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(株)金トビ志賀

パートタイム労働者雇用管理改善マニュアル・好事例集(製造業)より

継続的に働きやすい雇用環境を整備し、会社の活力につなげている

4.人事評価
5.キャリアアップ・
正社員転換推進措置
7.ワーク・ライフ・バランス
8.職場のコミュニケーション等
所在地 愛知県 業種 食料品製造業
従業員数 55名 パート労働者数 17名
ポイント
  • 仕事と生活との調和推進を重視し、年次有給休暇取得率はほぼ100%を達成。
  • 人事評価の実施と評価結果の処遇への反映。
  • 正社員転換制度により活躍の場が広がった社員は基幹的人材に成長。
  • 経験豊富な社員の雇用確保と働きがいのある組織風土の醸成。

(1)企業概要・人員構造

伝統に育まれた確かな技術の下、乾麺の製造・販売を行う企業であり、県ブランド企業認定企業(製粉・製麺業界初)、県ファミリーフレンドリー受賞企業でもある。県内には、製粉工場及び製麺工場の2工場があり、安全安心な麺づくりを目指すHACCP1認定工場(県内製麺工場初)、及びISO90012証工場である。作業工程での衛生管理は、食品製造現場では欠かせないものであり、意識面を含めて安全衛生管理体制に長年取り組み、さらに総合的な衛生管理を実施している。パートタイマーは製麺工場に配置されている。正社員である上司の直接的な監督の下、指示を受けて業務を行う。作業は特段複雑なものではないが、製粉工場で挽いた小麦粉から作られた麺の検品、袋詰めやラベル張りなど手作業で行っている。

パートタイマーは工場の近隣に住む子育て中の社員が多数活躍している。パートタイマーの雇用は1年更新の有期雇用である。正社員と同様に1年単位の変形労働時間制を採用しており、年間カレンダーで出勤日が決められている。年2回の繁忙期(中元・歳暮需要期)に計6回の土曜出勤が設けられている以外は、週休2日制である。正社員の所定労働時間は8時間(午前8時から午後5時まで途中昼休憩60分)であり、パートタイマーの所定労働時間は4時間、5時間、5.5時間など個々の勤務可能時間を考慮して、個別に所定労働時間を決定している。全員雇用保険に加入している。

パートタイマーの労働条件概要

雇用区分 パートタイマー
雇用期間 有期雇用(1年)更新有
勤務時間 午前8時~午後5時のうち、
個別契約による
休憩時間 60分
休日 週休2日制(会社カレンダーによる)
賃金体系 時給制
適用保険 雇用保険、労災保険

(2)取組の背景

創業は大正6年と古く、大正、昭和、平成と時代の変化とともに、業界を取り巻く環境は確実に変化しており、製品の入れ替わりも頻繁にある。そのような中で、顧客満足度の高い製品を顧客に届け続けられている理由は、創業時から今に受け継がれてきた“社員ひとりひとりを大切にする経営”にある。納会、ボーリング大会、創業感謝会など、パートタイマーを含めた社員間のコミュニケーションを円滑にするための取組を継続的に実施している。また、パートタイマーを含め社員の誕生日には会社からのプレゼントが贈られる。毎月の給与明細書には、“困ったときはいつでも相談に”といった趣旨の社長のメッセージが添えられ、社長のメールアドレスや連絡先が同封されることもある。

(3)取組の内容

年次有給休暇取得率は、ほぼ100%を達成

仕事と生活の調和を推進する企業として、県のファミリーフレンドリー企業に表彰されており、多様かつ柔軟な働き方を社員が選択できる施策を積極的に展開している。そのひとつが、年次有給休暇の取得率向上への取組である。年5日の計画年休制度を導入し、パートタイマーを含む全社員が年次有給休暇を取得しやすい風土づくりに努めている。年次有給休暇の付与は法定どおりであるが、子育て中のパートタイマーも多いことから、子どもの学校行事へ気兼ねなく参加できるように、半日単位の年次有給休暇取得が可能である。パートタイマーの年次有給休暇取得率はほぼ100%を達成している。今後も年次有給休暇を取得しやすい職場環境作りに取り組むことが重要だと認識している。

公正性・透明性を高めるための人事評価の実施

パートタイマーの人事評価と処遇については、「パートタイム従業員就業規則」に規定し、公平性・透明性を重視している。パートタイマーの時給は、等級別号俸給3により決定される。等級は3等級(上級パート)から1等級(一般パート)の3等級に区分されている。等級ごとに必要とされる能力の概要は以下のとおりである。

等級 種類 必要とされる能力
3等級 上級パート ・自己の判断で業務処理を行う
・業務に必要な実務的、専門的知識、技能を用いて、下位者の援助をする
2等級 中級パート ・定型的業務に従事し、一定の手続き、基準に従って処理する
1等級4 一般パート ・上司の直接的監督の下、細部的な指示を受けて業務を処理する

人事評価は「人事考課表」に基づき、日頃のパートタイマーの能力を最も把握している所属長が契約更新時に、年1回実施している。考課項目は、成績、情意、能力の3項目合計9要素から構成される。各要素の着眼点5ごとに5段階評価としている。これに勤怠実績を加味し、S判定(最高評価)からd判定(最低評価)までの評価を行う。査定結果は、時給に反映させている。

正社員転換制度の導入・実施

パートタイム労働法の改正を機に、正社員転換制度を導入した。従来からパートタイム用の就業規則を整備し、工場や事務所に備え付けることにより周知しており、転換制度についても同様に就業規則に明記した6。正社員転換制度は、(1)正社員と同様の時間及び日数の勤務が可能なこと、(2)勤務成績が良好なこと、(3)業務遂行意欲が高いこと、(4)所属長の推薦があること、などの基準を設けている。転換に必要な要件をすべて満たした場合に、正社員への転換制度に応募することができる。その後、役員面接を経て、合否を決定している。正社員転換制度の整備後は、3名の正社員への転換実績がある。現在、正社員に転換した社員は、責任ある職務を遂行し、業務の円滑な遂行に日々尽力し、新人パートタイマーの指導にも当たっている。転換者の中には入社時からの勤務年数が20年を超える者もおり、会社の中核を担う人材に成長している。今後 も能力と意欲のある基幹的な戦力となる人材が輩出されることを期待している。また、その基盤づくりは会社としての重要な責務だと認識している。

経験豊富な社員の雇用確保と働きがいのある組織風土の醸成

現在、パートタイマーの平均年齢は約42歳である。男性に関してはすべてが60歳以上7であり、女性に関しても年齢構成に幅がある。パートタイマーの定年は60歳であるが、会社としては、年齢に関わりなく働き続けられる環境を整備することが重要だと認識している。

(4)成果と課題

従来からパートタイマーの雇用は7名前後と、さほど多くはなかったが、新製品のヒットにより、急遽増員が必要となった。そのため、10名程のパートタイマーを採用した。現在は臨時という扱いだが、契約期間満了後も、本人の能力や適性に応じて、やる気のあるパートタイマーについては、会社としては継続雇用したい意向である。即席麺などの新商品も次々に市場に登場し、麺業界を取り巻く環境は大きく変わりつつある。今回、新しい製品開発が契機になり、新たな雇用を生み出すことができた。パートタイマーを含め多様な人材の活用は、会社に活力をもたらすことにつながると感じている。

パートタイマーの勤続年数は伸びる傾向にあり、現在最長で37か月(約3年)在籍している社員を筆頭に、それに近い勤続年数の社員が続いている。それぞれの働き方のニーズに合わせて、働きやすい職場環境を整備してきた結果、優秀な人材の定着につながっている。社内全体の高齢化が進んでいることは、直視せざるを得ない。臨時雇用のパートタイマー以外は、すべてのパートタイマーに対して法定の健康診断を実施しているが、加齢による体力的な変化も個人差が大きくなるため、健康面の配慮もより一層重要になると認識している。

経験が浅い人材が作業工程に入ることで、社員間のコミュニケーションが増々重要になることも認識している。社内全体の風通しの良い職場環境づくりに、日々地道に取り組んでいくことが重要だと認識している。

  1. 食品の製造・加工工程のあらゆる段階で発生する恐れのある微生物汚染等の危害をあらかじめ分析し、その結果に基づいて、製造工程のどの段階でどのような対策を講じればより安全な製品を得ることができるかという 重要管理点を定め、これを連続的に監視することにより製品の安全を確保する衛生管理の手法(hazard analysis critical control point の略)。
  2. 顧客や社会などが求める品質を備えた製品やサービスを常に届けるための仕組みについて国際標準化機構(ISO)が定めた世界共通の規格のこと。
  3. 等級1号俸から3等級10号俸までの10区分、2等級1号俸から2等級10号俸までの10区分、1等級1号俸から1等級20号俸までの20区分に細分化されている。
  4. 採用者のほとんどは業務初心者のため、1等級からのスタートである。
  5. 例として、情意項目の要素の一つである責任感については、「自分の業務に関して責任ある態度を示し、業務を責任をもって遂行しようとする意欲」を着眼点とし判定する。
  6. 各種問合せ等に対しては、工場と総務担当との連携を密にして丁寧に対応している。
  7. 定年退職後に再雇用する嘱託社員ではない。

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