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株式会社関西スーパーマーケット

平成28年度パートタイム労働者活躍推進企業表彰受賞企業事例集より

平成28年度「パートタイム労働者活躍推進企業表彰」
奨励賞(雇用均等・児童家庭局長奨励賞)

人事考課による資格等級格付を基盤とした昇給・昇格、正社員登用の仕組みに加え、パートリーダー制度を導入するとともに、充実した研修体制を構築し高付加価値人材の育成を図り、利益率向上を実現

2.賃金・労働時間
3.教育訓練等の能力開発
4.人事評価
5.キャリアアップ・
正社員転換推進措置
6.福利厚生・安全衛生
7.ワーク・ライフ・バランス
8.職場のコミュニケーション等
所在地 兵庫県 業種 小売業
従業員数 5,970名 パート労働者数 4,700名
事業概要 食品スーパーマーケット
ポイント
  • 役割・昇給基準を明確化した3等級制の人事評価制度を実施し、評価結果を昇給・賞与に反映することで、透明性のある人事評価を実施。
  • パートタイム労働者のままで、より責任のある役割に就くことができるパートリーダー制度を導入。
  • 年間計画に基づく各種研修の実施により、付加価値の高い商品を生み出す人材を育成。部門別コンテストの優秀者表彰制度で技術力や意欲の向上につなげる。
  • 40年続き、社員間に浸透している社内報を活用した情報共有や正社員と同様の「3連休制度」等福利厚生の充実。

審査委員はここを評価

パートタイム労働者についても「3連休制度」を導入し、業界でも画期的なことに加え、心身ともに元気に長く働ける職場になるための「健康経営」に着眼した取組の推進が、実際の現場意識にプラスに反映されています。

1. 企業概要・人員構造

同社は、1959年に創業し、肉・魚・野菜の生鮮3品と惣菜をメインに取り扱う食品スーパーマーケットである。鮮度と品質保持にこだわり、売場と直結した作業場で調理するインストア方式を実践し、ストアブランド品として商品を提供している。本社所在地の伊丹市を拠点として、兵庫県・大阪府・奈良県に65店舗を展開している。

パートタイム労働者は地域の主婦が半数以上で、学生や、60歳以上のシニア層も多い。パートタイム労働者のうち、基幹業務を担い、店舗の主力となっているのが「ファミリー社員」(契約期間は1年。約2500名)である。元ファミリー社員で60歳以上の再雇用者を「エルダーメイト」と呼んでいる。また、主に学生と再雇用でない60歳以上のシニア層は「アルバイト」と呼んでおり、勤務時間が短く、比較的簡単な作業を中心に従事している。パートタイム労働者はファミリー社員が5割以上を占め、次に学生アルバイトが約3割となっている。

ファミリー社員の勤務時間は、店舗のニーズと本人の希望による個別契約となっており、最短で2.5時間、最長で7.5時間となっている(正社員は8時間勤務)。基本的に週休2日~3日であり、勤務する曜日を固定して契約する。賞与は等級別に成果加算金として支給しており、退職金は支給していない。

平均的な店舗の形態は、店長以下、レジ部門を含めた海産物、精肉等の6部門にそれぞれ正社員が2名~3名とパートタイム労働者が配置されており、正社員が部門チーフを担う。レジ部門の部門チーフの立場であるチェッカーリーダーはファミリー社員も担っている。

2. 取組の背景とねらい

同社では、売場と直結した作業場で調理するインストア方式で商品を提供している。そのため、職場環境や一人ひとりの仕事への意欲が業務効率につながり、商品の水準や鮮度、さらには売上げにまで直結する。このため、正社員だけでなく、従業員の4割以上を占めているファミリー社員にもやりがいを持って業務に当たってもらえるよう、2005年頃からファミリー社員に対する様々な取組・制度を導入してきた。

同社には、社長の従業員を大切にする考えが創業当時から現在にも根付いており、このことも取組を始めた背景にある。

また、以前は店舗の各部門に正社員が4名~5名配置されていたが、現在は2名~3名ずつの配置という体制をとっており、以前にも増して基幹的役割をファミリー社員が担うようになった。そのため、ファミリー社員の働きぶりや貢献度がきちんと評価され、待遇に反映されるよう、人事制度を見直した。

3. パートタイム労働者の活躍推進のための具体的な取組

資格等級における役割や働き方の基準を明確にした人事制度

2012年4月、「働く意欲と向上心に応えられることが制度の基本」として、ファミリー社員の新しい人事制度を導入した。導入に当たっては、対象者全員に制度の仕組みを説明するため、担当者が全店舗を回り午前・午後と説明会を開いた。

ファミリー社員に1級~3級の3段階の等級を設定し、人事考課の評価によって上位の等級に昇格できる制度となっている。資格等級ごとに役割や働き方の基準が設けられ、ファミリー社員3級に昇格するには契約時間が6時間以上であることが条件となり、ファミリー社員3級は正社員登用試験の受験資格要件の一つとなる(2016年7月現在 3級:約170名、2級:約1300名、1級:約870名)。

また、各等級内には複数の号数が設定され、毎年の評価によって昇格する仕組みとなっている。

資格等級における役割基準

資格等級 資格等級における役割や働き方の基準
ファミリー社員3級
  • 新人事制度での最上位等級(正社員への転換も可能)
  • パートリーダーへ任用された者の位置付け
  • 契約時間が6時間以上のパートタイム労働者であり、部門作業の核となる者
  • 稼動時間についての変形勤務や店舗異動も可能な者※
ファミリー社員2級
  • 業務に熟練した部門作業の主たる従事者
  • 習熟と評価によって昇給及び上位への昇級が可能(ただし、昇級には勤務時間が6時間以上の契約者であることが必要)
ファミリー社員1級
  • 部門作業に従事する育成途中のパートタイム労働者
  • 習熟と評価によって昇給及び上位へ昇級

※ 店舗異動については、近隣店舗間の異動を想定しているが、現在所属している店舗に強い愛着を持ち、その店舗に貢献したいため異動を望まないファミリー社員が多く、実際にはファミリー社員に異動の発令を出したことはない。

定期的な人事考課による昇給・昇格の実施

ファミリー社員の人事考課は、職務考課と勤務成績を合わせて年2回実施し、毎年4月の定期昇給並びに年2回の賞与に反映している。

職務考課は、能力考課と情意考課があり、それぞれ考課要素と考課点のウェイトが定められ、考課要素の着眼点とポイントが明確化されている。ファミリー社員1級では規律・態度や協調性といった情意考課のウェイトが高く設定されており、上位等級になるほど仕事の質や仕事の量、スピードといった能力考課のウェイトが高まる。評価は、5(最上位)から1(最下位)までの5段階で実施し、昇給・昇格が決まる。ファミリー社員3級・2級・1級にはそれぞれ10以上の号があり、1号上がると時給が5円上がる。評価4以上で3号(15円昇給)、評価3で2号(10円昇給)昇格するというように基準が定められている。相対評価で5から1の人数配分は決まっているが上位の評価割合を高く設定しており、85%以上が3以上の評価をされ、時間給が10円以上(うち上位15%以上は評価4以上で15円)昇給する。

制度は公表しており、具体的な項目が明示されているため、ファミリー社員は入社後のキャリアアップをイメージすることができる。

一次考課者(部門チーフ若しくはチェッカーリーダー)と二次考課者(店長)による2段階での人事考課を実施しており、年2回の面接によりフィードバックと目標設定を確認している。ファミリー社員がリーダー(基本的にはチェッカーリーダーと同じ役割)の場合には、人事考課には携わらないことにしている。これは、ファミリー社員という立場を配慮してのことであり、その場合には副店長が一次考課を担当する。

また、賞与については、職務考課の評価の1~5を「評価率」として、勤怠を評価する勤務成績を「稼働時間」として反映している。

職務考課の要素とウェイト

考課要素 ファミリー
社員1級
ファミリー
社員2級
ファミリー
社員3級
着眼点とポイント
能力考課 仕事の質 10 20 25 仕事の正確さの度合い(出来栄え)仕事の合理的な進め方(ムダ・ムリ・ムラの排除)
仕事の量とスピード 10 20 25 仕事の処理の量的度合い、仕事を処理した速さの度合い
情意考課 規律・態度 40 30 25 服務規律や指示命令を守り、職場の秩序の維持向上に努めている
協調性 40 30 25 他の社員と協力し、担当部署のチームワーク向上に努めている
職務考課点合計 100 100 100

ファミリー社員の賞与制度

より責任ある役割に就けるパートリーダー制度の導入

ファミリー社員のままでも、意欲と適性があればよりやりがいや責任のある役割にチャレンジできる道として、10年ほど前からパートリーダー制度を導入している。現在は、チェッカー部門のみで運用している。

パートリーダーは、ファミリー社員2級以上の者の中から、店長とトレーナーが推薦し、人事考課や日頃の勤務状況の他、人柄までよく見て適性を判断し、本人に打診した上で任命する。ファミリー社員2級の者がパートリーダーに任命される場合は、自動的に3級に昇格するため、3級の要件となっている「契約時間が6時間以上である」ことが必要である。

パートリーダーになると、シフトを組むこと、当日の急な欠勤等に対応すること等それまでの業務にマネージメントの役割が加わり、時間給に職務手当が100円付加される。2016年7月現在においては、7名のパートリーダーが活躍している。人数が少ないように思われるが、リーダーになると、同じファミリー社員に指示をすることもある立場となるため、店舗の雰囲気や、特に人間関係をよく見た上で慎重に登用している結果である。ふさわしい人材と環境が整えば、今後も登用を進めていく。

正社員登用制度の導入・実施

2009年より正社員登用制度を導入し、これまで毎年実績がある。導入からの8年間で合計35名のファミリー社員が正社員に転換した。

登用試験受験の条件は、正社員への登用を希望するファミリー社員のうち、①ファミリー社員3級以上、②過去2年間の人事考課(応募時点より過去4回の考課)が標準「3」以上、③店長の推薦が得られることである。毎年11月に募集を行い、12月に書類選考、翌年2月に筆記試験と面接を実施して3月に合格発表となり、合格すると4月1日から正社員として勤務する。

正社員に登用されると、正社員の下位グレードであるC-1に位置付けられ、その後は正社員の人事制度により将来的には幹部候補を目指すことも可能である。また、登用試験は不合格になっても再度受験することができる。

アルバイトが正社員への登用を目指す場合には、まずファミリー社員へ契約を変更し、その後、正社員登用制度を利用する仕組みとなっている。ファミリー社員への契約変更については、掲示をして周知しているが、2016年は希望者がいなかった。

定期的に多様なコンテストを実施

毎年、全社で様々なコンテストを開催しており、ファミリー社員にはファミリー社員のみを対象とした部門別のコンテストがある。精肉部門、海産部門、寿司惣菜部門の調理技術コンテストは、各店舗から各部門につき代表者が1名出場し、全店舗の中から上位3名を表彰する。一番歴史が古く、全国大会の予備選も兼ねるチェッカー部門コンテストは、各店舗内で上位3名を表彰する。いずれも表彰状と副賞を授与している。また、調理技術コンテストでは参加者が調理を終えたのちにトレーナーのデモンストレーションがあり、全員でそれを見ながらトレーナーがポイントを説明する。バイヤーからは商品化する際の心構えを説明しているので、参加者が日々の業務で培った技術を発揮するだけでなく、教育の場にもなっている。

副賞の内容はファミリー社員の意見も取り入れた上で、コンテストの部門ごとにバラエティに富んだものが用意されている。2016年3月に開催された海産部門調理技術コンテストでは、舞鶴漁港見学が副賞として授与され、入賞者5名が活気あふれる競り市の様子等を見学した。

コンテストの様子や入賞者、また漁港見学時の様子も社内報で特集が組まれ、入賞者だけでなく社内報を見たすべてのファミリー社員のモチベーションアップにつながっている。

社内報に掲載されたコンテストの記事

年間計画に基づく研修制度

ファミリー社員の能力開発のために、各種研修を通年で実施している。年間の研修スケジュールに基づき、「部門別基礎講座研修」(各部門年1回)、基礎講座受講者向けの「部門別フォローアップ講座」(各部門年1回)、「チェッカートレーニング講座」(年3回)、「コミュニケーション研修」の他、社内施設を利用した部門ごとの実務研修がある。新しく入社したファミリー社員のための基礎的な研修は、毎月一度の集合形式で、終日をかけて行っている。

研修以外にも、日頃からトレーナーが各店舗を回ってOJTを行っており、ファミリー社員も含めた全従業員のスキルアップにつながっている。例えば、部門別の実務研修では、惣菜調理やカットフルーツの研修に力を入れており、付加価値の高い商品を作るスキルを身につけることで、多様化するニーズへの対応を可能にしている。オール日本スーパーマーケット協会(AJS)から講師を呼んで行う研修もある。

実務研修の受講者は、部門チーフや部門トレーナーがファミリー社員それぞれの習熟段階を考慮して決定し、指名する。ファミリー社員は1名当たり年1回~2回程度の研修を受講している。

従来から行っていた公募制の海外研修の対象者を、2016年からファミリー社員まで拡大した結果、ハワイでの海外研修に希望者があり、ファミリー社員の参加があった(1名)。

なお、本社社屋の建て替えに伴い、2016年8月に新たな研修施設が完成した。肉・魚・寿司・惣菜の調理ができる最新の設備を備えた調理室や、レジや陳列それぞれの研修室がある。以前は調理の研修では最前列の人にしか講師の手元が見えなかったため、調理室にモニターを設置するなど、これまでの経験から工夫を凝らしたものである。しっかりとした集合研修を実施できる施設は、長年の念願であった。新しい施設も存分に活かして、ますます効率的に充実した教育を行っていきたい。

全従業員が参加できる改善提案制度や標語コンテスト

日常業務の改善につながる知恵やアイデアを提案できる改善提案制度や、労働安全衛生に関する標語コンテストを実施している。これらにより、全従業員が会社に働きかけることができる。

改善提案制度は通年で応募できるが、年に1回強化月間を設定して広く提案を募っている。提案された内容は改善提案委員会で選考し、採用されると提案者は表彰され、金一封が授与される。2015年度は10件の提案に金一封を出しており、その中にはファミリー社員からの提案も含まれる。採用された提案は社内報に掲載して全従業員に周知され、全社で共有する。

2015年度は応募総数約100件のうち、ファミリー社員からの応募件数は約40件となっており、多くのファミリー社員が積極的に参加している。また、2016年度から新たに労働安全衛生に関する標語の募集をし、第1回はファミリー社員の標語が採用され、全店舗に掲示されている。

相談窓口

従業員の相談窓口として、コンプライアンスと雇用管理に関する相談を受ける社内窓口の他に、幅広い内容の相談を受ける「関西スーパーこころの相談室」として外部委託の窓口を設置している。また、労働組合でもファミリー社員の相談に対応している。これらは入社時に説明する以外にも、機会を捉えて掲示をするなど(直近の例では、2016年1月にセクハラ・パワハラの法改正があった際には改めて相談窓口と責任者を告知した)、常に周知することを心がけている。

年5回の社内報の発行による情報共有

年5回発行している社内報の注目記事は、各店舗を代表するファミリー社員を毎回1名特集する「ファミリー社員さん登場!」と、顧客からの評判の良いファミリー社員を毎回4名紹介する「うちのお店の接客上手」である。

「ファミリー社員さん登場!」では、見開き2ページを使って1名のファミリー社員を紹介する。店長や同僚からの声も掲載され、紹介されたファミリー社員のモチベーションアップにつながる他、店舗内のチームワーク強化にも寄与している。「うちのお店の接客上手」は1名に対し2分の1ページを使い、働く上で心掛けていること等を紹介している。いずれも、各店舗の店長は掲載したいと考えるファミリー社員が多くいるため、人選に苦労している。

社内報の記事「うちのお店の接客上手」

この他、ファミリー社員を含めた全従業員に対する方針や取組、制度の周知、安全管理や衛生管理の注意喚起、法改正や時事に関する情報提供等、充実した情報が掲載されている。この社内報は約40年前から続いており、従業員の情報共有に役立っている。

正社員と同等の福利厚生制度

福利厚生のための制度や施設(契約しているリゾート施設等)は、ファミリー社員も正社員と同様に利用できる。福利厚生制度には、慶弔や勤続10年・20年・30年の節目の永年勤続に対する特別休暇の付与、従業員カード買物割引制度等がある。直近(平成26年4月~平成28年3月)の永年勤続休暇の付与者は、10年(5日付与)は74名、20年(8日付与)は5名だった。

休日と年次有給休暇を連続させるなどして年に1回は3連休を取ってもらう「3連休制度」は、連休の取得が難しいこの業種の中では珍しい取組である。正社員には、従来から7連休・5連休・3連休を年に1回ずつ取得できる制度があったが、5年ほど前にファミリー社員も組合員になり、労使交渉によってファミリー社員にも「3連休制度」が拡充された。

また、共済会会員として、結婚祝・出産祝・出産見舞金・傷病見舞金・休業見舞金・入院見舞金・入院差額ベッド補助金・人間ドック補助金(30歳以上対象)・障害見舞金・災害見舞金・弔慰金等の給付が受けられ、ファミリー社員への支給も毎年実績がある。この制度は全従業員同じだが、収入によって会費が違い、会員区分によって給付額が決まっているため受け取れる金額はそれぞれ違う。

健康経営を推進する取組

健康診断は年に1度、ファミリー社員全員を対象に実施しており、勤務時間や勤続期間による制限はない。健康診断の結果から、平均的な数値と比較すると、血圧・脂質の有所見者数が多いことと、喫煙率が高いことが分かり、2016年6月から全店舗に体重計と血圧計を設置した。利用状況は店舗により様々だが、記録用紙を設置するなど計測を促している。また、出勤率が一番高い月曜日を「禁煙デー」としたり、新社屋は全面禁煙にするなどの取組を進めている。

こうして、メンタルヘルスを含む健康管理に取り組み、心身ともに元気に長く働き続けられる企業として、活力に満ちた「健康経営」を推進している。社内報で健康管理に関する情報や相談窓口の情報も発信している。

これらの取組から意識が高まっているためか、健康診断の有料オプションに予想以上に多くの希望者が集まり、慌てて対応をしたというエピソードもある。

育児介護両立支援制度

育児休業は法定通り、最大1年6か月、育児短時間勤務制度は法定を上回る小学校5年生就学前までの利用が可能である。介護休業・介護短時間勤務制度の利用期間はこれまでも法を上回る通算1年までであったが、2016年4月にはさらに通算3年に拡充した。

ファミリー社員の過去1年間の利用実績は、育児休業24名、介護休業4名であった。

産休・育児休業を取得した従業員のうち、正社員は全員、ファミリー社員についてもほぼ全員が復職している。

4. 取組に当たって工夫した点・苦労した点

ファミリー社員は所属している店舗への愛着が強く、この店舗にいらっしゃるお客さまに喜んでいただきたい、この店舗の売上げアップに貢献したい、という思いで一所懸命働いている者が多く、会社にとっても嬉しいことである反面、希望しないため異動をさせることは難しい。せっかく店舗に愛着を持ってくれているのでその思いを大切にしたく、また主婦が多いことからも勤務地には配慮しており、これまでにファミリー社員の異動は行っていない。

そのような状況では正社員転換制度の応募がなかなか伸びないため、異動の可能性がある正社員転換を勧めるだけではなく、ファミリー社員のままで、よりやりがいや意欲を持って仕事に取り組むことができる制度を導入する必要があった。

以前は、ファミリー社員は勤務を続けても昇給しないシステムであったが、新人事制度では、勤務年数や人事考課を待遇に反映する透明性のある評価制度となった。これにより、ファミリー社員の納得性を高めることができ、気持ち良く仕事に取り組んでもらえるようになった。従業員が家族に当社で働くことを薦め、従業員の家族がアルバイトやファミリー社員として勤務する、というようなケースも多くある。このようなことからも、会社に対して愛着を持ってもらえるようになったと実感し、嬉しく思っている。

5. 取組の効果と今後の見通し

ファミリー社員の研修内容を充実させ、新しい人事制度を導入したことによって、ファミリー社員の活躍の機会が増え、従業員に占めるファミリー社員の比率は上昇しており、定着化が進んでいる。昨今、サービス業界では人材確保が難しくなっているが、同社では長く勤務しているファミリー社員も多く、比較的安定して人材確保ができており、様々な取組の効果が出ていると考えている。

働きぶりを反映する人事制度の導入等による待遇の改善がパートタイム労働者の意欲を向上させるとともに、充実した研修制度や細やかなOJTによるスキルアップが商品の付加価値を高めることにつながり、人時生産性(荒利益/労働時間)の2015年度年間平均が前年比102.6%であるのに対して、パートタイム労働者の同年度年間総労働時間は前年比98.9%となり、生産性・利益率のアップが実現した。

しかしこのような取組をうまくアピールできていないことが課題である。一旦入社してもらえると、良い職場、働きやすい職場だと言ってもらえるが、募集をかけても思うように応募者が集まらないことも多い。そのための対策の一つとして、求職者に当社の取組をより分かりやすく伝えるため、新しいポスターを作って各店舗に貼ったり、ホームページのリニューアルを行った。また、2016年8月からはスマートフォンのアプリからも募集ページを見られるようになった。

今後も多くのファミリー社員に活躍の場を提供できるよう、より良い環境と制度を整えていきたい。

従業員の声

ファミリー社員の立場で、大好きなお店のために全力で取り組む
(店舗勤務、パートリーダー、勤続12年)

2004年に入社し、チェッカー(レジ)として勤務した。入社10年目にパートリーダーに指名された。パートリーダー就任前の約4年間、店長やマネージャーからの「パートリーダーにならないか」という声掛けを固辞していた。パートリーダーはファミリー社員の立場であり、リーダーとして指示する相手もファミリー社員。ファミリー社員同士で、指示を出す、出されるという関係になることが不安で、なかなか引き受けることができなかった。

それでも会社が声を掛け続けてくれていたため、2014年に思い切って引き受けた。実際になってみると不安に思っていたようなこともなく、職務を遂行できている。リーダーになってからは、他店のリーダーや上位役職者とかかわる機会が増え、知識やノウハウを吸収する機会が大きく増えた。そのことを自身の店舗に活かすことで、店舗運営に貢献できていると実感している。

パートリーダーの次は正社員へのステップも考えられるが、今のところ正社員になるつもりはない。入社のきっかけが、この店舗に買い物に来たところ、とても雰囲気が良く働いてみたいと思ったからなので、現在の店舗にとても愛着がある。お客さまに、「このお店で買い物をしたい」、「このお店が好き」と言ってもらえることが最大の喜びである。そのために後輩の教育にも力を入れ、店舗に所属する皆で、お客さまのため、店舗のために今後も努力していきたい。

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