ここから本文です

株式会社東邦銀行

平成27年度パートタイム労働者活躍推進企業表彰受賞企業事例集より

平成27年度「パートタイム労働者活躍推進企業表彰」
奨励賞(雇用均等・児童家庭局長奨励賞)

業績考課表を用いた客観性の高い評価に基づく業績考課とモチベーションを向上させる様々な取組、福利厚生制度や専任の支援体制の整備により、パートタイム労働者を戦力化

2.賃金・労働時間
3.教育訓練等の能力開発
4.人事評価
5.キャリアアップ・
正社員転換推進措置
6.福利厚生・安全衛生
7.ワーク・ライフ・バランス
所在地 福島県 業種 金融業・保険業
従業員数 3,132名 パート労働者数 726名
事業概要 福島県下の自治体の多くから指定金融機関の委託をうける地方銀行
ポイント
  • 業績考課表を用いた客観性の高い評価の実施。
  • モチベーションを引き出すための報告・表彰・提案制度によりパートタイム労働者を積極的に表彰。
  • パートタイム労働者専用の「パートナー支援室」の設置によりバックアップ体制の強化。

審査委員はここを評価

提案制度や自主参加方式の研修制度等、社員の自発性を重視した職場改善やキャリア開発のための施策が充実しており、これがパートタイム労働者の意欲を喚起し、パートタイム労働者への制度整備を後押しするという好循環を生んでいると思います。

1. 企業概要・人員構造

同行は、1941年、郡山商業銀行、会津銀行、白河瀬谷銀行の3行合併により発足した。現在は福島県を中心に115か所の店舗を展開している。

同行では、パートタイム労働者を含む全従業員が一体感を持って働けるようにと、パートタイム労働者の呼称を「パートナー」としている。福利厚生制度等、従業員が利用可能な制度のほとんどがパートナーも対象であり、パートナーを支援する担当部署を設けるなど、支援体制も充実している。

パートナーが担当する主な業務は、窓口、ロビースタッフ、事務であり、部門ごとに都度募集をしている。業務の多様化に伴い、パートナーはやや増加傾向にあり、現在は従業員の1/4を占めている。営業本部のパートナーは、補助から中心的な役割まで担い、重要な戦力となっている。パートナーの中には、同行を60歳で定年退職し、65歳までの継続雇用後に70歳まで時間給で働くシニアサポーター(現在は13名)も含まれている。

なお、同行ではパートナーと行員の間に、フルタイムではあるが有期契約の「嘱託」という雇用形態も設けている。

2. 取組の背景とねらい

同行では、従来より「人を大事にする経営」を推進すべく、正規の行員だけではなく、パートナーも含めた多様な働き方(ダイバーシティ)への取組(両立支援制度拡充も含めた、評価・処遇等の活躍推進にわたる取組)を進めてきた。それと並行して、業務の多様化・効率化を図る中で、従業員の1/4をパートナーが占めるようになった。意欲的で優秀なパートナーをバックアップするため、積極的に制度の充実を図ってきた。個々人がスキルアップやキャリアアップを意識して業務に取り組めるよう、パートナーの活躍推進の機会を拡大してきた。

3. パートタイム労働者の活躍推進のための具体的な取組

業績考課表を用いて半期ごとに評価し、登用制度等に反映

パートナーの勤務態度等を適正に評価することを目的として、全パートナーを対象に半年ごとの業績考課を実施している。考課表は全職種共通で、実績5項目、態度7項目の計12項目を点数化し、合計得点を5段階に分け評価している。また、数値評価だけではなく、考課表には特記事項欄があり、通信教育の受講履歴や考課項目にはないが努力している点等を記し、評価している。これらの評価結果は登用制度や契約更新に反映される。

なお、評価結果については人事部で集計し、評価者の参考資料としている。

行員も含めた評価に基づきパートナーにだけ支給される褒賞金制度

窓口を担当するテラーパートナーについては、半年ごとの成果に応じて褒賞金を支給している。前述の業績考課表の「実績」部分を用いて、行員を含めた全ての窓口担当の成績を出し、上位に入ると支給対象となる。2014年下期は67名のパートナーが支給対象となった。行員・嘱託については評価結果が賞与に反映されるが、パートナーには賞与がないため、その代替として褒賞金が支給されている。

積極的に推進している行員・嘱託登用

パートナーを対象とした嘱託への登用を毎年10月に実施している。登用のための条件は①本人の希望と所属長の推薦、②業績考課で一定の評価以上であること、③公的資格(証券外務員等)の取得であり、人事部との面談を経て決定する。2013年は20名、2014年は18名、2015年は26名と登用数は増加傾向にある。

更に嘱託から行員への登用には、①本人の希望と所属長の推薦、②業績考課が一定以上の評価であること、③キャリア事務嘱託1として1年以上の経験があることが条件であり、人事部の面接を経て決定する。2015年には12名が登用された。パートナーから嘱託を経て行員になった者が役職登用されたケースもあり、意欲のある者は積極的にキャリアアップを目指せる環境が用意されている。

なお、同行では従来、行員への登用においては嘱託を経なければならなかったが、嘱託を経ずに行員になれる「特定職行員制度」が2015年10月より発足した。嘱託になるには、公的資格の取得が条件のひとつとなっていたが、事務を担当しているパートナーには登用の条件となるような公的資格がない。また、窓口担当は営業成績が分かりやすいのに対して、事務には数字で表れるものがなく実績評価が難しいが、業務内容は非常に重要かつ不可欠で、業務に精通した優秀なパートナーも多い。そこで、そうしたパートナーを正当に評価し、職務を限定したスペシャリストとして活躍してほしいと新たな制度を設置するに至った。登用条件は①本人の希望と所属長の推薦、②業績考課で一定の評価以上であることであり、人事部との面談を経て決定する。登用候補者には、電気工事士等の技術系や事務スペシャリストを想定している。

1 嘱託はキャリア事務嘱託と事務嘱託の二種類がある。キャリア事務嘱託は窓口担当(所定の資格取得が必要)で、事務嘱託は主に後方事務を担当する(資格取得は不要)。

モチベーションを引き出すための報告・表彰・提案制度

事務処理・事務管理は、日々の取組や努力を数字によって評価することは難しいが、全ての業務の要である。担当者のモチベーションを高め、事務処理・事務管理に対する意識改革を図る目的で、一人ひとりの頑張りや良い取組について身近でよく知っている営業店から評価を発信する「いいね!リポート」制度が2014年度に創設された。例えば、業務のポイントをノートに仔細にまとめミスなく仕事をしている、後輩の指導に熱心に当たりチームとして質の高い仕事をしているなど、全体で共有し見習いたい取組を随時募集し、社内報で紹介している。リポートの対象者は全従業員であるが、事務の要を担当しているパートナーについてのリポートが多く、社内報に載せきれないほどの件数が集まっている。優れた取組については、半年ごとに行っている「営業店表彰制度」において、「事務管理部門」の個人表彰をしているほか、受賞者を推薦した従業員に記念品が進呈される。

また、全従業員からの意見・提案を募る仕組みとして「東邦みんなの力(意見・提案制度)」を設けている。本部から発信するのではなく、現場から日々の業務の中で使いづらい、手間がかかるなど気がついた点を改善するための意見を募り、働きやすさや業務の効率化につなげることを目指している。行内イントラネット上で申請し、各主管部にて審査・取組方針を決定している。意見を提出した従業員に対しては、記念品を贈呈している。提案しやすくするよう時間をかけずに簡単なステップで申請できるよう工夫されているため、2014年度は470件に上り、その多くがパートナーから出されたものであった。全ての提案はイントラネット上で誰もが確認でき、提案の進捗状況も随時確認できる。また、提案数・採用件数が多かった個人・店舗については、「営業店表彰制度」の「意見・提案部門」にて個人・店舗を表彰し、社内報にも載せている。

なお、社内報は社内情報の共有化とコミュニケーション促進につなげている。

キャリアアップを支援するための研修・自己啓発制度

パートナー向けには、全員が対象となる地区別の研修を実施している。内容は、CSやコンプライアンスについて、事務知識の習得と確認、窓口業務の基本と事務事故実例等、基本的な知識の定着を促すもののほか、認知症の方に対する接し方等も学ぶ認知症サポーター養成講座等お客様目線の取組が含まれている。また、嘱託・行員への登用制度の周知を行うとともに、キャリアアップへの意識醸成を図るものとなっている。パートナー向け研修終了後はアンケートを実施し、意見をとりまとめ、社会情勢や従業員の求める内容の研修が用意されるよう工夫している。

また同行では「とうほうユニバーシティ」と称し、従業員の能力開発を後押しするため、体系化された研修制度が整備されている。同研修制度は全従業員を対象としたもので、全店舗から年間で50名程度が参加する「ロビーパートナー講座」や銀行業務の基礎知識を習得する「基礎講座」等が用意されている。特に、基礎講座の為替編や窓口応対編等の特殊業務や専門知識を深める講座に人気があり、自主参加ではあるものの、キャリアアップを目指す意欲的なパートナーが各講座2~3名参加している。

そのほか、地方銀行協会主催の行外研修にも、本人の希望があれば参加することができる。研修の多くは公募制であり、自主性に任されている。

嘱託登用の条件である公的資格(証券外務員等)の受験対策講座は、主に休日セミナー形式で外部講師を招いて開催されており、希望があればパートナーも受講することができる。資格によっては、合格することで褒賞金が出るものもある。また、自己啓発として、行員同様にパートナーにも各種通信講座が案内され、毎年冊子が配られるほか、いつでも閲覧できるよう各支店内に配備されている。会社による費用の補助はないが、特記事項として業績考課表に記載され、資格を取得すれば評価に反映される。

パートナーを全面的にバックアップするパートナー支援室

同行ではパートナーの数の増加に対応するため、2015年3月にパートナー支援室を設置した。パートナーに関わる事務全般、雇用管理と人材育成に係る体制の整備、面接等一括して行い、パートナーの身近な総合窓口となることを目指している。体制は室長(行員)のほか、嘱託1名、シニアサポーター2名となっている。

業務上の悩み等については、これまでも人事部内に職員総合相談室を設置しているが、パートナーの相談は支援室で受けることとしている。

特にキャリアアップ・スキルアップに重点を置いており、研修や面接に力を入れている。半年に一度の所属長との業績考課による面接のほかに、年に一度、支援室との面接の機会を設け、将来的にキャリアアップの意向はあるか、現在のライフスタイルや仕事に対する不安があるかなどの情報を収集し、所属長との面接に活かしている。また、面接での意見をもとに人材育成課と連携し研修の充実を図るように努めている。

パートナーについても両立支援制度を拡充

同行では、仕事と家庭の両立支援に積極的に取り組み、様々な制度を設けており、仕事と育児、仕事と介護を両立できる職場環境の整備促進に取り組む企業として、厚生労働省からの認定も受けている。

時間単位の年次有給休暇や半日有給休暇、短時間勤務制度等を設けていたが、2015年4月よりそれらの対象を行員・嘱託だけではなく、パートナーにも拡充した。その中でも特に時間単位の年次有給休暇制度は好評である。1年につき5日の範囲内(40時間限度)で1時間単位の年次有給休暇を取得することができる。子どもの学校行事やデイサービスの送迎等でのニーズは多く、非常に助かっているという意見が多く寄せられている。

また、もともと勤務時間の短いパートナーであっても、育児や介護等の理由があれば、契約更新を待たずに毎月1日付けで勤務時間を変更することができ、より短い時間での短時間勤務を選択することができる。

更に、2014年10月からは、福島県内の金融機関としては初となる事業所内保育所「とうほう・みんなのキッズらんど」を設立し、パートナーも利用可能としている。

4. 取組に当たって工夫した点・苦労した点

パートナーの採用は、部門ごとに随時行っている。支店数も多く、地域も広範囲に及んでいるため、一時に集合研修をすることが難しい。そのため、パートナーとして共通で学んでもらいたいことをその最も適した時期に共有することが難しいと感じていた。そこでTV会議システムによって重要事項の伝達等を速やかに行える仕組みをつくり、入行時の研修等もこれを利用して、各支店同時に行うこととした。また、研修については地域別に複数回開催し、より参加しやすい環境づくりを推進している。

5. 取組の効果と今後の見通し

同行のパートナーは、充実した社内制度を行員と同様に享受でき、地道な努力が正当に評価される土壌がある。更に行員登用を見据えた研修の充実や面接の実施等、個人に寄り添った細やかな体制によって、パートナーの意識向上がみられる。具体的には、パートナーから嘱託への登用者数が増加傾向にあること、ロビーパートナー研修実施によるCS向上店舗の増加や各種資格受験者の増加という形となって表れている。

安定した雇用形態として行員へのキャリアアップを目指す者については制度を整えたが、それを望まない優秀なパートナーもいる。それぞれのライフスタイルに合わせた多様な働き方を尊重した処遇のあり方が今後の大きなテーマとなっている。

また、制度上は両立支援制度が進み、多様な働き方が選択できる環境ではあるが、その運用には、使用する側の遠慮をなくすことや同じ職場内での関心や理解等、制度の充実に伴った従業員の意識の浸透・社会的気運の醸成が不可欠である。「人を大事にする経営」をモットーに積極的に取り組むことで、定着を促していきたい。

従業員の声

パートナーから転換した行員として初めて役席者になったパートナーのモデルケース
(営業店資産運用部、調査役、勤続13年)

2003年に週5日、9:00~16:00の短時間で働くテラーパートナー(窓口業務)として入行した。2年後に嘱託に、その3年後に行員に転換し、現在は、営業店で資産運用部門に従事している。パートナーから転換した行員の中で、初めての役席者として活躍している。行員に転換した3年後には営業店表彰制度において資産運用部門優績者として個人表彰を受賞している。

証券会社に勤務後、専業主婦として子育てに専念していたが、子どもの成長に伴い自身のあり方を模索していたころ、新聞の折り込み広告にあった同行のテラーパートナー募集への応募を夫に勧められ、働き始めるようになった。当初からできるだけ長く働き、キャリアアップしたいと考え、意欲的に働いていたところ、嘱託・行員への転換制度が順次整備され、その波に乗る形で、所属長からの推薦を受けて嘱託・行員へと転換する運びとなった。

嘱託になると勤務時間は17:15までと行員と同じになったが、子どもの成長により安心して働ける環境になっていたため負担は感じなかった。パートナーの時と同じ内容の業務を担当していたが、それまでは研修等の業務外のことにまであまり目が向かなかったのが、より積極的に参加するなど、視野を広く持って従事するようになった。更に行員に転換すると、担当する業務の幅も広がり責任感も増した。それまで担当した業務以外にも様々な分野に精通したいと、公募型の行外研修にも参加するなど、意欲的に学びの場を増やしている。

家庭以外に、自分を必要としてくれる場があり、評価されているという実感は何にも変えられない喜びであり、入行して良かったと日々感謝している。現在頑張っているパートナーにとって自身がモデルケースになれば良い、是非同じ充実感を味わってほしいと思っており、後輩パートナーが活躍してくれることを期待している。

一覧へ戻る