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あいおいニッセイ同和損害保険株式会社

平成28年度パートタイム労働者活躍推進企業表彰受賞企業事例集より

平成28年度「パートタイム労働者活躍推進企業表彰」
優良賞(雇用均等・児童家庭局長優良賞)

正社員と同じ仕組みや基準による人事評価の実施とその過程で定期的に面談を実施し、本人と会社で目標の進捗を確認するなどきめ細やかに対応。ファミリートレーニングによる職場全体で育てる教育体制や正社員への積極登用により、優秀な人材の確保と社員の戦力化を図る

2.賃金・労働時間
3.教育訓練等の能力開発
4.人事評価
5.キャリアアップ・
正社員転換推進措置
6.福利厚生・安全衛生
7.ワーク・ライフ・バランス
8.職場のコミュニケーション等
所在地 東京都 業種 金融業・保険業
従業員数 17,681名 パート労働者数 2,633名
事業概要 損害保険、生命保険、金融サービス、リスク関連サービスを国内外で展開
ポイント
  • 年4回の面談により、目標の進捗や達成状況を会社・本人双方で確認。人事評価の結果や資格取得を賃金に反映し、適正な待遇の確保と併せ本人の意欲向上を図る。
  • 入社3年以内の短時間の契約社員について、正社員と同様、3年間に習得すべき業務知識や技能を明確にした育成計画を作成するとともに、複数の先輩社員が指導するファミリートレーニング体制を構築し、職場全体で育成する職場風土を醸成。
  • 正社員登用制度について、勤続年数による制限は設けず、登用試験を増やすなどにより能力や意欲の高い契約社員を登用しやすい仕組みを整備するとともに、積極的に正社員転換を推進。
  • 法定を上回る年次有給休暇・特別休暇の付与等により、子育て、私傷病等の個人・家庭の事情に配慮。

審査委員はここを評価

面談を重視することによって人事評価を、パートタイム労働者の育成に極めて有効に活かしています。実際の教育に当たっては、OJTの内容を計画的に制定し、複数の先輩社員が指導に当たるなど、独自の工夫が目を引きました。

1. 企業概要・人員構造

同社は、国内外への保険・金融サービスを展開している。2016年4月1日現在、全国で営業関連事業所561か所、損害サービス関連事業所233か所、代理店53,621か所を有する。また、海外の主要都市にも21の拠点を持つ。

同社の主な雇用区分には、①正社員(地域型・全域型)、②契約社員(フルタイム・パートタイム)がある。

契約社員の主たる業務は、損害保険事業の①PCデータ入力・書類作成・電話対応等の一般事務(営業・損害サービス・本社部門)と②コールセンター業務である。コールセンター業務を担当する契約社員は、正社員と同じフルタイム勤務(1日7時間・週5日勤務、週35時間)であり、一般事務の契約社員は正社員より短い勤務(原則1日6時間・週5日勤務、週30時間)となっている。ただし、一般事務の契約社員には、個々の希望を勘案し、週3日・4日勤務の者もいる。契約社員の給与は時給制で、契約期間は1年間(4月1日から3月31日まで。年度途中に採用された者は採用日~3月31日まで)である。

2. 取組の背景とねらい

同社は、明るく元気な社員がやりがいを持って働ける職場をつくることで、雇用形態や性別にかかわらず自身の持つ能力を発揮し、キャリアアップしてほしいと考えている。その一環として、契約社員についても正社員と同様の人事評価制度、OJTによる教育研修制度、休暇制度等を適用し、正社員登用制度を設け、積極的に正社員への転換を行っている。

3. パートタイム労働者の活躍推進のための具体的な取組

年4回の面談と考課により、能力向上を促す

すべての契約社員に対して、面談及び目標管理による人事評価を実施しており、評価の仕組みは正社員と同じである。面談は、年度末に適正な評価を行うため、年に4回実施する。5月~6月に目標面談、10月に中間面談、1月~2月に総括面談を実施し、考課を決定の上、3月にフィードバック面談を行う。面談はいずれも所属長が行っている。評価の基準も正社員とほぼ同じであり、評価を行う考課者は、一次考課者は所属長、二次考課者は部支店長である。

人事評価の流れ

目標面談では、期待する役割・取組を明確にした上で、年間の業務目標や課題を設定する。さらに能力開発目標として、伸ばしたい能力や取得すべき資格等を定め、それらを達成するための取組内容を共有する。中間面談では、設定した目標の進捗状況等について中間総括をし、今後の取組に対する指導を行う。総括面談では目標等の達成状況を確認し、年度末及び次年度に向けた指導を行うとともに、考課シートにより評価を行う。フィードバック面談では考課の結果をフィードバックするとともに、今後の課題も明確に伝えている。

各面談の目的・内容

面談の目的 面談の内容
目標面談
  • 経営課題・戦略を踏まえて全社主要課題→部店課題→個人課題とブレークダウンした年間の業務目標・課題、そのウエイト・難易度を設定する
  • 併せて能力開発目標を設定。より一層伸ばしたい能力や取得すべき資格等を定める
  • 設定した目標・課題を達成するための具体的な取組内容を、面談で所属長・部下で共有する
中間面談
  • 設定した目標の進捗状況や課題等について中間総括を行い、認識を十分にすり合わせ、「何が足りないのか」「年度末に向け何をすべきか」を話し合う
  • 所属長は今後の取組に対する具体的な指導、アドバイスを行い、中間時点での評価結果を部下にフィードバックする
  • 大幅な業務内容の変更があった場合等に年度当初に設定した目標・課題を修正することも可能
総括面談
  • 目標・課題の達成状況やプロセス、能力発揮度合いを確認する
  • 所属長は評価する成果・能力や、努力・改善を要する課題を踏まえ、年度末・次年度に向けた具体的な指導・アドバイスを行うとともに、評価結果を部下にフィードバックする
  • 大幅な業務内容の変更があった場合等に年度当初に設定した目標・課題を修正することも可能
フィードバック面談
  • 考課の結果、及び契約更新となるか否かをフィードバックする
  • 本人の納得感をより高めるため、所属長は考課の結果を通知するだけでなく、今後の課題を明確にする

考課は、能力・成果の観点から、仕事の正確性、効率性等の項目について、6段階で相対評価を行う。6段階のうち、高位(評価1、2)、低位(評価5、6)の評価はそれぞれ2割程度であり、中位(評価3、4)が6割程度である。考課の結果が給与明細書に明記されるため、本人も改めて自身の評価を確認できるようになっている。

なお、契約社員については、成果よりも能力評価にウエイトを置いている。正社員の場合も入社当初は能力評価にウエイトを置いているが、資格が上位になるほど成果評価のウエイトが重くなる。

評価制度については、マニュアルを作成し、社内のイントラサイトの掲示版に掲載し、契約社員がいつでも閲覧できるようにしている。

人事評価のイメージ

人事評価と連動した給与体系

契約社員の時給は、フルタイム、パートタイムともに、勤務地給、能力給及び資格取得給の3つから構成される。すなわち、人事評価の結果や資格の取得が給与に反映される仕組みとなっている。この他に通勤手当が別途支給される。

賃金(時給)項目を構成する要素

① 勤務地給

勤務する地域ごとに物価水準等を考慮して設定する。同一地域に勤務する者はすべて同額となる。6段階に設定しており、2015年度、2016年度は、一部地域の勤務地給を、採用競争力確保の観点から、地域の賃金動向等を考慮し50円~150円引き上げた。

② 能力給

担当業務の幅や、業務遂行能力に関する毎年の人事評価結果に基づき、能力給を設定する。正社員、契約社員それぞれに、賃金テーブルを設けており、人事評価によって賃金テーブル上の等級が上下する仕組みとなっている。最大で6号俸上がり、1時間当たり60円上昇する。したがって、契約社員の昇給額は、週30時間契約の場合で、月額で1,200円~7,200円程度となる。なお、人材確保等の観点から、2015年度、2016年度に適用号の引上げによる待遇の改善を行った。

契約社員の能力給の賃金テーブル

10号 15号 16号 20号 30号 40号
時給(円) 400 450 460 500 600 700

* 2016年度の入社時の能力給は原則16号(460円)適用。2015年度までは15号を適用していた。
* 各号間は1号・10円刻みとする。

③ 資格取得給

会社が奨励する損害保険・生命保険等の資格を取得した者に対し、資格の種類や難易度に応じ10円~100円を、また複数の資格を取得した場合には、合計200円を上限に加算している。資格取得による加算額が明示されているため、資格取得への意欲促進にもつながっている。

また、面談時にも、自己研鑽のために資格を取得することを勧め、能力開発目標に加えるように促している。

資格取得給一覧

対象部門 加算対象資格等 加算額(難易度により異なる額を設定)
全部門共通 損害保険に関する資格(6種類) 20円~40円(複数取得者・最大100円加算)
マイクロソフトオフィスに関する資格(3種類) 10円~30円
営業部門 生命保険に関する資格(2種類) 10円~20円
損害サービス部門 診療報酬請求事務等に関する資格(2種類) 20円~30円
本社部門 基本情報処理技術者(第2種情報処理技術者) 100円

④ 一時金等

契約期間満了時に精勤手当として一時金を支給している(勤続年数に応じて、おおむね1か月の給与の0.5か月~1.5か月分を支給)。業績に応じ、精勤手当とは別の一時金を支給したこともあり、2015年度には3万円~5万円を支給した。なお、現時点では契約社員には退職金制度は設けていない。

高難易度の資格を取得した場合、表彰を実施

高い目標に向けた自己研鑽活動を推進するため、社員表彰制度の一つとして、高難易度の資格取得者に対して表彰を行っている。正社員・契約社員に共通の制度であり、難易度によって社長表彰若しくは地域表彰となる。地域表彰については2015年度全体で73名が表彰され、そのうち短時間の契約社員4名が2級FP技能士、基本情報技術者、日商簿記検定2級の資格を取得し、表彰された。

職場全体の協力体制による教育研修を実施

契約社員の教育研修を充実させるため、Off-JT、OJTともに工夫を凝らしている。

入社時研修は正社員・契約社員共通で、おおむね2日間行っている。その際、研修内容において部門間で偏りが生じないよう、標準資料を作成し、社内のイントラサイト上で誰もが閲覧できるようにしている。

また、経営計画等の会社施策や所属部門の業務知識については、「全社員マスタープログラム」を実施し、契約社員を含む全社員が、経営計画や損保商品・業務品質取組向上を、e-ラーニングで学べる機会を設けている。学習後の理解度を確認するテストを、これまで年1回、集合形式で実施してきたが、2016年度よりワーク・ライフ・バランス及び業務の都合により出席できない者に配慮して、e-ラーニングのシステムに組み込み、一定期間内の都合の良い時間にテストを行えるように変更した。

入社1年目から3年目までの正社員・契約社員に対しては、職場の育成リーダー(トレーニングリーダー、正社員)と、複数名の先輩社員(正社員、契約社員)が育成担当者(トレーナー)となり、協力してOJTで指導を行う「ファミリートレーニング」を実施している。複数の先輩社員がそれぞれの得意分野を中心に指導することにより、職場全体で育てる風土を醸成している。

具体的には、入社時や年度初めに、所属長及び育成リーダー、育成担当者が協働して、対象者が習得すべき業務知識や技能を明確にした育成計画を作成し、その育成計画に基づいて育成リーダーや先輩社員が業務知識や技能を指導する。計画の到達度や成長度を人事評価の面談と同じタイミングで、年3回、所属長とOJT担当者(トレーニングリーダー、トレーナー)が確認している。すなわち、中間面談では、年度末までに育成計画を達成するためにどのように指導していくかを見直して、その後のトレーニングに役立てている。総括面談時には、入社3年後までに習得すべき業務知識や技能への到達度を評価して、次年度の育成計画を検討している。

なお、育成計画については、トレーニング項目や到達すべき時期等について詳細に書かれた全社統一のフォーマットも用意されている。そのフォーマットを基に作成した育成計画に従ってトレーニングを行うことで、入社3年目までに習得すべき業務知識や技能を抜け・漏れや遅れなく、身につけられるようになっている。OJT実施に当たってはマニュアルや実施システムを構築し、所属長、OJT担当者に対する研修も実施している。

育成計画のフォーマット イメージ

大項目
(業務名)
中項目(業務内容) 小項目(詳細) 到達目標年度
1年目 2年目 3年目
仕事の進め方 業務効率化・スケジュール管理 締切り厳守、時間厳守ができている
コミュニケーション 会議・打合せ等で積極的に発言している
責任感・達成意欲 自身の目標達成に向け、道筋をたて、継続的に取り組んでいる

他に、他部門を体験できる「トレーニー制度」があり、契約社員もエントリーすることができる。トレーニー制度とは、本社から現場等他部門に2日間~5日間実習に行き、他部門業務を「見る」「知る」「体験」することにより視野を広げることを目的とした研修制度である。ちなみに、短時間の契約社員は2015年度3名が実施、2016年度は10名が実施予定となっている。

正社員登用制度を積極的に運用

適正・公正な評価や、計画的なOJTを始めとした教育訓練等に加えて、正社員登用制度を積極的に運用している。本人が申請した上で、所属長が推薦し、筆記試験をもとに人事部の最終判断を経て登用される。登用に当たっては部門を超えた異動に応じられること(ただし転居を伴う異動は行わない)等の要件を設けているが、勤続年数・受験回数の制限はない。また、2015年度より年2回、4月と10月に登用試験を実施し、意欲のある者を登用しやすい制度としているが、基本は4月登用で、10月は要員状況を踏まえた実施となっている。

登用後は月給制となり、原則として正社員の資格等級の下限のランクからのスタートとなる。ただし、登用前の給与の方が高い場合には、それを下回ることのないように月給を決定している。

契約社員を正社員登用した場合は、地域型社員となる。ちなみに、同社の正社員には、地域型社員(転居を伴う転勤がなく、通勤可能な範囲で異動する正社員)と全域型社員があり、地域型社員から全域型社員には、さらに試験を受ければ転換することも可能である。

地域型社員への登用率(登用試験受験者数に占める登用者数)は、2015年度は約58%である。2011年度以降、毎年100名以上を登用してきたが、登用者全体の人数のうち、おおむね9割以上が短時間の契約社員からの登用であり、2016年度は145名中144名が短時間の契約社員からの登用である。積極的に正社員登用を進めてきた結果、勤続年数の長い契約社員の中で能力が高く意欲のある者の多くは既に正社員となっているので、今後は勤続年数の短い者の登用率が増加していくのではないかと考えている。

近年の地域型社員への登用実績

年度 2011 2012 2013 2014 2015 2016
人数 123名 133名 167名 163名 133名 145名

会社に相談しやすいように社員の声ポストを設置

全社員からの意見・相談・提案を受け付ける「社員の声ポスト」や、ハラスメント、ダイバーシティ推進に関する相談窓口を設置している。相談内容は、人事部、担当部署、相談内容に関する所定の権限を有する者等に伝達される。このうち、人事上の相談等については、利用者の1割程度は契約社員である。

業務用端末を契約社員を含む全社員に配付し、社内のイントラサイトから、社内各部署の施策や業務マニュアル、社員あての通知等の情報を全員が閲覧できるようにしている。閲覧できる情報に、正社員と契約社員の区別はない。

社員意識・職場実態把握のため、各種社員アンケートを実施

社員の意識、各種施策の推進の状況、職場運営の実態等を把握するため、年に1回、契約社員を含む全社員に対し、「わたしたちのあいおいニッセイ同和 社員アンケート」を行っている。その結果、「今の仕事に誇りと働きがいを持っている」と回答した契約社員の割合は、直近となる2015年度調査で85%であった。

また、ライン長の人材育成、業務運営、コミュニケーション等のマネジメント実態について調査する「マネジメント実態調査」を、契約社員を含む全社員に対し、年1回実施している。

休暇制度の充実

年次有給休暇については、入社時に15日付与し、その後、勤続年数に応じて最大25日付与するなど、法定を上回っている。また、私傷病に利用できる有給の「傷病特別休暇」を毎年5日間付与している。さらに、時効で消滅した未消化の年次有給休暇も傷病特別休暇として25日分まで積み立てることができ、私傷病によって1週間以上の休務が生じた場合に利用できるようになっている。その他有給の結婚休暇、忌引休暇も設けている。年次有給休暇の取得率は法定分に関しては全社平均で79.8%であり、契約社員は93.9%(短時間の契約社員は92.5%)である。法定を超える付与分も含めた年次有給休暇で見ると、その取得率は66.6%であり、契約社員は85.9%(短時間の契約社員は84.7%)となっている。

育児休業制度の充実

全社員が、育児休業については最長で子が満2歳になるまで取得することができる。また、正社員・契約社員ともに、育児を理由とする短時間勤務については最長で子が小学3年生まで利用することができる。これらの利用を進めるため、育児・介護休業等の制度概要や申請手続きについては、社内のイントラサイト上に情報を掲載し、常時閲覧できるようにしている。また、育児休業期間は長期間にわたるため、復職に際して不安を感じないよう、妊娠・休業から出産し復職するまでの各種制度を解説した資料「カンガルーブック」、育児をしながら働く社員の一日のスケジュールや両立していく上でのアドバイス等を記載した「体験レポート」を社内のイントラサイト上に掲載している。さらに、育児休業からの復職に当たっては、事前に所属長と面談を行うこととしており、契約社員も対象としている。

なお、育児休業の取得実績は、2015年度において全社員522名のうち契約社員150名(短時間の契約社員は113名)となっている。一方、育児短時間勤務は、全社員で357名のうち契約社員が57名(短時間の契約社員は36名)となっている。

カンガルーブックの表紙・目次

社員と同等の福利厚生メニュー

厚生施設や福利厚生サービスは契約社員を含む全社員共通のものとして整備している。福利厚生サービス会社が提供するサービスを利用でき、そのサービスメニューには家事代行サービスや保育サービス・ベビーシッターの割引、育児・介護の相談窓口、育児・介護用品の割引購入、介護費用補助といったサービスが含まれる。

他にも、法人会員権宿泊施設、食堂(本社)等の厚生施設や事業所内保育施設があり、これらについても契約社員も利用できる。

4. 取組に当たって工夫した点・苦労した点

優秀な人材の確保を一層進めるため「より積極的な正社員登用」、「正社員も含めた職場全体の環境改善」を進めてきたが、入社3年目までの者を社内全体で育成する「ファミリートレーニング制度」では、複数の教育担当者が育成に携わることにより、能力向上に加え、職場全体で育成する風土が醸成されるなど、個人と組織の両面での効果が得られるようにした。

人事評価においては契約社員も正社員と同様に評価を行い、評価の結果や、本人の努力により取得した資格を時給に反映させることで、自己研鑽への意欲や、待遇の納得性も高まるように、人事制度の改革を行ってきた。

正社員登用制度については、これまで一定の勤続年数を応募条件としていたが、勤続年数にかかわらず応募できるようにし、登用試験の回数も年2回に増やした。正社員登用後は地域型社員となるが、地域型・全域型の別にかかわらず、正社員としてその有する能力を十分に発揮してもらいたいと考え、2014年10月には、転勤を伴うことによる手当の支給を除き、地域型・全域型ともに、評価基準や、社内資格・賃金テーブルをすべて同一のものとした。

5. 取組の効果と今後の見通し

同社では、社員が有する能力を十分に発揮しながら、長く働いてほしいと考えており、教育研修や人事評価の改善を重ねてきた。また、子育て、介護、私傷病等の事情が生じた場合も継続して勤務できるように、ワーク・ライフ・バランスに配慮した勤務時間の設定や休暇制度の充実を図ってきた。

教育・評価・給与を連動させることにより、能力向上や貢献度の給与への反映が分かりやすくなり、契約社員自身が能力向上に意欲を持って取り組むようになった。社員アンケート結果でも「働きがいを持っている」と回答した契約社員が8割を超えている。また、適正・公正な評価制度や職場全体で育てる計画的なOJTを始めとした教育訓練等が能力やモチベーション向上につながっていると考えている。これらの取組を前提に、正社員登用を積極的に行い、毎年100名以上を正社員に登用するなど、キャリアアップにつなげることもできている。

働きやすさだけでなく、働きがいのある職場を提供し、また教育訓練の成果もあって、契約の更新を希望する者は9割を超える。更新率(更新を希望した契約社員に対する実際の更新者数)も2015年度は99%に達し、更新希望者についてほぼ更新を認め、雇用を継続している。

契約社員の平均勤続年数は、2011年4月時点で4.13年(短時間の契約社員は3.95年)であったが、2016年は4.61年(短時間の契約社員は4.17年)と、伸びている。金融業界において、高度なスキルを身につけた社員が長く働きたいと思える環境を整備することは、重要な経営課題である。同社では所定労働時間が短くとも働きやすい環境の実現に向けて契約社員の声も聴きながら諸施策を講じていきたいとしている。

従業員の声

正社員登用制度に応募し入社2年目に正社員へ転換、本社の新設部署で活躍
(本社勤務、経営企画部、勤続2年)

働きやすい会社であると聞いていた同社に応募し、2015年に契約社員として入社した。入社初年度に正社員登用制度に応募・合格、入社2年目で地域型社員に転換し、経営企画部のプロジェクト推進グループに所属し、新規プロジェクトに携わっている。

正社員登用制度に応募したのは、30代から40代にかけて地に足をつけてやりがいを感じながら仕事に取り組みたいと思ったこと、そして正社員に転換すれば有給休暇の付与日数がさらに増え、PTA活動にも参加できるなど、ワーク・ライフ・バランスが一層図れるのではないかと思ったためである。半日休暇の取得も可能であり、家庭の事情による勤務時間の変更についても職場の理解がある。

現在は社内の様々な部署とのやり取りがあり、俯瞰的な視点で仕事に取り組めるようになった。今は現在の部署で全社的なことを経験しつつ、商品知識や損害保険サービスを学んでいきたい。近日中にトレーニー制度により他部署の業務を体験する予定である。

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