ここから本文です

(株)双美商会

平成27年度パートタイム労働者活躍推進企業支援事業(雇用管理改善)より

充実した社内研修、送迎バス、託児所運営等によりいきいきと働ける環境を整備することで、パートタイム労働者の戦力化を図る

2.賃金・労働時間
3.教育訓練等の能力開発
4.人事評価
6.福利厚生・安全衛生
7.ワーク・ライフ・バランス
8.職場のコミュニケーション等
所在地 和歌山県 業種 サービス業
従業員数 333名 パート労働者数 313名
事業概要 その他の事業サービス業
ポイント
  • パートタイム労働者の能力評価に基づく昇給、役職手当の支給。
  • 充実した雇い入れ時研修、社内OJTで能力開発を支援。
  • 自社バス運行による送迎・移動システムの実施。
  • 年中無休の事業所内託児所の運営により仕事と生活の両立を支援。

1. 企業概要・人員構造

同社は、南紀白浜という日本有数の観光地において、ホテル・旅館の客室管理を中心としたビル総合メンテナンス業を営んでいる。1961年に大阪市でビルメンテナンス事業として先代社長が創業し、1967年に「人と建物・自然に優しく」をコンセプトとして南紀に進出した。

同社のお客様であるホテル・旅館等の宿泊施設で求められるのは「安全」、「安心」そして「質の良いサービス」である。お客様に「より良いサービス」を提供するために、衛生・美観を保つ清掃業務だけでなく、ベッドメイキング、備品セッティング、宴会場の設営に至るまで、あらゆるホテルメンテナンス業務に精通している。そういった業務をパートタイマー(パートタイム労働者)が担っている。現在、約300名(60歳以上の高齢者は3分の1を占める)が勤務しており、その約7割が女性である。

パートタイマーは面接試験により本社で採用を決定している。契約期間の定めはなく、勤務時間は、客室清掃が9時30分から12時30分、若しくは10時から14時、ふとん敷きは18時から21時、共用清掃は5時から8時、9時半から12時半、その他客室配膳、下膳等は作業時間に応じた勤務時間となっている。繁忙時には1時間程度残業する場合もある。週1~2日の勤務から週6日の勤務の者もいる。正社員は技術職や管理的業務に携わり、パートタイマーは、主に清掃等現場作業に従事している。作業場所については、会社の都合により変更する場合がある。

賞与や退職金はパートタイマーには支給されないが、社内研修等の教育訓練や福利厚生は正社員と同等としている。

定年は65歳で、65歳前から継続勤務しているものは65歳以降も半年契約で契約し、本人の体調、希望を考慮しながらの契約更新により、75歳まで勤務できる制度となっている。

2. 取組の背景

同社の中心事業であるホテルメンテナンス業は、その特性から一日のうちの数時間に業務が集中する。また、季節によって業務量が大幅に変動することも特徴である。こうした業務を効率的に行うには、正社員よりも多くの有能なパートタイマーを採用することが求められている。しかし、今から20年から30年前は、清掃という職種は、「人の嫌がる単純作業」といったイメージが強く、人材を集めることが難しかった。特にバブル期には深刻な人材難に陥った。そういった悪いイメージを払しょくし、地域の一員であるパートタイマーが自信を持って働き、それぞれの能力を高め続けていくことを目的として、人事評価・福利厚生並びに会社に対する愛着心の向上に重点を置く施策を講じてきた。この結果は地域社会における清掃業務の地位向上にもつながっている。

3. 取組の内容

評価制度に基づく昇給・役職手当の支給

パートタイマーの給与は、勤続年数、職務内容、業務遂行能力に応じた能力給とし、上司が評価して決定している。評価は年2回行っている。評価項目は、ベッド、洗面、点検セット、応援1、応援2の5項目に分かれ、成長したと評価されると、1項目当たり時給が10円アップする仕組みになっている(5項目ともに評価されると、最高50円アップする)。また、経験、能力に応じて上司が認めた者は、後輩の指導を担当するチーフ、サブチーフに任命される。チーフ、サブチーフに任じられたパートタイマーに対しては、時給を100円程度高くし、チーフは最高1万円、サブチーフには3,000円の役職手当を支給している。評価結果については、昇給時に労働条件通知書を交付し、本人に説明している。

充実した社内研修制度

「地域を活性化させることは暮らしを守るためであり、自社のためでもある」という考えを現場に徹底するとともに、全従業員の意識や技術向上を図るため、毎月1回開催される月例会で、日々の業務における様々な情報共有を行っている。 また、顧客であるホテルや旅館の要望に応え、「安全」「安心」「高品質のサービス」を提供するため、火災予防や洗浄剤・消毒剤に関する知識、並びに高所作業についての注意点の共有等の安全衛生に関する研修も実施している。

雇い入れ時には、本社に設置しているモデルルームで、正社員が講師となりOFF-JT研修を行っている。さらに通常業務の中で、現場のチーフやサブチーフが作業マニュアルやチェックシートに基づき、OJT(3か月間)を実施している。

自社バス運行による送迎・移動システムの実施

同社は、安定した人材確保のためには、安心して働ける職場環境が必要であると考え、1967年から従業員送迎バスの運行を実施している。人数や勤務場所に応じてきめ細かく柔軟にスケジュール管理することで、自社バスでの出・退勤時の送迎と勤務場所間の移動を行っている。移動時間の短縮、疲労の軽減、通勤災害の予防等によって、仕事の効率を高め「高品質のサービス」と「安心」をお客様に届けている。

なお、自社運行バスを利用しないパートタイマーには、通勤手当を実費支給している。

年中無休の託児所の設置で仕事と生活の両立支援

1995年、ホテル建設ラッシュの中、子育て世代の女性を獲得するために、年中無休の無料託児所「ひまわり」を開設した。自社運営で、平日は1歳半から3歳まで約10名、土日祝日は小学生も含めて20名程度の子ども達を預かっている。この制度は、繁忙期である夏季、年末年始の労働力確保にも役立っている。

平日だけでなく土日祝日の保育も実施して365日年中無休としたことで、入社希望者が増加し、夏休み等の繁忙期の休日にあっても多くの人材を確保できるようになった。託児所運営コストは大きな負担ではあるが、求人経費と位置付けて積極的にPRしている。

意見要望相談窓口の設置

パートタイマーを含む従業員からの意見要望を受け付ける相談窓口を本社に置き、部長、若しくは主任クラスの正社員が対応している。

仕事の上での問題や課題は、クレーム票に記入することになっている。人間関係の悩み等は直接電話で相談されることもある。本社に相談するには相当の思いがあると考え、面談を実施している。また、その内容については、会社として積極的に受け入れ、例えば配置を工夫するなど、職場環境の改善に努めている。

充実した社内報で情報を共有

社内報『ネットワークふたみ』を副社長自ら手書きで発行し、毎月給与明細とともに全員に配布している。季節感あふれるコラムとともに、健康管理、清掃業務に必要な知識・情報を盛り込むことで、意識とスキルの共有を図っている。

従業員と家族の誕生日を祝う

毎月全従業員と、その家族の誕生日を祝う仕組みも定着している。月1回の月例会では該当者にプレゼント(従業員には靴下、家族にはお菓子等)を贈ることで、会社からの感謝の気持ちを形としても伝えている。

職場コミュニケーションの活性化に向けた取組

全社で親睦会を実施していた時期もあったが、従業員数の増加に伴い、全員参加の日程調整が困難となったため、現在では現場ごとに年1回忘年会を開催している。その費用の一部は会社が補助している。

企業内表彰制度の実施

毎年1回、全員が参加する月例会で、永年勤続表彰、安全衛生表彰、無事故表彰を行っている。安全衛生、無事故表彰については、賞状と商品券(1人当たり500円)が贈呈される。勤続表彰には、賞状と副賞として年数に応じ1,000円~30,000円の商品が贈呈されることになっている。パートタイマーも表彰されており、2016年1月には、118名のパートタイマーが勤続表彰されている。

4. 成果と課題

パートタイマーは事業遂行上不可欠な戦力であるとともに、一緒に地域に貢献していくパートナーであると経営者自らが考えている。多様な事情を抱えたパートタイマーの生活に配慮した、きめ細やかな施策を講じたことで、安心して働ける職場環境が実現でき、地域の活性化にもつながっている。さらに、このような同社の取組が、パートタイマー自らが多様な人材をともに働く仲間であると受け入れる組織風土を醸成し、顧客との信頼関係を強化し、ひいては業績向上にもつながっている。

このような実績が評価され、同社は、和歌山県男女共同参画推進のベストオフィス賞を受賞、さらに、和歌山県「子育て応援企業」にも認定されている。

今後は、急速に進む少子高齢化、労働力人口の減少を踏まえ、さらなるパートタイマーの新規採用と定着率向上を目指していくため、現在の施策を拡大展開していく必要がある。

一覧へ戻る