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株式会社δ社

平成27年度パートタイム労働者活躍推進企業支援事業(雇用管理改善)より

労働組合とともにパートタイム労働者の人事諸制度の導入と均等待遇を目指した処遇改善を進め、事業運営の主戦力として活用を図る

2.賃金・労働時間
3.教育訓練等の能力開発
4.人事評価
6.福利厚生・安全衛生
所在地 北海道 業種 小売業
従業員数 約6,474名 パート労働者数 5,392名
事業概要 飲食料品小売業
ポイント
  • 勤務時間に応じたパートタイム労働者の区分により、長時間働くパートタイム労働者をより高く処遇。
  • 資格階層別時給テーブルは全社統一し、地域と職種による賃金差を地域加給として明確化。
  • 労働組合と一体となった均等・均衡待遇の推進。

1. 企業概要・人員構造

同社は、北海道の札幌を中心としてスーパーマーケットを主業態に多数の店舗を有している。

同社の社員数は正社員が982名、再雇用者等の契約社員が100名(月給制)に対してパートタイム労働者(以下、便宜上「パート」と表記する。)は5,392名であり、そのうち学生である850名は「アルバイト」、4,542名が「パートナー社員」と呼称されており、その8割以上が主婦層である。

パートの従事する職務は、チェッカー(レジ)、食品調理加工、販売付帯業務等ほとんどが店頭での業務であり、標準的な店舗における配置人員も正社員が10~15名に対してパートは100名以上と販売サービスの主戦力となっている。また、パートナー社員の中には、人数は少ないが、計数管理等正社員の行う業務を担当する者や、チーフに任命されている者もいる。

パートの採用は店長の権限で行われ、採用時には3か月間の試用期間を含む6か月間の雇用契約を締結する。そして直近に迎える4月又は10月には6か月間の新たな雇用契約を結び直し、その後は6か月ごとに雇用契約を繰り返している。

雇用契約書には、配置される部門と職務内容、そこでの勤務態様と本人希望と会社が必要とする時間に基づく勤務日時を記載し、月ごとの勤務日と勤務時間は本人からの希望申告も考慮しながら事前に作成する勤務シフト表により決定している。

パートの転勤については、転居に伴う本人の希望や新設店舗への経験者配置の必要性等に応じて雇用契約自体を変更する形で行われている。就業規則と雇用契約書には勤務地変更の可能性が記述されているが、実際の転勤は本人の同意(希望を含む)を前提にのみ実施している。

2. 取組の背景

食料品を中心とするスーパーマーケットチェーンを都市生活圏で展開し、時間帯別繁閑への対応や生活知識・体験の有用性等を理由に店舗業務の多くの部分を商圏内に生活する主婦層を中心とするパートの労働に依存している同社にとって、パートが働き易く、働き甲斐のある就業環境を構築していくことは重要なテーマである。

さらに同社では、パートの大半を占めるパートナー社員が労働組合員となっている。パートナー社員の労働条件整備、特に正社員との均等・均衡待遇を進めることは両者を組合員とする労働組合にとっても重要な課題であり、近年には労使による計画的な取組が進んでいる。

3. 取組の内容

勤務時間の長さに応じた区分と時間給設定

パートのうち、学生である「アルバイト」には店舗ごとに店長裁量で決める時間給を適用している。

しかしそれ以外の「パートナー社員」については勤務時間が長いほど貢献度が高いとの考え方に基づいて、週の所定労働時間が15時間までを「アシスタントメイト」、15時間を超え25時間までを「メイト」、25時間を超える者を「パートナー」と称し、週30時間を超えて勤務可能なパートナーの中から面接と適性試験を通過して任用された「パートナーリーダー」とする4階層の区分を設けており、パートナーリーダーまでは、労働時間が長いほど時給の上限が上昇していく。パートナーリーダーは、時給テーブル自体を高く設定している。

さらに最上位となるパートナーリーダー(任用者は50名ほどで、部門のリーダーを託している)には150円の時給加給があり、年2回の賞与も支給している。

所定労働時間に応じたパートナー社員の区分

週の所定労働時間 区分 時給の幅 時給加給 賞与
30時間以上
(パートナーから店長が推薦、本社での面接と試験を経て任用)
パートナーリーダー 80号俸 150円 あり
25時間超 パートナー 50号俸
15時間超~25時間 メイト 20号俸
~15時間 アシスタントメイト 20号俸

パートナー社員の昇給は年1回、4月の契約更新の際に実施され、2回の期間評価(上期は3月~8月、下期は9月~2月)の総合点により昇給の号俸幅が決定する。(パートナー社員の区分と昇給の号俸幅は上記表のとおり)

各回の評価は部門チーフと店長の2階層評価で行われ、評価結果は契約更新時の店長面接の際にフィードバックされる。

加給の設定による、時間給の地域差と配置部門差の明確化

同社の出店は都心部から周辺地域まで広域にわたっており、店舗による募集時給(相場)の差は大きい。また、同一店舗でもチェッカー業務や生鮮食品を扱う作業等配置部門の仕事特性により時給差を設けることも必要となる。

この賃金差を明確に表示して納得性の得られる運用するために、同社では前項に記述した区分ごとの号俸制による時間給を全社統一の「基本時給」とし、地域と配置部門による賃金差としての「地域加給」を店舗ごとに個別に設定してその合計額を時間給としている。

①基本時給は区分ごとの号俸表(全社統一)により、評価に基づいて決定
②地域別加給は地域の募集賃金差に基づいて、店舗ごとに設定(最大143円)
③部門別加給は配属部門の仕事の質に基づいて、店舗・部門ごとに設定(同じく最大143円)

労働組合と一体となった均等・均衡待遇の推進

同社のパートナー社員は、1989年の労働組合の結成当初から組合員となっている。従って前項までに示したパートナー社員の賃金に関する諸制度の構築は、良好な労使関係の下での共通の取組として進められてきた。

近年、労使共通の課題として正社員との均等・均衡待遇に取り組んできた結果、正社員と同一基準の制度として、

  • 通勤手当の支給(35,000円を上限に交通費実費を支給)
  • 慶弔休暇付与と慶弔見舞金支給
  • 社員割引購入制度(2%~5%割引)。
  • 社員持ち株会への加入(月々一定基準の株式購入)
  • 永年勤続者の表彰(10年、20年、30年)
  • 労働組合が運営する共済会へ全員加入

が実現している。

パートナーリーダーを対象とした研修の実施

同社におけるパートナーリーダーは50名ほどいるが、全員を対象に、職場リーダー集合研修(コミュニケーション・リーダーシップ・コンプライアンス・クレーム処理等)を年2回(1回6時間)のペースで実施している。

4. 成果と課題

創立以来、同社は事業における主戦力としてパートの積極的な活用を行い、労働組合の提案を受けながらその人事制度の構築・改善を進めてきた。

同社の年間退職率は約20%とされているが、短期間で入れ替わる学生アルバイト(パートの全体の15%)も含まれていることを勘案すると、高い定着率と言え、同社が進めてきた働き易く働き甲斐のある就業環境づくりの成果と考えることができる。

また良好な労使関係の下で、多くが組合員であるパートの処遇改善を労働組合とともに進めてきたことは同社の大きな強みであり、均等・均衡待遇の推進等、現在もその取組は続いている。

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