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(株)三井不動産ホテルマネジメント

平成27年度パートタイム労働者活躍推進企業支援事業(雇用管理改善)より

正社員転換希望者を事前に登録し、順次契約社員、さらに正社員への転換を図る

1.労働条件の明示、説明
3.教育訓練等の能力開発
4.人事評価
5.キャリアアップ・
正社員転換推進措置
7.ワーク・ライフ・バランス
8.職場のコミュニケーション等
所在地 東京都 業種 宿泊業
従業員数 910名 パート労働者数 470名1
事業概要 宿泊業
ポイント
  • 正社員転換の推進により、即戦力となる人材を確保。
  • 資格取得支援により、スキルアップを促進。
  • 表彰制度の実施により、帰属意識の向上や雇用形態を超えた団結力が強化。

1 キャストの人数。一部フルタイム勤務者が含まれる。

1. 企業概要・人員構造

昭和56年に設立された同社は、全国の中核都市で20のホテルを展開しており、平成28年には新規開業を2つ予定している。

理念である「記憶に残るホテルになる」を実現するためには、お客様に向かい合う従業員一人ひとりが、人としてどれだけ成熟しているかが重要であると考え、「人」にこだわり、素晴らしい「人」の集団を目指した取組を行っている。

従業員は正社員、契約社員2、キャスト(パートタイム労働者)の3つの雇用区分で構成されている。業務内容は、ホテルのオペレーション業務が中心で明確な差はないが、正社員にはキャストの労務管理やお客様のクレーム対応等の業務が付加されている。正社員は全国転勤型と地域限定型の2つの区分があり、契約社員は地域限定、キャストは事業所限定となっている。キャストは従業員の約半数を占め、そのうち女性は7割に上っている。主な業務はフロント対応やロビーアテンダント、宿泊予約となっている。清掃業務やレストランの運営は基本的には外部委託であるが、一部直営の事業所では、キャストが業務を担うこともある。

キャストの契約は6か月更新で更新の上限はなく、定年は65歳、労働時間は4時間~7時間と様々である。チェックインとチェックアウトの時間帯を中心にシフトを組んでいる。

2 フルタイム(7.5時間)勤務、1年更新、月給制、賞与あり、退職金なし。

2. 取組の背景

チェックインとチェックアウト等お客様の集中する時間帯に合わせた人員配置及び長時間営業に対応した人員配置を行うために、キャストを活用している。会社全体での統一した雇用管理は最低限にとどまり、事業所ごとに現場実態に合わせた労働時間の設定や教育を実施するなど、事業所の裁量を尊重した管理を行うようにしている。

3. 取組の内容

事業所別オリエンテーションの実施とマニュアルの配付

採用時は、各事業所の総務担当が個別に1.5~2時間のオリエンテーションを行い、契約内容等の説明を実施している。その際、携帯できる薄型の「ベーシックマニュアル」を配付している。マニュアルには、マナーやリスクマネジメント、コンプライアンス、相談窓口等、基本的な事項が網羅されている。

採用時研修

入社後の総労働時間200時間(又は採用から3か月)までが試用期間となり、先輩キャストがOJTを実施している。ひな形となるマニュアルは本社で配付しているが、キャストの能力や経験に応じて事業所で内容をアレンジして活用している。OJTの期間も、個々の習熟度に合わせて事業所が判断している。

その他、首都圏エリアの事業所では、宿泊予約システム等、業務で必要なシステムを使いこなすための集合研修を2~3日本社で実施している。

資格取得支援

外国語(英語、中国語、韓国語)を学ぶキャストが検定試験に合格した場合(TOEICの場合は一定点数以上取った場合)、試験にかかった費用を会社が負担している。その他、事業所の裁量により「ご当地検定」等の資格取得に係る費用を負担している事例もある。

契約更改時に合わせ評価を実施

契約更改の面談時に合わせ年2回(2月、8月)評価を行っている。キャストが現在の業務の達成度や、同社の理念に基づく行動指針であるCREDO3 の内容を実行できているかを自己評価(7段階で採点)し、その他、「会社に貢献していると思われる業務」、「仕事が期待通りにならない要因」、「自己の成長を阻害している要因」等についても記述する。その後、直属上司が評価を記入し、双方が記入した面談表を基に契約更改の面談を行い、本人へフィードバックしている。評価の結果は、昇給額の決定の際に参考としている。

3 6つの信条:「仕事を楽しんでいますか」「お客様の気持ちを考えていますか」「NOという前に努力していますか」等。

CSキャプテンへの任命

CS(お客様満足度)の向上を図る取組のリーダーとして、各事業所で1~2名CSキャプテンを任命しており、キャストが選ばれる場合もある。任期は1年、CSキャプテンバッジを着用し、CSについての年間目標の策定、施策の実施、結果報告等を行っている。キャストがCSリーダーに任命されると、手当の付加等はないが、貢献度により時給が昇給する場合もある。

契約社員、正社員への転換の推進

キャストから契約社員への転換及び契約社員から正社員への転換制度については、就業規則に規定しており、転換試験の実施時期には社内イントラネットで周知している。

6か月以上勤務したキャストは、年2回1月と7月に、正社員転換希望の登録をすることができる。ただし、キャストから正社員になるにはまず契約社員に転換する必要がある。キャストから契約社員への転換は、契約社員の採用が必要になった際、正社員転換希望登録者に対してSPIと面接を実施して決定している。

契約社員として1年以上勤務すると、正社員登用試験を受けることができる。登用試験は年2回4月と10月に公募によって実施され、能力判定(人事評価の結果、SPI等)、貢献度判定(MGHアワードの入賞有無等)、規律判定(出勤率)等を点数化し、本社面接を経て合格者を決定している。

契約社員、正社員への転換のステップ

全員が育児休業から復帰

平成27年9月までの育児休業取得者は累計で10名弱いるが、全員職場復帰を果たしている。育児休業の対象にはパートタイム勤務のキャストも含まれており、過去5名が育児休業を取得している。休職中も定期的に社内報の送付等、会社情報を提供し、共有化を図ることで、復帰しやすい環境を整えている。

表彰制度の実施

①MGH(三井ガーデンホテルズ)アワード

お客様からお褒めをいただいたり、リーダーシップを発揮した従業員を各事業所から1名選出し、年1回表彰を行っている。キャストが受賞することも数多くあり、仕事に対する取組意欲の向上や、会社への帰属意識の高まり等の効果がみられる。受賞者には表彰状と商品券が授与され、受賞結果を電子社内報で周知している。

②全力応対コンテスト

各事業所の宿泊部門から1名を代表者として選出し、お客様対応の場面を再現して接客技術を競う、ロールプレイングコンテストを年1回実施している。各賞の受賞者には賞金が授与される。

代表者にはキャストが選ばれることもあり、コンテスト前や当日の応援等、事業所が一体となって取り組むことにより、雇用形態を超えた団結力が強化されている。また、契約社員候補となる有能な人材を会社上層部が直接知る機会としても有効に機能している。

会社情報の共有化

事業所で毎日実施している定例報告のタイミングで、キャストを含め全員に対して会社情報を伝達している。シフトにより全員が一度にそろうことがないため、朝、昼、夕と数回に分けて実施し、全員に情報が行き渡るようにしている。また、電子社内報での情報発信はほぼ毎日行われており、社内イントラネットへのアクセス権のないキャストに対しては、印刷したものを掲示して情報を共有している。

各事業所では月1回キャストを含め全員でのミーティングを実施しており、意見収集の場として機能している。

4. 成果と課題

正社員転換希望者が非常に増えているが、会社の業績も良く、順調に転換者を増やすことができている。ホテルの新規開業計画も進んでおり、即戦力となる優秀な人材を確保したい会社の意向とキャストのニーズが合致していると言える。

今後のホテルの新規開業を見据え、運営を任せられる人材を育てていきたいと考えている。総合職やマネジメントを希望する人材だけではなく、接客のスペシャリストを目指す人材も積極的に登用していきたい。

課題の一つとして、新規のキャスト募集への応募が少なく、思うような人材が集まらないことが挙げられる。今いる人材を大切にしながら、ワンランク上のスキルやキャリアを目指したいという向上心を持った人材の獲得に向けて、何らかの働きかけを行っていく必要があると考えている。

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