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株式会社東邦銀行

平成28年度パートタイム労働者活躍推進企業表彰受賞企業事例集より

平成28年度「パートタイム労働者活躍推進企業表彰」
優良賞(雇用均等・児童家庭局長優良賞)

パートタイム労働者の正社員登用を進めるため、特定業務を担当する行員(正社員)を新設。事業所内保育所を設けるなど、充実した仕事と家庭の両立支援制度を整備

2.賃金・労働時間
3.教育訓練等の能力開発
4.人事評価
5.キャリアアップ・
正社員転換推進措置
6.福利厚生・安全衛生
7.ワーク・ライフ・バランス
8.職場のコミュニケーション等
所在地 福島県 業種 金融業・保険業
従業員数 3,255名 パート労働者数 733名
事業概要 福島県下の自治体の多くから指定金融機関の委託を受ける地方銀行
ポイント
  • パートタイム労働者についても、半年ごとに業績考課を実施。日頃の働きぶりも含め総合的に評価。業務上の優れた取組を社内報に取り上げたり、表彰する仕組みを導入することで、パートタイム労働者が多数を占め、業績が目に見えにくい事務部門も、積極的に評価できるよう配慮。
  • 2015年度に特定業務を担当する「特定職行員」制度を新設し、資格取得を要件とせず行員に転換できる道や、パートタイム労働者から直接行員への転換も可能にし、パートタイム労働者のキャリアアップへの意欲を喚起。
  • 従業員の声を直接把握するために「育児・介護モニター制度」を設ける他、事業所内保育所等、仕事と家庭の両立支援制度を整備し、パートタイム労働者も行員と変わらない条件で利用可能としている。

審査委員はここを評価

パートタイム労働者に多様な能力開発機会を提供するだけでなく、正社員転換への意欲を喚起するために新しい雇用区分を設けるなど、戦力化のために様々な取組を行っています。両者の両立支援制度を同一化していることも評価できます。

1. 企業概要・人員構造

同行は、1941年に郡山商業銀行、会津銀行、白河瀬谷銀行の3行が合併して発足した。現在は福島県を中心に115か所の店舗を展開している。

同行の雇用形態には、大きく分けて、「行員」、「嘱託」、「パートナー」の3つの区分がある。行員はフルタイムの正規従業員である。2015年10月には、この行員区分の中に、預金事務や広報といった特定の業務分野に関するスペシャリストである「特定職行員」という区分が新たに設けられた。嘱託はフルタイムの契約社員であり、窓口業務を担当し、所定の資格を必要とする「キャリア事務嘱託」と、主に後方事務を担当し、資格の取得は要しない「事務嘱託」とに分けられる。

「パートナー」は、短時間勤務の契約社員の呼称である。パートタイム労働者を含む全従業員が一体感を持って働けるようにと、同行がパートタイム労働者に対して設けた。パートナーの勤務は1日当たり4時間~7時間45分で、1年契約で雇用される。担当する主な業務は、窓口、ロビースタッフ、事務である。業務の多様化に伴い、パートナーはやや増加傾向にあり、現在は従業員の約4分の1を占めている。補助的な業務から中心的な役割まで担い、重要な戦力となっている。パートナーの中には、行員が60歳で定年退職し65歳まで継続雇用されたのちに70歳まで時間給で働くシニアサポーター(2016年4月1日現在21名)も含まれている。

雇用形態

雇用区分 雇用条件等
行員 フルタイムの正規従業員
特定職行員 フルタイムの正規従業員のうち、特定の業務分野に関するスペシャリスト
嘱託 キャリア事務嘱託
  • フルタイムの契約職員
  • 窓口業務を担当し、所定の資格を必要とする
事務嘱託
  • フルタイムの契約職員
  • 主に後方事務を担当し、資格の取得は要しない
パートナー 短時間勤務の契約職員

2. 取組の背景とねらい

同行では、従来より、「人を大事にする経営」を推進すべく、行員だけではなく、パートナーも含めた多様な働き方(ダイバーシティ)推進の取組を進めてきた。それと並行して、業務が多様化し、その効率化を図る中で、従業員の4分の1近くをパートナーが占めるまでになってきた。そのパートナーをバックアップするため、積極的に制度の充実を図り、活躍の機会や場を拡充させてきた。例えば、2015年には個々のパートナーのキャリアアップ、スキルアップを支援する専門部署として「パートナー支援室」を設けている。また、同行では、福利厚生を含む制度のほとんどがパートナーも対象としている。

3. パートタイム労働者の活躍推進のための具体的な取組

日頃の働きを含め業績考課で総合的に評価し、評価結果を待遇に反映

全パートナーを対象に、半年ごとの業績考課を実施している。目的は、パートナーの勤務態度等を適正に評価し、業務への意欲や責任感を向上させることである。具体的には、全職種共通の考課表を用いて、実績5項目、態度7項目の計12項目を点数化し、合計得点を5段階に分けて評価している。特記事項欄には通信教育の受講履歴、「いいね!リポート」の報告、個人表彰の受賞歴、日頃努力している点等を記載させ、これらも評価の対象にすることで、日頃の働きぶりやスキルアップへの意欲等を総合的に評価することとしている。

業績考課の結果は、直属の上司(所属長等)が面談により本人にフィードバックし、行員及び嘱託への登用に反映される。なお、行員及び嘱託に対しては、パートナーとは異なる基準及び様式の考課表が用いられている。

窓口業務を担当するテラーパートナーに対しては、半年に一度、同じく窓口業務を担当する行員や嘱託と共通の評価基準(セールスの成果を点数化した評価)に基づいて評点をつけ、点数が高い者から順にS、A、B、Cの4つのグレードにランク付けして評価している。その上で、4つのグレードのうち上位3グレードに入った場合に褒賞金を支給している。この褒賞金が支給されるのはテラーパートナーだけであるが、賞与のないパートナーに対しても努力を評価して待遇に反映することを目的とした取組である。なお、2015年度には、137名のテラーパートナーに対して褒賞金を支給している。

「いいね!リポート」と表彰制度でスポットライトを

従業員のモチベーションを高め、事務処理・事務管理に対する意識改革を図る目的で、「いいね!リポート」を発信している。一人ひとりの頑張りや良い取組を社内報に取り上げて紹介するもので、募集は随時行っており、銀行全体で共有し見習いたいと考えられるような取組を取り上げている。リポートの対象となるのは全従業員だが、事務に従事する従業員にパートナーが占める比率が高いため、パートナーが取り上げられる機会が多くなっている。これは、営業成績等実績が見えにくく、他の職種に比べれば目立つことの少ない事務に従事するパートナーにも注目される機会を増やしたいというねらいもある。

「いいね!リポート」(例)

「いいね!リポート」に取り上げられたもののうち、特に優れた取組を実践している従業員に対しては、半年ごとに行う「営業店表彰制度」で、事務管理部門の個人表彰を授与している。また、受賞者を推薦した従業員には記念品が進呈される。2014年度下期には全体で4名が受賞し、そのうち3名がパートナーであった。2015年度上期は4名のうち2名、2015年度下期は4名のうち2名がパートナーの受賞となっている。2015年10月には、従来から実施している「総合表彰(営業店を対象とした表彰制度)」において、「いいね!リポート」を多く報告していることが加点事由に加わった。このことにより、社内がより積極的に事務に従事する従業員に目を向け、パートナーを評価する機会が増えることが期待される。

細やかな工夫で各種研修への参加機会を確保・充実

パートナーのスキルやモチベーションの向上とキャリアアップ支援を目的に、すべてのパートナーに受講させる計画で、2014年度下期から地区別の研修を実施している。福島県内を4つに分けて開催し、さらに1か所当たり3回程度日程を設けることで、パートナーが参加しやすいよう配慮している。研修テーマは、CS(顧客満足)やコンプライアンス、事務知識の習得、窓口業務の基本といった日々の業務に関連したものから、認知症サポーター養成講座等まであり、2014年度下期には180名、2015年度上期には183名のパートナーが参加した。

終了後にはアンケートを実施し、社会情勢や従業員のニーズに即した内容に見直すなどの工夫をしている。アンケートでは、「業務の基本を見直す良い機会になった」、「コンプライアンスの重要性を認識できた」、「認知症の高齢者についての理解が深まり接客に活かしたい」等の意見が寄せられており、パートナーの能力開発に役立っている。また、パートナーは他の支店の従業員との接点が少ないことから、研修ではあえて異なる支店のパートナーが同じグループになるよう席を指定するなど、細かな工夫を凝らしている。

同行では、従業員の能力開発を後押しするため、体系化された行内研修制度「とうほうユニバーシティ」を実施している。銀行業務の基礎知識を習得する「基礎講座」や「自己能力開発講座」といった様々な行内研修を、パートナーも行員等と同様に受講することができる。その他にも、公募による自主参加形式の行外研修(サービス介助士取得講座や福島特例通訳案内士資格研修等)や公的資格取得のための受験対策講座、各種の通信講座も行員同様に受講することができ、自己啓発の促進に役立てられている。公的資格の取得に関しては、資格によっては、合格した場合に褒賞金が支給されるケースもある。

これらの取組に加えて、2015年10月からは、TV会議システムを活用した「新規採用パートナー講座」を開始した。毎月開講しており、新規に採用されたパートナーは受講が義務付けられている。2015年度下期には対象者全員に当たる41名のパートナーが受講した。研修内容は、就業規則やコンプライアンス、両立支援制度、行員や嘱託への登用制度等についてであり、採用直後に実施することで、勤務の基本に関する早期の意識付けを図っている。従来は、こうした採用直後の研修は支店ごとに独自の方法により行っていたが、行内全体で統一したカリキュラムと教材を用いて研修するようになったことで、新規採用パートナーの基礎スキルの統一と向上が図られ、その後の各支店における教育をより効率的に行うことができるようになった。

また、それ以外の研修でもTV会議システムを利用することで、県内外に点在する支店からの移動負担を軽減している。

加えて、2015年10月からは、自宅のパソコンでe-ラーニングが利用できる「とうほうホームラーニング」の運用を始めた。パートナーも行員と同じ条件でプログラムにアクセスすることができ、2015年10月から2016年9月末までの期間に527名のパートナーが活用するなど、業務スキルの習得や自己啓発に役立っている。このe-ラーニングの仕組みを使って、育児休業中の従業員が行内情報を共有したり、自主学習もできるようになり、休業中のスキル低下の防止や、復職への不安を軽減することにもつながっている。

新たな雇用区分を設けてキャリアアップへの意欲を喚起

毎年10月に、パートナーから嘱託(事務嘱託及びキャリア事務嘱託)への登用を実施している。事務嘱託への登用の場合、登用の条件は、①勤務経験1年以上であること、②本人の希望と所属長の推薦があることとなっている。キャリア事務嘱託への転換の場合には、この2つに加えて、③業績考課が一定以上の評価であること、④証券外務員等の公的資格を取得していることが条件となる。いずれの場合も、人事部との面接を経て決定される。2016年度のパートナーから嘱託への登用実績は、併せて20名である。

また、パートナーは嘱託に転換した後、行員に転換することが可能であり、登用の条件は、①勤務経験1年以上(キャリア事務嘱託の場合)または勤務経験3年以上(事務嘱託の場合)であること、②本人の希望と所属長の推薦があること、③業績考課が一定以上の評価であること、④証券外務員等の公的資格を取得していることである。行員への転換も、人事部との面接を経て決定される。2016年度の嘱託から行員への登用実績は併せて5名である。

2011年度から2016年度までの転換実績(名)

転換ルート 2011年度 2012年度 2013年度 2014年度 2015年度 2016年度
キャリア事務嘱託 → 行員 1 3 6 2 10(1)※ 4(1)※
事務嘱託 → 行員 0 0 0 3 26(23)※ 17(15)※
パートナー → キャリア事務嘱託 3 2 9 7 7 8
パートナー → 事務嘱託 39 5 11 11 19 12
パートナー → 特定職行員 1 1

※ ( )内は行員のうち、特定職行員への転換数

従来は、嘱託に転換した後でなければ行員に転換することはできず、公的資格の取得も条件となっており、事務を担当するパートナーにとっては、事務嘱託へ転換したとしても、行員に転換するハードルは高かった。

そこで、事務職のパートナーの仕事ぶりと実績を正当に評価してキャリアアップを図る道をひらくこととし、2015年10月、行員の中に預金事務や広報等特定の業務を担当する「特定職行員」という雇用区分を新たに設けるとともに、従来の嘱託を経て行員へ登用する制度とは別に、パートナーから直接行員になる道をひらいた。また、嘱託から特定職行員、特定職行員から行員へ転換することも可能とした。

特定職行員への転換条件は、①パートナーあるいは嘱託(事務嘱託あるいはキャリア事務嘱託)として勤務経験1年以上であること、②本人の希望と所属長の推薦があること、③業績考課が一定以上の評価であることである。特定職行員への転換も、人事部との面接を経て決定される。2016年度のパートナーから特定職行員への登用実績は1名、嘱託から特定職行員への登用実績は16名である。

特定職行員という雇用区分が新設されたことで、スキル次第ではパートナーから直接行員になれるようになり、キャリアアップの選択肢が増え、パートナーのキャリアアップに対するモチベーションが高まっている。具体的には、行員への道がより近づいたことで、登用制度自体を身近に感じたり、評価されているという実感を持つパートナーが増えている。また、行員に限らず嘱託への転換にも、関心を示すようになってきている。同時に、上司を始めとした周囲の意識にも変化がみられ、パートナーの働きぶりに対してこれまで以上に目を配るようになるとともに、パートナーに対して転換を勧めやすくなっている。こうしたことから、今後はより一層、行員、特定職行員、嘱託への転換を希望するパートナーが増加すると考えている。なお、人事担当者や上司は、研修や面接、業績考課といった機会がある度に、特定職行員という雇用区分と転換の仕組みを説明し、個々のパートナーの転換意向を必ず確認している。

パートナー支援室の設置等による支援の充実

同行では、2015年3月にパートナーの活躍機会の拡大を図る専門部署として「パートナー支援室」を設置した。求人や契約等のパートナーにかかわる事務全般、雇用管理と人材育成に係る体制の整備、面接等を一括して行う他、特に、パートナー専用の相談窓口として電話相談や面談に力を入れて取り組んでいる。さらに、同室では、2016年7月より同行のホームページにパートナー活躍支援への取組やパートナー採用の専用ページを新設するなどして、求職者への情報開示や採用チャネルの拡大を図っている。パートナー採用の専用ページには、ハローワークの求人票と同じ内容を掲載することで、求職者が情報を入手しやすくなり、実際に、このページを見てパートナーに応募したという例もある。

また、これまでパートナーの面接はシニアサポーターが担当していたが、2016年3月からはパートナーの研修も新たにシニアサポーターが担当することとした。これに伴って、パートナー支援室の人員が増え、同室の体制強化が図られた。今後は、行員として人材育成に長く携わってきたシニアサポーターの経験を活かした、さらに教育効果の高い研修を実施できるようになることが期待されている。

コミュニケーション機会の確保

パートナーも含め、すべての従業員から意見や提案を募る仕組みとして「意見・提案・ビジネスコンテスト」(意見・提案制度)を実施している。業務の合理化や収益の向上、事務改善、顧客サービス向上等に関するものを中心に意見や提案を集めており、行員や嘱託、パートナーといった区別なく、日頃の業務から得られた気付きや意見を表明できる仕組みとなっている。パートナーからは、業務効率化の提案が多く、提案の採用数も多い。提案された意見は、審査され対応方針が決定される。提案が採用された者には記念品を進呈し、優れた提案や提案件数が多かった個人・店舗は営業店表彰制度の対象としている。その過程が社内のイントラサイトから確認できるようになっているため、自分の提案がどのように対応されたかが分かり、提案への意欲向上につながっている。なお、社内のイントラサイトの閲覧はパートナーも行員等と変わらずに行うことができ、雇用形態によって情報格差が生じないように行内情報(各種通達や取扱要領等)の共有が図られている。

他のコミュニケーションの機会としては、半年ごとに業績考課結果をフィードバックする面談の他、年に一度、所属長やパートナー支援室との面接の機会を設けている。これらを通じて、行員等への転換の希望や仕事に対する不安等を聴き取って、パートナーとの交流や情報交換に努めている。

充実した仕事と家庭の両立支援制度

同行は、仕事と家庭の両立支援に積極的に取り組んでおり、パートナーも行員と同じ条件で制度を利用することができる。育児休業に関しては、法定を超えて子が3歳に達するまで休業することができる。当初の5日間は有給扱いであり、また、子が1歳6か月に達するまでの休業であれば、分割取得が可能で、取得回数に制限はない。2015年度は6名のパートナーが取得した。また、介護休業は、法定を超えて1年まで取得することが可能である。

2014年度から両立支援制度について、パートナーも含めた全従業員の意見を聞くため、「育児・介護モニター制度」を実施している。両立支援を充実させていくことを目的に、従業員の声を直接把握するために設けられた仕組みである。モニターは全体で10名だが、そのうち1名が介護を理由に退職した経験を持つパートナーである。実際の活動としては、2014年度のモニター制度立ち上げ時と2015年12月に、モニターを集めた座談会を開催している。2015年の座談会では、実際に介護を経験したモニターから「家族の介護が必要になる前に知識を持っていたほうが良い」との意見が出たことから、その意見を反映して2016年2月に「仕事と介護の両立―介護セミナー(初級編)」を開催した。セミナーには行員、パートナーを問わず参加することができ、46名の参加者中、1名がパートナーであった。参加者からは、「準備の必要性を実感した」等といった声が聞かれ、好評であった。セミナーの受講後に、実際に家族を介護する必要が出て、セミナーのテキストが役に立ったという従業員の話も聞いている。

また、2016年3月からは、復職前の従業員同士の情報交換や育児休業を終えて復職した従業員が経験を語る「復職支援セミナー」を実施している。パートナーも行員や嘱託と同様に参加することができ、同年9月の第2回セミナーでは、9名の参加者のうち2名がパートナーであった。これまでも育児休業終了時には復職前面談を実施していたが、育児休業中の従業員同士の情報交換や実際に復職を経験した従業員が経験談を語ることで、復職前の不安を軽減することができ、復職に向けた大きな後押しとなっている。

さらに、2014年10月に福島県内の金融機関としては初となる事業所内保育所「とうほう・みんなのキッズらんど」を福島市内に開設したのに続き、2016年1月末には2か所目の保育所「とうほう・みんなのキッズらんど郡山」を開設した。これらの保育所はパートナーも利用することができ、2名のパートナーが「とうほう・みんなのキッズらんど」を利用している。そのうちの1名は、保育所があることが入行の決め手となったとしている。また、保育所が2か所になったこともあって利用希望や問い合わせが増えており、パートナーを含む従業員の雇用確保に効果が大きいと考えている。育児休業等の両立支援の制度だけでなく、利用可能な保育施設があることは、育児休業後の従業員の復職に向けた後押しになるとともに、仕事と家庭の両立支援施策に対する従業員の理解が深まるきっかけともなっている。なお、保育所以外の福利厚生制度や施設についても、パートナーと行員等の間で利用条件に差はない。

4. 取組に当たって工夫した点・苦労した点

取組に当たっては、パートナー一人ひとりの意見に耳を傾けることを重視してきた。

例えば、上司だけでなくパートナー支援室の従業員もパートナーと面接を行って直接意見を聞く機会を確保している他、2014年度からは育児・介護モニター制度によって、支援対象となる当事者の声を集める工夫をしている。パートナー向け研修の実施後には、アンケートをとってその回答を次の研修内容に反映させるなど、パートナーの意見や要望に合わせた支援や教育の取組となるよう努めている。

また、前述の通り、行員に比べれば勤務時間が短いパートナーであっても、職場内でスポットライトを浴びる機会が生まれるようにとの配慮から、「いいね!リポート」やそれに基づく表彰制度を実施している。

5. 取組の効果と今後の見通し

パートナーの活躍推進に向けた様々な取組の結果、パートナーの戦力化が図られるとともに、パートナーのキャリアアップへの意識に高まりがみられている。行員または嘱託への登用者は2012年度に7名であったのが、2013年度には20名、2014年度に18名、2015年度に27名と増加している。さらに、2015年10月に特定職行員という新しい雇用区分を設け、公的資格を取得せずに行員になる道をひらいたことで、面談時に転換制度に関心を示すパートナーが増え、キャリアアップに対する意欲や関心が高まっている。パートナーの勤続年数も、2012年度が11.1年、2013年度が12.0年、2014年度が14.7年、2015年度が13.9年(年度末現在)と伸長傾向がみられ、パートナーの定着が進んでいる。

また、行内研修制度の体系化や地区別研修、e-ラーニングの活用等による研修の充実や、「いいね!リポート」によって優れた仕事ぶりを行内全体に周知する取組の結果、2015年度下期CS(顧客満足度)外部モニター調査の結果が、同年度上期の調査と比べて5.8点上昇した。特にロビーパートナーの得点は、同社が設定している基準得点を超える水準に達しており、研修の充実がサービスの質の向上につながっている。実際に、支店においても顧客に声を掛けて案内する従業員が増えており、変化が確認できている。

その他にも、2015年10月に新規採用パートナー講座を始めたことで、新規採用パートナーの業務レベルの統一と向上が図られ、より効率的な人材教育が可能となった。支店からの評判も高く、各支店の人材教育に係る負担の軽減が実現している。

今後も、これらのパートナー活躍推進の取組を進めていく予定である。特に、子どもを持つ30代~50代の主婦がパートナーのメインである同行では、仕事と家庭の両立支援に取り組むことはパートナー支援としての意義が大きいが、「仕事と介護の両立―介護セミナー(中級編)」を2016年度中に開催予定であり、また、育児休業中の従業員に向けた「復職支援セミナー」に関しても、今後も半年に1回のペースで開催していく予定である。

従業員の声

特定職行員の第一号として期待を集め、広報のスペシャリストとして活躍する元パートナー
(本店勤務、広報、勤続10年)

2006年度にパートナーとして入行し、2014年度に嘱託に転換して、2015年10月には、新たに設けられた雇用区分である「特定職行員」に転換した最初のパートナーとなった。現在は、広報を担当する部署で、行内報やマスコミ向けリリースの作成、ビデオ制作等を担当している。

最初に嘱託に転換しようと思ったきっかけは、子どもが成長し手が離れたことと、上司や同僚からの後押しがあったことに加え、広報活動の奥深さに触れる中で、「もっと勉強したい」という思いが強まっていったことであった。当時は現在ほどパートナーに対する研修の機会が充実していなかったため、パートナーから嘱託に転換したことで、より多くの研修を受講できるようになった。また、パートナーの時は補助的な役割だったが、嘱託に転換してからは、自ら主体的に担当する部分が増えた。さらに特定職行員となってからは、社内報や顧客向け冊子の作成の主担当として、一冊まるごと企画から行うなど、責任ある立場を任されるようになり、やりがいが一層強まっている。やりがいや仕事の楽しさを最も強く実感するのは、原稿ができ上がった時であり、達成感を感じるとともに、「他の部署の様々な人の力を借りて一つの広報媒体を完成できた」という、感謝の気持ちを感じている。

広報の仕事は、やればやるほどに分からないことが生まれるため、今後は自ら勉強を深めるとともに、外部研修の機会も利用して、さらなるスキルアップを目指していきたい。また、今回、特定職行員の第一号となったが、後輩に対しても、もっと成長したいという気持ちがあれば、ぜひ積極的に転換に挑戦してほしいと考えている。

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