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(株)エコリング

平成27年度パートタイム労働者活躍推進企業支援事業(雇用管理改善)より

即戦力パートタイム労働者の定着促進のために、早期の無期雇用化を実践。正社員をふくめ、社員の一体感醸成のために社内行事を励行

2.賃金・労働時間
5.キャリアアップ・
正社員転換推進措置
6.福利厚生・安全衛生
8.職場のコミュニケーション等
9.その他
所在地 兵庫県 業種 小売業
従業員数 約340名 パート労働者数 約80名
事業概要 無店舗小売業
ポイント
  • 無期雇用により長期勤続体制を整備。
  • 正社員登用・研修・昇給等により能力発揮・意欲向上を促進。
  • 全社員対象の社内行事を活用し、社員間の積極的な交流を図る。

1. 企業概要・人員構造

同社は平成13年に創業し、店舗で買い取った商品を店頭で売るのではなく「インターネットオークション」「業者間取引」「海外店舗」で販売するというリサイクルビジネスを展開している。国内における主な販路は、インターネットオークションによる個人への販売と高級ブランド品を中心とした小売業者への販売である。九州から関東エリアに構える68の店舗で商品を買い取り、その商品を本社に集め、インターネットに掲載し、購入者が確定した後は物流倉庫から発送する。あらゆるリサイクル商品を扱うため、買取から販売まで、商品の価値を見出し、その価値を顧客へ伝えていくことを全社共通の理念としている。

事業は買取部門と販売部門に大別され、買取部門(店舗勤務)は正社員のみが勤務し、販売部門においてはパートタイマーやアルバイトも勤務している。販売部門は、買取商品についてインターネット掲載用の写真を撮影したり、受注のメール応対等を行う部署と、商品の検品・クリーニング・発送を行う部署に区別される。買取業務を行う店舗では、買取希望のある商品の鑑定・査定・買い取り価格の説明・金銭の支払い等の業務があり、その職責や研修期間(入社してから1か月程度の集合研修及び店舗におけるOJT)等も考慮し、全員を正社員としている。

パートタイマー・アルバイトは短時間勤務者からフルタイム勤務者までいるが、いずれも時給制である。

雇用区分のまとめ

  仕事内容 雇用期間 勤務時間 給与体系
正社員 主として店舗にて商品買取(商品鑑定士として勤務) 無期雇用 フルタイム 月給制
パートタイマー・アルバイト等 <通販事業部門>
インターネットオークション出品用商品の撮影や紹介コメントの入力、メール受注への対応・お客様への返答、入金管理
<商品管理部門>
倉庫・商品の検品、クリーニング、発送
入社時は2か月の有期雇用、その後無期雇用へ変更 フルタイム又は
1日5〜6時間
(求人はフルタイムが多い)
時給制

※以下、短時間勤務のパートタイム労働者であるパートタイマー・アルバイトを「パートタイマー」と記載する。

2. 取組の背景

事業運営においてパートタイマーは重要な戦力であり、必要不可欠な存在である。そのため、パートタイマーの雇用を増やし、雇用の継続を図っていくために、パートタイマーの要望には、できる限り丁寧に対応してきた。

3. 取組の内容

無期雇用への転換

採用時は、雇用期間を2か月とする有期契約であるが、その間の勤怠について特に支障がなかった場合は、原則として全員を期間の定めのない契約(無期雇用)として再契約している。パートタイマーの無期雇用化については、当初、社内で議論があったものの、パートタイマーも同じ目標を持って働く同僚であり、景気の変動による人員調整の対象とはみていないこと、若い社員(平均年齢28歳)が多い中、パートタイマーから社員への率直なコミュニケーションが社員の育成にもつながっていたため、組織風土への貢献を勘案し、原則無期雇用の制度を導入するに至った。今後もこの制度を維持していくことを目指している。

意欲のあるパートタイム労働者を積極的に登用・評価

パートタイマーであっても意欲のある者については、正社員登用や研修の機会を与えるようにしている。これまでの実績は、以下のとおりである。

正社員登用

パートタイマーの希望や部門長の推薦等により正社員登用を行っている。実績については、年間約1~2名であり、これまでの実績は10名ほどである。

4年前に採用したパートタイマーについて、入社から半年経過後に、正社員へ登用した。そのパートタイマーは、主として正社員が受講する研修についても、パートタイマーの時から参加していた。正社員登用後、インターネットオークションにおける出品を担当する部門のリーダーとなり、さらに部長へ昇格した。パートタイマーから部長への昇進は、同社で初めての事例である。

研修への参加

社外、社内の研修において、正社員を受講対象としているものであっても、本人の希望があり、会社が承認した研修については受講が可能である。なお、出張を伴う研修についても参加を認めることがある。最近の例としては、ウェブに関する外部研修を受講したパートタイマーがいる。

勤務評価と給与を連動

1年に1回、パートタイマーの勤務評価を行い、その結果を時給に反映している。部門長は、勤務実績や貢献度等により評価を行っている。一回の昇給額は部門長の裁量に任されている。昇給額の幅が部門によって異なるため、今後は、評価項目、評価方法、評価基準について、会社で統一された考課制度の構築が必要である。

全社員対象の社内行事で交流と情報共有を促進

全社員を対象とした懇親会や方針発表会の開催を行い、経営理念や情報の共有化を図り、併せて社内の親睦や交流を行っている。

方針発表会による経営方針の共有

年に1回、本社で各部門長が短期・長期の方針を発表する方針発表会を開催しており、パートタイマーも参加し、会社の方針を共有している(発表会への参加は勤務時間として取り扱っている)。

方針発表会の開催後は懇親会と表彰式を行っており、鑑定士(正社員)とパートタイマーそれぞれから、模範となる人を表彰している。パートタイマーからは、今年は2名が表彰された。

福利厚生制度の拡充

パートタイマーの健康促進や満足度向上の観点から下記の内容を実施している。

健康診断の実施

会社の健康診断の受診について全社員を対象としているため、週の所定労働時間が30時間未満のパートタイマーも無料で定期健康診断を受診することができる。

社内販売の利用

買取商品について、インターネットオークション掲載前に、従業員から購入希望があった場合、社内販売が可能である。買取の実価格とインターネットオークションでの落札見込価格の両方を検討した上で、販売部門で社内販売価格を決め、従業員へ金額の提示を行い、従業員が承諾した場合に社内販売を行う。リサイクル業においては、商品仕入れ・販売とも定価という概念がないため、個別に価格検討を行い、従業員へ対応している。社内販売の件数は、全社平均して1か月当たり20~30件である。

4. 成果と課題

過去3年で社員数は約2倍に増加し、業務拡大に比例して新規採用者の数も増加しているため一概に勤続年数で表すのは難しいが、パートタイマーは長く勤めている方が多く、設立当初から10年以上継続勤務しているパートタイマーもいる。

パートタイマーにより活躍してもらえるように、経営体質を強化し、より利益が出せる会社となり、給与に反映できるようにしていきたい。また、現時点では昇給幅の基準が部門長に委ねられているが、全社統一した基準による評価制度を構築し、パートタイマーの納得性を高めていきたい。

また、以前は経営者自らがパートタイマー全員と個人面談を行い、悩みや要望を聞いていたが、従業員数の増加に伴い経営者ひとりで全員に対応することは難しくなったため、現在は各部門ごとに任意で個人面談を行っている。しかし、今後は社内制度として全員対象の個人面談制度を確立したいと考えている。

パートタイマーの要望をヒアリングすると給与だけでなく、福利厚生の拡充も求められていると実感する。そのため、パートタイマーへの慶弔休暇の導入を検討したり、制服支給や食堂の改善といった身近な事柄への要望にも耳を傾け、他社の効果的な事例も参考にしながら、自社のパートタイマーの満足度を高める仕組みを作っていきたい。

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