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ブックオフコーポレーション(株)

平成27年度パートタイム労働者活躍推進企業支援事業(雇用管理改善)より

自ら成長を促すキャリアプランにより正社員登用を図る

1.労働条件の明示、説明
2.賃金・労働時間
3.教育訓練等の能力開発
5.キャリアアップ・
正社員転換推進措置
7.ワーク・ライフ・バランス
所在地 神奈川県 業種 小売業
従業員数 9,770名 パート労働者数 8,691名
事業概要 その他の小売業
ポイント
  • 分かりやすく明確な基準をもとにした昇給制度を用い、キャリアアップと定着を図る。
  • 年1回の正社員登用制度により、キャリアアップを推進する。
  • 2015年12月より全国転勤の要件がないストア社員制度を導入した。
  • 相談窓口の充実を図り、すべての従業員の働く環境の向上に努める。

1. 企業概要・人員構造

同社は1991年に設立され、中古書店「BOOKOFF」の展開と新規中古業態の開発・運営・加盟店経営指導を行っている。新規中古業態では、携帯、家電、アパレル、スポーツ用品、ブランド品等を扱っている。

1990年1に第1号店を開店して以来毎年出店を続け、特に1996年から2004年頃までにかけて年平均約20店舗のペースで店舗数を大幅に増やし、今でも増加し続けている。2016年2月時点では全業態として、直営店393店舗、フランチャイズ店舗481店舗の合計874店舗で、アメリカにも展開している。出店の基準としては、近隣に居住する人口と最寄り駅の乗降者数、店舗面積を考慮している。また、店舗の営業時間は10時から22時を基本とし、繁華街等では24時まで営業している店舗もある。繁忙期は年末年始と学生の春休みの期間である。

パートタイマーとアルバイト(以下、「パートタイマー等」という。)は学生とフリーターと主婦で構成され、フリーターと主婦が7割を占めている。店舗以外の倉庫やオンラインサイトの業務に従事する者もいるが、90%以上が店舗に配属されている。年齢層は20代後半から30代前半が大半である。

すべてのパートタイマー等は6か月の期間契約であり、初回の契約は6月末もしくは12月末のいずれか早い方までの契約とし、以降、同時期に契約更新を行っている。現在の平均勤続年数は、新規採用を継続していること、正社員への転換があることもあり、約1年である。

労働時間はシフト制により管理しており、店舗の営業時間によって多少の勤務時間の差はあるものの、9時40分から17時30分までと16時30分から23時まで(それぞれ休憩は1時間)の2交代制としている。なお、週30時間以上勤務する者は社会保険に加入している。正社員は法定時間外労働があるが、パートタイマー等は法定時間外労働をしない。

最も大きい店舗では、社員10名とパートタイマー等が約100名配属されている。正社員の仕事内容は、正社員1名につき平均して20名程度のパートタイマー等のマネジメントや収益管理、その他本社の業務通達の遂行を主としている。一方、パートタイマー等の仕事内容は、接客や商品の陳列、軽度のクレーム対応を主としている。

店舗間の異動は、正社員は全国異動があるが、パートタイマー等は原則としてない。ただし、パートタイマー等の成長を促すために本人の同意の上で大きな店舗に異動することや、引っ越し等の理由による異動が月に若干名発生することがある。

正社員とパートタイマー等の労働条件の違いとして、正社員は日給月給制、パートタイマー等は時間給制である。また、賞与は正社員には支給される一方パートタイマー等には支給されないが、パートタイマー等の時間給は賞与分も含めることとして時給を上げた経緯がある。退職金は雇用形態に関わらずない。

1 1号店の開店は、同社の社名をブックオフコーポレーション株式会社に変更する前の前身の会社時のことである。

2. 取組の背景

同社ではパートタイマー等が全社員の約9割を占めており、店舗では多くのパートタイマー等によって店舗運営されているため、稼働人数の確保とキャリアアップ、長期定着が鍵となっている。

3. 取組の内容

雇入れ時に書面で相談窓口を明示し、契約更新時には店長が個別面談

雇入れ時には、書面に相談窓口を明示し、雇用管理の内容を説明している。契約更新時は各店舗の店長が契約書を作成し、個別に面談を行っている。

分かりやすく明確な基準をもとにした昇給制度

同社は、時給が上がることでパートタイマー等のモチベーション向上につなげたいという考えがあり、キャリアアップに応じて時給が上がる仕組みを運用している。

業務遂行レベルを7段階に格付けし、随時昇給できる仕組みを採用している。ランクとレベルとそのレベルに留まっている平均期間は下表のとおりであり、パートタイマー等の約65%がチャレンジャーCとチャレンジャーBに位置している。

ランク レベル 平均期間
トレーニー(新人) 基本作業を覚える。 3か月から半年
チャレンジャーC 作業が一人でできる。 1~2年
チャレンジャーB 作業が正確にできる。
チャレンジャーA 仕事が正確にスピーディにできる。 個人差による
トレーナー トレーニーに仕事を教えることができる。
サブマネージャー 店長代行として業務ができる。
マネージャー 店長業務ができる。

ランクごとの基準は約10項目で構成され、店舗ごとに基準表として開示している。チャレンジャーBまでは、オペレーション(作業)と仕事に対する考え方に関する項目が多く、チャレンジャーA以上は、新人を教育するスキルや店舗のマネジメントに関する項目が増えてくる。パートタイマー等はランクアップに向けて、自身ができていることと、これからできるようにならなければならないことが明確に分かるようになっている。

次のランクへのステップアップは、各店舗の店長がランクごとの基準をもとに適時判断している。チャレンジャーAが早期にトレーナーにランクアップできるよう、店長が指導マニュアルに基づき指導している。また、店長は契約更新時の個別面談の際にランクアップするために必要になっている課題等をアドバイスしている。

会社は、パートタイマー等をランクアップさせることによって、店舗のレベルの向上、収益力の向上につなげるという狙いを持っている。トレーナーまでランクアップした者についてはさらなる経験を積めるよう、新店舗の開店時に新人研修担当として一定期間異動させたり、別の大きな店舗や、収益力の改善が必要な店舗へ異動させることがある。

年1回の正社員登用制度により、キャリアアップを推進

パートタイマー等は、チャレンジャーA以上になると、本人が希望すれば正社員転換の試験を受けることができる。応募は毎年10月に自ら本部に申請し、10月末頃に開催される説明会と面接を1回受ける。説明会を、同社では「人生を左右する大切な機会」と考えており、パートタイマー等スタッフ出身であり現在は同社の相談役取締役である橋本氏自らが候補者一人ひとりに向けて話をしている。面接での面接官は統括エリアマネージャー及び本部社員の2名である。11月末には合否が発表され、翌年2月に配属先が内定され、4月1日付で正社員となる。

2014年の実績では、約50名が正社員登用に応募し、そのうち約30名が試験を通過して正社員に転換している。

相談窓口の充実を図り、すべての従業員の働く環境の向上に努める

同社は相談窓口を2つ用意している。1つはコンプライアンスを含み、質問や通報等、何でも相談を受け付ける窓口、もう1つは労務室という名称を用い、正社員やパートタイマー等の給与計算や社会保険手続等の質問を受け付ける窓口である。これらの窓口について、本部から店舗宛に発信される社内報に記載することにより周知を図っている。

4. 成果と課題

昇給制度を導入して以来、次のステップに上がるために自ら店長に相談するなど、課題を明確に持ち、キャリアアップに意欲的なパートタイマー等が増えている。採用時も各人のミッションと給与が明瞭であるために、入社に対するモチベーションが高まっている。一方、数年間同じランクに留まってしまいモチベーションを下げてしまうパートタイマー等も若干名いるので、いかに教育していくかという点は課題になっている。

正社員登用制度については、全体の応募人数や女性の応募人数をさらに伸ばしていくため2015年12月より全国転勤の要件がないストア社員制度を導入した。

また、相談窓口を充実、周知したことにより、従業員の通報によって本部が店舗の問題点や課題を把握できるようになり、トラブルの未然防止や早期解決に役立っている。

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