名
離職率26.1%26.6%22.6%


教育や研修を重視し、パートタイム労働者のレベル向上を図ったこと、コミュニケーションの構築につとめ、相談や意見を述べやすい風通しの良い職場環境の構築に努めたことで、技術・モチベーションともに高い人材が多く働く職場となった。作業の自動化、アウトソーシングのみならず、このようなコミュニティ社員の活躍が生産性の向上につながっている。

人時売上高・人時生産性の推移

 2016年度2017年度昨年対比
人時売上高9,954円10,422円104.70%
人時生産性2,653円2,701円102.50%

※人時売上高・・・従業員1人・1時間当たりの売上高

※人時生産性・・・従業員1人・1時間当たりの荒利益

さらに、商品知識、接客スキル等の教育訓練支援によってクレームが減少し、店舗のサービスレベルが向上した。

商品・サービスに対するクレーム件数の推移

 2016年3月~6月2017年3月~6月昨年対比
商品クレーム193件159件82.40%
サービスクレーム345件293件84.90%


特にCS(レジ及びサービスカウンター)部門におけるコミュニティ社員全員を対象にチェックアウトコンクールを実施することや、CSレベルアップ研修を実施することで、レジにおけるミスを減らすことができている。

レジミス指数の推移

 2015年度2016年度2017年度
レジミス指数3.29件3.19件2.53件

※レジミス指数・・・1万客当たりのレジミス件数

今後も、これまで導入した施策の周知・定着に努めるだけでなく、従業員からの意見を真摯に取り入れ、制度の改善や新たな施策の検討等を継続的に進めていく予定である。従業員がそれぞれの能力を伸ばし、風通しの良い職場でいきいきと働くことで、会社全体の生産性がより向上することを期待している。

 

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