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株式会社イオンファンタジー

平成28年度パートタイム労働者活躍推進企業表彰受賞企業事例集より

平成28年度「パートタイム労働者活躍推進企業表彰」
奨励賞(雇用均等・児童家庭局長奨励賞)

働きがいを高める基本を「制度の整備」と「コミュニケーション力の向上」と考え取組を実施。パートタイム労働者同士はもちろん、会社とのコミュニケーションを充実させることを中心とした仕組みを構築。パートタイム労働者の提案や発信を活かして売上げや生産性が向上

1.労働条件の明示、説明
2.賃金・労働時間
3.教育訓練等の能力開発
4.人事評価
5.キャリアアップ・
正社員転換推進措置
6.福利厚生・安全衛生
7.ワーク・ライフ・バランス
8.職場のコミュニケーション等
9.その他
所在地 千葉県 業種 生活関連サービス業・娯楽業
従業員数 5,577名 パート労働者数 5,095名
事業概要 ショッピングセンター内アミューズメント施設及びインドアプレイグラウンドの運営
ポイント
  • 明確な基準による人事評価と連動した透明性のある賃金制度を整備し、表彰制度や認定制度で「褒める」風土を醸成。
  • 積極的にパートタイム労働者を役職に登用するとともに、パートタイム労働者から契約社員を経て正社員に転換できる仕組みにより優秀な人材を確保。
  • パートタイム労働者の提案を発信し、作業改善や成功事例の共有を図る。
  • 全従業員への誕生日プレゼント等、コミュニケーションのきっかけづくりを実施。取組のマンネリ化を防止し、コミュニケーションを活性化するため、部下による上司評価等、様々な仕組みを導入。

審査委員はここを評価

評価・賃金制度や役職登用・正社員登用制度を導入することに加えて、提案制度や表彰制度、コミュニケーションの機会や情報共有を充実させることによって、パートタイム労働者のモチベーション向上に取り組んでいます。

1. 企業概要・人員構造

同社は、1997年に創業しショッピングセンター内でアミューズメント施設及びインドアプレイグラウンドを運営している。「遊びを通じて、夢と楽しさとふれあいを提案し、地域社会に奉仕しよう」という社是の下、安全に遊べる手軽な施設を国内約500店舗、アジア各国に約300店舗展開している。

従業員約5,600名のうち、正社員が約300名、契約社員(フルタイム、1年単位の有期労働契約)が約180名、「フレックス社員」と呼ばれるパートタイム労働者が約5,100名と、フレックス社員が大半を占めている。フレックス社員の労働契約期間は6か月、勤務時間は月間87時間程度から150時間の中で個別に決定している。フレックス社員には、転居を伴う異動はない。

施設利用者が子どもということもあり、子育て経験のある女性がフレックス社員の中心層になっている。

フレックス社員は店舗に配属され、接客や売場づくり等を担当している。上司の推薦により「ストアマネジャー」、「ストアマネジャー代行」に任命されたフレックス社員は、店舗の運営管理を任されている。2016年9月では、フレックス社員の店舗スタッフは約4,300名で、ストアマネジャー約300名、ストアマネジャー代行約400名となっており、正社員を含めた全ストアマネジャーの約7割、ストアマネジャー代行の約9割をフレックス社員が占めている。フレックス社員の最高職位がストアマネジャーである一方、正社員の場合は、ストアマネジャーには入社2年目~3年目から就く職位となっている。なお、ストアマネジャー、ストアマネジャー代行以外の一般の店舗スタッフは、そのほとんどをフレックス社員が占め、正社員はごく少数である。

2. 取組の背景とねらい

従業員の約9割がフレックス社員であり、フレックス社員の活躍が即事業の成功につながる。お客様に楽しく遊んでいただくためには、従業員自身が常に明るい気持ちで遊び心と夢(目標)を持つこと、自分に誇りを持ち、楽しみながら仕事をすることが大切だと考えている。そのために、全評価制度やスキルの認定制度、表彰制度等の従業員が活躍するためのベースとなる制度面を整備すると同時に、コミュニケーションを軸とした様々な取組を実施している。具体的には、誕生日プレゼントの配布や社内報の配布(社内のイントラサイト上の掲示板掲載から全従業員への配布に変更)等、「従業員間のコミュニケーションのきっかけづくり」と、業務改善に向けた提案制度、成功事例のiPadでのタイムリーな共有等、「会社との直接業務につながるコミュニケーション体制づくり」の2つに取り組んでいる。評価制度等創業時から取り組んでいる事項もあるが、取組内容のマンネリ化を避けるため、随時見直しや新たな仕組みを導入している。

3. パートタイム労働者の活躍推進のための具体的な取組

明確な基準を元に半期ごとに評価を実施

全フレックス社員に半期ごとに人事評価を行っている。役職のない店舗スタッフは、「店舗フレックス社員レベル変更評価表」と「店舗フレックス社員勤務基本行動評価表」を用いて評価を行い、ストアマネジャーとストアマネジャー代行には「ストアマネジャー(代行)役割遂行評価表」、「目標記述書」を用いて評価している。

「店舗フレックス社員レベル変更評価表」は、基礎知識や安全・安心、清掃、イベント等の業務遂行能力をフレックス社員本人とストアマネジャーの双方が評価し評価点を算出する。後述の認定制度の資格を取得している場合は、この評価点に加点が行われたものが最終評価点となって、フレックス社員の業務遂行能力のレベルである「職務レベル」がI~Xの間で決定する。職務レベルは毎回評価ごとに洗い替えとなる。マスターすべき項目が明記されているため、職務レベルを上げるためには何を習得すべきかが明確になっている。

店舗フレックス社員 レベル変更評価表(イメージ)

「店舗フレックス社員勤務基本行動評価表」は、勤務態度やチームワーク、ルールを守った業務遂行等の項目で構成され、10項目を5段階評価50点満点で採点する。33点以上でなければ職務レベルのランクアップは認められず、2回連続20点以下の場合は、原則契約更新は行わない。

店舗フレックス社員 勤務基本行動評価表(イメージ)

「ストアマネジャー(代行)役割遂行評価表」は、勤務計画作成と作業割当、販売計画の管理等、管理者としての役割遂行がどの程度のレベルか、本人とその上司の双方が採点する。認定資格取得者には加点して最終評価点を算出し、A~Eまでの職務レベルを決定する。職務レベルは毎回評価ごとに洗い替えとなる。また、ストアマネジャー及びストアマネジャー代行については、正社員と同じ「目標記述書」を用いて業績評価を実施している。評価項目は「売上達成」、「景品率管理」、「人時管理」が共通項目で、その他に上司と相談の上決定した個別目標が設定される。「景品率管理」、「人時管理」は経費管理の側面を持つが、削減すればいいというわけではなく、予算通り(100%)の運用が一番評価されるなど、管理のしやすさを意識した項目としている。

評価制度と連動した透明性の高い賃金制度

フレックス社員の給与は、基本給、地域給、フレックス給、職位手当、曜日・時間帯加給、調整給で構成されている。基本給は全員一律の金額、地域給は地域の最低賃金額等の事情に応じて店舗ごとに決定している。フレックス給は人事評価に基づく職務レベルによって決定されるため、職務レベルの変更に伴い金額が変動する。職位手当はストアマネジャー、ストアマネジャー代行に支給される。

また、店舗を対象に「店舗CS評価」を実施し、安全・清潔・おもてなし等の各項目について、「全員ができている」、「ほぼ全員ができている」等5段階で評価し、結果をストアマネジャーとストアマネジャー代行を除くフレックス社員の賞与に反映している。ストアマネジャーとストアマネジャー代行の賞与は、目標記述書による業績評価で決定する。

組織活力の向上を目指した各種表彰制度

顕著な功績を上げた従業員の意欲や努力とその功績を称え、他の従業員の模範とすることにより組織活力の向上につなげるために、表彰制度を実施している。

フレックス社員が対象となる表彰は次の通りとなっている。

フレックス社員が対象となる各種表彰制度

表彰名 対象 内容 一次推薦者
優秀スタッフ表彰 店舗スタッフ
本社スタッフ等
  • 他の模範となる取組で顕著な功績を上げたもの
  • 他部署等に水平展開される好事例を発案し、広範囲に波及する効果を上げたもの
  • 創意工夫の取組により、業務改善で大きな成果を上げたもの
全従業員
優秀店舗管理者表彰 ストアマネジャー
ストアマネジャー代行
  • お客様満足実現のため、店舗スタッフの育成、店風土の改善への積極的取組により、顕著な業績、成果を達成したもの
  • コンプライアンスをよく理解、遵守し、店舗への浸透、管理の徹底を継続させ、より顕著な業績、成果を達成したもの
エリアマネジャー
優秀店舗表彰 店舗
  • 他店舗の模範となる取組により、顕著な業績を達成した店舗
  • お客様満足実現のため、クリンリネスな売場、挨拶ができる明るい店づくり等により高いCS評価を得られた店舗
エリアマネジャー
社会貢献活動表彰 店舗
個人
  • ボランティアへの参加等、業務以外においても他の模範となる行動で社会貢献したもの
全従業員
永年勤続表彰 全従業員
  • 勤続10年、20年、30年、40年を迎えた従業員

各種表彰制度については、一次推薦者が、推薦したい者とその理由を推薦用紙に記入して本部に提出し、本部で選定を行う(永年勤続表彰は除く)。フレックス社員は被推薦者となるだけでなく、一次推薦者が「全従業員」の表彰については、フレックス社員も推薦者になることができる。さらに、優秀店舗管理者表彰と優秀スタッフ表彰については、特にその内容が優秀で他の模範となるものを社長表彰に選んでいる。

2015年度の具体的な表彰例としては、「月40枚~50枚の景品POPを手書きで作成して全店舗に配信した結果、ゲーム機の訴求力がアップし売上増に多大な貢献をした」といった事例(優秀スタッフ表彰 社長表彰)や「不慣れな新人が多い中で新店舗オープンを迎え、運営面、管理面で問題が山積していたが、一つひとつ解決し、累計予算を大幅達成した」といった事例(優秀店舗管理者表彰 社長表彰)がある。

表彰結果は「Aeon Fantasy Award」という冊子に、名前、顔写真、受賞内容を掲載し、全従業員に配布している。2015年度にフレックス社員で個人表彰を受賞した者は、優秀スタッフ表彰 社長表彰1名(2名)、優秀スタッフ表彰5名(6名)、優秀店舗管理者表彰 社長表彰2名(2名)、優秀店舗管理者表彰2名(5名)、永年勤続表彰107名(151名)となっている(※( )内は正社員・契約社員を含めた総受賞者数)。優秀店舗表彰を受けた店舗のスタッフ全員が東京ディズニーランド若しくはユニバーサルスタジオジャパンのどちらかに招待される。その際の店舗運営は社長を始め営業担当役員等が店舗で勤務する。

イオンファンタジーアワード2015

また、2016年度は、「モーリーファンタジー」のブランディングプロジェクト(後述)の一環として、ブランド価値を高めるためには従業員満足を高めることも重要であると考え、全従業員を対象にした従業員表彰を実施した。ピカピカにきれいな店舗を表彰する「クリンリネス部門」、接客の素晴らしい個人を表彰する「接客部門」、積極的なチャレンジャーや一所懸命頑張っている個人を表彰する「積極的頑張り部門」の3部門で表彰を行い、個人表彰ではフレックス社員79名が受賞した。受賞者は本社で決定するのではなく、より店舗に近いエリアマネジャー等が決定することとし、普段の取組をより反映できる仕組みとしている。また、エリアマネジャー等には受賞者を決定する責任を負うことにより、より店舗に入り込むなど店舗スタッフとのコミュニケーション強化を期待している。今後も毎年継続していく予定である。

全社共通ツールによる入社時オリエンテーションとOJTを実施

フレックス社員に対して、入社時に各店舗でオリエンテーションを行っている。店頭に立つまでにDVD等を観て基本知識を学ばせるとともに、会社の事業内容・組織、お客様満足に向けた行動基準・行動指針、就業規則等の基本ルールを、「フレックスファイル」という全社共通ツールを使って説明している。ファイルの中には、職場でのルールやフレックス社員就業規則の他、「イオン行動規範110番」「セクシャルハラスメント・人権・人事に関する相談窓口」の連絡先等が揃えられている。

オリエンテーション後は、店舗の作業を網羅した「ステップアッププログラム」に沿って1か月間OJTを行い、トレーナーが項目ごとに出来栄えを判定していく。

スキル向上を促す認定制度

店舗スタッフのスキル向上とリーダー育成を目指して、2012年度より5つの分野で認定制度を設けている。セミナー実施後に筆記試験と実技試験を行い、年1回認定者を決定している。評価制度の項目で前述の通り、スキル向上へのモチベーションアップのため、2016年度より評価制度と連動させ、認定資格取得者には評価点の加算を行っている。また、資格取得者には資格ごとにバッジが渡され、名札とともに着用している。

資格ごとのバッジ

認定資格制度

認定資格 セミナー内容 資格取得者数
エンターテイメント認定制度
  • お客様に「楽しかった!また来たい!」の気持ちを提供できるエンターテイメントの知識と技術を学ぶ
222名
プライズ認定制度
  • クレーンゲーム機の極意を実技と座学で学ぶ
361名
CSインストラクター認定制度
  • 自店のファンを増やす方法をグループワークで学ぶ
377名
プレイリーダー認定制度
  • 子どもとの接し方、声掛けの仕方、事故やトラブル時の迅速な対応方法を実践で学ぶ
68名
メダル認定制度
  • メダルゲーム運営の知識とスキルを学ぶ
149名

フレックス社員の参加しやすさに配慮した管理者研修

ストアマネジャーやストアマネジャー代行への登用者を対象に、店舗管理に必要な労務管理やコミュニケーション術、伝えるスキル等について、社内講師や大学教授らによるOff-JTを実施している。以前は宿泊形式で集中的に実施していたが、フレックス社員の参加のしやすさを考慮して、宿泊不要の1日研修を計4回行う形式に変更した。開催場所は現在1か所だが、今後は複数会場での開催も検討している。セミナー参加者は2015年度は117名、2016年度上期で63名となっている。

多数のフレックス社員をストアマネジャー等へ登用、賃金も均衡を意識

「管理業務ができるか」、「他のメンバーの理解が得られるか」等の観点でエリアマネジャーが推薦したフレックス社員をストアマネジャーやストアマネジャー代行に登用している。人事評価の結果は参考にするが、一定以上の評価が必須等の要件は設けていない。

ストアマネジャー、ストアマネジャー代行は、正社員とフレックス社員で職務内容や職責は同じであるが、ここからさらに上位の役職を目指してもらいたい正社員や契約社員とは異なり、フレックス社員においてはストアマネジャーが最高職位であるため、職位手当の額はフレックス社員の方が高く設定されている。正社員の「資格給+能力給+職位手当」とフレックス社員の「基本給+フレックス給+地域給+職位手当」を時間単価で比較した場合、ほぼ同水準となっている。

ストアマネジャーは416名中290名がフレックス社員、ストアマネジャー代行は440名中406名がフレックス社員である。

幅広い人材に間口を広げた契約社員転換制度、契約社員を経て正社員へ

フレックス社員から契約社員への登用試験を年2回実施している。応募資格は、勤続6か月以上、一定地域内の転居を伴わない転勤が可能なこと、経営方針に共鳴し前向きな姿勢で業務に当たれる者等となっている。本人が志望動機を提出し、筆記試験、面接試験を経て合格者を決定している。2016年上期の登用者までは、人事評価の結果で決まる職務レベルを応募資格の要件に盛り込んでいたが、より幅広い人材を登用するため下期の試験から職務レベルの要件を外した。

契約社員として6か月以上勤務すると、正社員登用試験の応募資格を得ることができる。正社員登用試験は年1回実施され、転居を伴う転勤が可能なことや社員に求められる勤務条件通りに勤務できることが条件となり、筆記試験と面接試験が課せられている。

2013年度からの累計で、契約社員への登用者27名、社員登用者15名となっている。契約社員の約9割がフレックス社員からの登用である。また、現在の常勤取締役7名中2名(取締役人事総務本部長、取締役商品開発本部長)は、フレックス社員出身である。

フレックス社員の提案を活かした作業改善キャンペーン

店舗の生産性改善の視点で、店舗にて無駄だと感じる作業を投稿してもらっている。投稿された提案で採用された事例として、「毎月1回の棚卸を四半期に1回に減らした」、「決裁金額の基準を見直して社内決裁手続きを減らした」等がある。個人で投稿できるため、フレックス社員が積極的に投稿している。社長が直接投稿を見てすぐに採否を決定するため、改善までのスピードが速く、投稿の成果を実感しやすくなっている。2016年上期は209件の提案があり、2015年下期よりも101件増加している。

フレックス社員による成功事例の発信

クレーンゲーム機の展開(置き場所や装飾等)の成功事例の共有を目的に、iPadで投稿するシステムを導入している。投稿は景品担当のフレックス社員が行っている。以前は報告書や会議で共有していたが、このシステムの導入によりスピードと精度が高まった。また、自店舗の取組が他店舗でも展開されることで、担当者の励みや喜びとなり、展開方法をより工夫しようというモチベーションアップにつながっている。

社内プロジェクトにフレックス社員も参画

同社の基幹ブランドである「モーリーファンタジー」のブランド力を強化するためのプロジェクトを2016年に立ち上げ、全従業員を対象にメンバーを公募した。25名中11名がフレックス社員で構成され、2週間に1回本社に集まってミーティングを行っている。

フレックス社員の提案で実行された企画として、お客様に多くの店舗を知ってもらうための「店舗横断スタンプラリーの実施」や、お客様とのコミュニケーションツールとしての「キャラクターグッズの作成」等、店舗スタッフならではの視点を活かした内容となっており、「本社スタッフからの提案よりも力が入る」という現場からの声も上がっている。その他、前述の従業員表彰もこのプロジェクトで企画された。

定期的な会議による情報共有と横のつながりの強化

年1回、全ストアマネジャー、本社スタッフが参加する政策発表会を開催し、会社方針、営業方針の共有を行っている。政策発表会後の懇親会では、エリアマネジャー等の営業スタッフが業務の合間に練習を重ねた出し物を発表し、ストアマネジャーについても日頃は見られない一面を見ることができるなど、交流を深める機会になっている。

その他、四半期に1回エリア単位でストアマネジャー会議を開催し、情報伝達や教育、研修を実施している。

社内報による情報共有とコミュニケーション機会の提供

社内情報の共有を目的に、2か月に1回社内報「fantasista」を発行し、全従業員に配布している。掲載内容は、年度営業政策、認定制度セミナー案内、社内プロジェクト報告、新店紹介等多岐にわたり、イラストや写真を豊富に盛り込んで見やすく分かりやすい内容に仕上がっている。これまでは社内掲示板(イントラサイト)に掲載していたが、いつでもどこでも読め、家に持ち帰って家庭内のコミュニケーションツールにもして欲しいことから、2016年度より冊子の配布に変更した。家族に会社のことを知ってもらうことで、仕事への理解にもつながり、より働きやすくなるのではないかと考えている。従業員からは好評であり、2017年度からは月1回の発行に変更することとしている。

社内報「fantasista」

上司の宣言を部下が評価

活発なコミュニケーションにより、職場の風通しを良くし、結果として生産性も高めていくことを目指し、2016年9月に「上司コミュニケーション宣言」を実施した。上司が部下とのコミュニケーションの方法を宣言して実践し、部下は日頃の上司とのコミュニケーションに加え、上司が宣言した方法を宣言通りに実践できたかを評価する。この結果、上司と部下の意識の差が明らかになったり、「上司に声を掛けやすくなった」、「相談しやすくなった」とコミュニケーション活性化への寄与がみられた。今後も定期的に実施していく予定である。

上司コミュニケーション宣言

全従業員に誕生日プレゼントを配布

日頃の感謝の気持ちを込めて、誕生月の全従業員にバッジやペン等、自社キャラクターのオリジナルグッズを贈っている。プレゼントを介して会話が生まれ、コミュニケーションの良い機会となっている。

法定を上回る育児休業制度や両立支援に向けた取組

育児休業制度、介護休業制度ともに正社員と同じ規程が適用されている。育児休業については、第1子は最長3年間、子が満3歳になるまで取得できるなど、法定を上回る規程となっている。2016年7月までに59名のフレックス社員が育児休業を取得しており、育児休業を終了したフレックス社員のほとんどが職場復帰をしている。

また、「イクボス企業方針5か条」を掲げ、「子育て支援ナンバーワン企業を目指して取り組みを進めます」等を宣言している。これにより、管理者が効率良く働くことを思考するようになり、業務改善が進んだことで働きやすくなったという声がフレックス社員から上がっている。

その他、育児や介護等の事由により退職した従業員を再雇用する「リ・エントリー制度」を2016年から実施している。結婚・出産・育児・介護等を理由に退職した勤続1年以上かつ退職後3年以内の正社員、契約社員、フレックス社員が対象で、お客様としての視点を業務に活かすことも目的の一つとしている。

障害を持つスタッフ社員の定着とスキルアップを目指す

同社では、障害者雇用にも積極的に取り組み、2016年10月の雇用率は2.18%となっている。障害者は店舗での業務に従事することが難しいことから、本社で雇用を促進している。本社フレックス社員78名中30名(38.5%)が障害者で本社従業員の15.3%に当たる。2016年度より就労移行支援施設と業務委託契約を結び、障害者を対象に月1回の面談や研修等を実施して、定着及びスキル向上に努めている。

正社員に準じた福利厚生制度を適用

正社員と水準は異なるが、フレックス社員にも有給の慶弔休暇の付与や慶弔見舞金が支給されている。また所定労働時間が月120時間以上のフレックス社員は、イオングループの共済会に加入している。

4. 取組に当たって工夫した点・苦労した点

取組を実施するに当たって、賃金の観点ももちろん重要であるが、人と人とのつながりが円滑であることが何より大切であると考えている。コミュニケーションがうまくいっていない中で制度を導入し、推進しても成果は出ない。また、制度の存在は入社の契機や誘引材料にはなるが、社内のコミュニケーションに問題がある環境では結局退職してしまい定着にはつながらない。そのため、「誕生日プレゼント」や「上司コミュニケーション宣言」等、気軽に声を上げる・声を聴くことができるように、現場での身近なコミュニケーションツールを始めとするいろいろな取組を実施してきた。制度の浸透のためにはやり続けていくことが非常に重要であるが、一方で同じことを続けているとマンネリ化していくこともある。そのため常にコミュニケーションを活性化させるために、その都度見直しや、定期的に新しい制度を取り入れるなど試行錯誤している。

5. 取組の効果と今後の見通し

様々な取組の結果、風通しが良く働きやすい職場環境を作ることができ、フレックス社員の定着率が高まっている。2014年は平均勤続年数が4.17年であったが、2016年では4.43年まで伸長している。また、認定制度でのスキルアップや、作業改善キャンペーンによる作業の見直し、成功事例のスピーディーな全店舗共有等の取組により、クレーンゲーム機の売上げが2015年3月~5月前年比97.5%から2016年3月~5月前年比116.3%へと大きく改善している。人時生産性についても、今年度より前年比100.9%と前年を上回る結果を出している。

フレックス社員からは、「認定制度により目指すものが分かりやすくなり、意欲が上がった」、「作業改善キャンペーンやプロジェクトに参加することで、参画意識が高まりやりがいが出た」等の意見が出ており、モチベーションアップに一定の効果を上げていると認識している。

働きやすい職場づくりへの取組は対外的にも高い評価を受け、女性の活躍推進に関する取組状況が優良な企業に与えられる「えるぼし認定」の2段階目を2016年に取得した。

今後も、コミュニケーション力が働きがいを高め、従業員の活躍を支えるベースになるという考えの下、現状の取組のブラッシュアップや新たな取組の導入等を行っていく予定である。

えるぼし認定

従業員の声

フレックス社員から契約社員を経て正社員に転換し、
現在は財経・管理本部でマネジャーとして活躍(本社勤務、財経・管理本部、勤続18年)

1999年にフレックス社員として入社し、店舗ではなく本部にて、商品部の景品に携る仕事に配属された。当時の上司が会議への参加を促したり、いろいろな専門知識を教授してくれたため、正社員と同様に会社の情報に触れることができた。フレックス社員当時からフルタイムに近い時間働いており、景品ゲームが好きだったこともあってやりがいを感じ、次第に仕事にのめり込むようになっていった。上司の強い薦めもあり、2001年に契約社員になった。

フレックス社員の時はパートタイム勤務であったため出張等はなかったが、契約社員になって担当業務を持つようになると、新店舗準備等、店舗へ出向く機会が多くなり、業務の幅が広がっていった。契約社員の4年間でいくつか異なる職務に就いて経験を積み、より飛躍するためには思い切って正社員になってみようと考え、2005年社員登用試験を受けて正社員になった。現在は財経・管理本部で店舗の売上管理や後方管理を行っているが、将来的にはディビジョンマネジャーやゼネラルマネジャー等さらに上の職位を目指していきたい。

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