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株式会社トーカイ

平成27年度パートタイム労働者活躍推進企業表彰受賞企業事例集より

平成27年度「パートタイム労働者活躍推進企業表彰」
奨励賞(雇用均等・児童家庭局長奨励賞)

パートタイム労働者に対して人事考課を実施し、昇給と賞与に反映、資格取得支援や正社員登用も実施

2.賃金・労働時間
3.教育訓練等の能力開発
4.人事評価
5.キャリアアップ・
正社員転換推進措置
6.福利厚生・安全衛生
7.ワーク・ライフ・バランス
8.職場のコミュニケーション等
所在地 香川県 業種 生活関連サービス業・娯楽業
従業員数 682名 パート労働者数 261名
事業概要 病院・ホテル等で使用するリネン等の関連製品のリース及びクリーニング、院内業務請負、各種医療器材の洗浄及び滅菌処理
ポイント
  • パートタイム労働者を人事考課に基づいて昇給させ、賞与も支給。
  • 業務に関連する資格取得を奨励し、通信教育や社外講習の受講を支援し、資格取得時の祝い金及び資格手当を支給。
  • パートタイム労働者を、フルタイムパートを経て正社員に登用。
  • パートタイム労働者も業務改善提案や永年勤続の表彰対象とし、誕生月の記念品贈呈やイベント参加等、正社員と同様の福利厚生制度を適用。

審査委員はここを評価

職場環境の改善により、人材の定着に成果をあげているところが素晴らしいです。提案制度や社員アンケート等様々なコミュニケーションの工夫を通じて、業務改善や働きやすい職場の実現を図っている点が特徴的です。

1. 企業概要・人員構造

同社は、1962年に創業し、病院で使用する寝具類等を扱うリネンサプライ事業を開始した。その後、ホテル向けのリネンサプライ事業、産業リネン等のユニフォームのリース事業、病院駐在型の院内業務等の請負事業、各種医療器材の滅菌業務受託事業、更に手術用リネンのリユース事業を展開し、事業を拡大してきた。2005年に岐阜県に本社をおくトーカイ社と資本提携したことを機に、人事に関する諸制度を見直すとともに、職場環境の改善を促進した。現在は、中国・四国地方を中心に香川県と岡山県の5工場と、院内駐在拠点を運営している。

正社員、契約社員、フルタイムパート、短時間パート、60歳以上の再雇用の嘱託社員、外国人実習生が勤務しており、正社員、契約社員、嘱託社員は月給制、フルタイム及び短時間のパートと外国人実習生は時給制である。退職金は正社員のみに支給しているが、資格手当及び賞与は、正社員以外(一部時給に含む者有り)についても対象にしている。

契約社員は配送業務、フルタイムパートと短時間パートは工場又は院内駐在拠点を中心に配置している。契約社員、フルタイムパート、嘱託社員の基準労働時間は正社員と同じ8時間である。それより短い時間働く者が短時間パートであり、いわゆるパートタイム労働者に当たる。

2. 取組の背景とねらい

一般的にリネンサプライ業は、高温の洗濯・乾燥処理を要することから、3K職場の一つと言われることもあり、従来、人材確保が大きな課題であった。2005年の資本提携を機に、業務内容や人事に関する諸制度を見直し、役割と責任を明確にした雇用区分を導入する一方、役割と責任に関わらない制度については共通化した。就業規則は正社員向けのものと、契約社員、嘱託社員、フルタイムパート、短時間パート向けの2種類がある。

職場環境を改善することが優秀な人材の獲得と定着につながると考えており、従業員一人ひとりが働きやすく、公平に評価される職場環境を整えることを目指している。

3. パートタイム労働者の活躍推進のための具体的な取組

人事考課に基づき賞与支給と昇給を実施

契約社員、フルタイムパート、短時間パート、嘱託社員に対して、年2回人事考課を実施し、結果を賞与に反映している。業務遂行上の能力、態度、成果に関する項目について、5~7段階で評価する。課長以上の職場責任者等が面談を実施し、達成度や到達度を確認した上で、評価を記入する。短時間パートに対する考課は、一次評価は係責任者(係長クラス)、二次評価は課責任者(課長クラス)、三次評価は部責任者(部長クラス)が行う。複数の管理者が評価する仕組みにすることで、公平性と公正性の確保を図っている。

更に評価結果をまとめ、年度の総合評価を算出し6段階評価を行い、結果を次年度の時給に反映する。2014年度は短時間パートの32%の人員に対し時給を平均11.3円増額した。増額者には評価した点、次に期待していることを伝えた上で、時給変更通知書を手渡す。今のところ、評価が低く時給を減額した実績はない。

契約・嘱託・パート社員考課表(イメージ)

管理者手当の支給

原則として役職登用は正社員に限っているが、正社員が少ない、又は正社員不在の院内駐在拠点においては、フルタイムパートや短時間パートが管理業務を兼務することもあり、その場合は役職規定上の役職には相当しないが、月額2,000円の管理者手当を支給している。院内駐在拠点は、人員数1名から50名弱と規模が様々で正社員が常駐していない院内駐在拠点も多くあるため、2014年度には約10名の短時間パートに管理者手当を支給した。

全従業員を対象とした表彰制度を実施し、短時間パートも多数表彰される

短時間パートを含む全従業員を対象に各種の表彰制度を実施している。年1回実施する社内表彰では、社長賞、優秀賞、人材育成賞、チャレンジ賞、特別賞、グッドアクティブ賞の6つの賞を設け、約30件を表彰している。いずれも事業本部ごとに候補者を推薦する。2014年度は22件のグッドアクティブ賞のうち4件が短時間パートによるもので、話し合いと協力で人員不足を乗り切った院内駐在拠点等が表彰された。

また、改善提案については、作業の効率化や資源の無駄を省くなどコスト削減につながる案を3か月ごとに表彰している。全提案者に参加賞として現金100円を支給し、実際に採用されたものには実施賞として500円の図書カードを支給している。内容が特に優れているものにはA~C賞を設定し、A賞は10,000円、B賞は5,000円、C賞は2,000円の現金を支給している。

2014年度は、C賞11名中2名、実施賞25名中3名、参加賞42名中5名が短時間パートであった。そのうちC賞を受賞した短時間パートによる改善提案は、キャビネットの整理やネームプレートの再利用等、現場目線に立った短時間パートならではの提案であった。

短時間パートも永年勤続の表彰対象となっており、2014年度は短時間パート1名に10年勤続表彰を授与した。

短時間パートに対しても通信教育や講習、資格取得の費用を負担し、資格取得者には祝い金と資格手当を支給

短時間パートを含む全従業員に対して、通信教育の受講を推奨し、費用を補助している。年度初めに通信教育のコース一覧を配布し、本人が希望するコースについて、受講完了した場合に会社が半額を負担する。2014年度には、短時間パート3名が自己啓発に関する通信教育を受講した。

業務で必要な資格については、全従業員に対し、外部講習の受講に必要な講習費、旅費、宿泊費を会社が負担している。2014年度には短時間パート5名が滅菌管理士講習等を受講し、その費用を会社が負担した。

新規に資格を取得した場合には祝い金を支給し、取得後は毎月資格手当も支給する。2014年度は、2名の短時間パートが資格を取得し、月額5,000円の手当を支給している。

短時間パートはフルタイムパートを経て、正社員に転換可能

フルタイムパートと契約社員を対象とした正社員転換は、2001年度から実施している。フルタイムパート及び契約社員のうち、能力が高く勤務態度が優れていて、所属長が推薦する者については、年1回、正社員転換試験を実施し、合格者を正社員に転換している。また本人が希望すれば、短時間パートからフルタイムパートに転換が可能であり、その後、正社員転換試験を受験することができる。

正社員転換試験は、筆記試験と面接試験で、試験の内容は一般常識、自社の制度理解、世界情勢等の時事問題の筆記試験、更に担当業務の現状と将来展望等についての論文である。会社案内を出題範囲として指定するなど、試験の難易度は高くないため、2013年度以降は毎年10名前後が転換している。累計の不合格者は3名で、不合格の場合でも、翌年以降に再度志願することができる。2015年4月に正社員に登用した11名のうち3名は短時間パート出身者であった。

アンケートを実施し、従業員の声を反映して職場環境改善を行う

2008年から、正社員やフルタイムパートだけでなく短時間パートも対象として、ES推進事務局が従業員満足度(ES)アンケートを実施し、広く意見・要望を把握している。ES推進事務局のメンバーは各事業本部長及び役職者を含めて構成され、2015年は29名が参画している。ESアンケートの集計結果は、従業員が閲覧できる社内イントラネットに掲載する。

実際にアンケートを通じて得た従業員の意見は、制度や環境改善に反映しており、具体的には新工場設立の際の職場環境整備に活かした。

退職者にもアンケート調査を実施し、同社に勤務して良かったことと悪かったこと、その理由を尋ねている。内容を職場責任者と共有し、職場責任者が改善案とその実施状況を本部長に報告する仕組みとしている。

4色カードの導入で、社員間のコミュニケーションと情報共有を図る

4色カードと呼ばれる制度を導入し、カードごとに異なる内容を記入して、コミュニケーションの円滑化を図っている。カードは、①ありがとうカード、②改善提案カード、③危険予知カード、④気づきカードの4種類である。これらは、短時間パートを含む全従業員が活用する。

①「ありがとうカード」は従業員が相互に感謝の意を伝えるもので、2014年度は全社で約9,000枚を発行した。正確な集計は行っていないが、短時間パートで数十枚以上のカードを書いた者もいる。カードに記載された内容は抜粋したものを冊子にまとめ、全社に年4回配布し、感謝の気持ちを共有している。

②「改善提案カード」は、全従業員に改善提案を促すものである。実際に有効な案は採用し、安全性や収益の改善につながる上位の案を表彰している。2014年度には42件の提案があり、そのうちの5件が短時間パートによる提案であった。

③「危険予知カード」は、ヒヤリハット事例の報告で、2014年度に提出された20件のうち2件が短時間パートによるものであり、機械のスイッチの位置が紛らわしく危険であるため一方を移動すると良いという提案を受け、スイッチの位置を変更したこともある。実際に安全衛生委員会と連携して改善を進めている。

④「気づきカード」は、2014年12月に新規導入したもので、気がついたことや直接言いにくいことを、匿名で出すことができるものである。2015年10月までに37件のカードが提出された。

育児や介護と仕事の両立を支援し、短時間パートも育児休業取得

ワーク・ライフ・バランスを重要視しており、育児や介護と仕事を両立できるように、単に制度を整備するだけではなく、制度を利用しやすい企業風土の醸成にも注力し、2009年と2013年、2015年には次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を策定して「くるみんマーク」の認定を受けている。

短時間パートでも育児や介護のために制度取得が可能であることを労働条件通知書に明記しており、これまで3名の短時間パートが育児休業を取得している。介護休業制度についても1名の短時間パートの利用実績がある。

誕生月の記念品贈呈、慰労会への招待のほか、相談窓口の案内等を実施

短時間パートを含む全従業員に対して、誕生月に記念品を渡している。また、全従業員が参加する催しとして、夏にはビア・パーティー、冬には忘年会を開催し、費用は会社が負担している。

現場で働く人を経営陣が慰労するために、従業員をホテルに招待して感謝の集いを2年に1回程度の割合で開催している。開催は日曜日であるが、フルタイムパートも短時間パートも多数参加している。福利厚生として数件の保養施設と契約しており、フルタイムパート、短時間パートを含む全従業員が利用可能である。毎年のイベントとして社内球技大会も開催しており、2015年は参加者109名のうち4名が短時間パートであった。

そのほかにも、短時間パートも含む新規配属者に対して、ウェルカムカードを渡して歓迎の意を表すると同時に、入職後抱えるであろう様々な不安を相談する窓口を案内している。また、人事課の相談窓口に加えて、2014年12月に社内の産業カウンセラー有資格者による相談窓口も開設した。

4. 取組に当たって工夫した点・苦労した点

2005年の経営統合を機に人事制度についても見直しを図り、同社は全従業員が幸せに働ける職場を目指すことにした。雇用形態による区分は必要だが、それ以外の各種制度については原則として共通化し、不公平感の解消を図った。

また地域社会における企業ブランド力を高めるために、地域コミュニティにも積極的に参加・貢献するように心がけている。同社が毎年開催しているお祭りは、2015年に12回目を迎え、短時間パートを含む従業員や家族、近隣の人々1,700名以上が参加した。趣向を凝らした縁日コーナー、外国人実習生のダンスや近隣の高校生のステージ発表の場を提供しており、大変好評を得ている。売上金は全額、近隣の保育所や小学校に寄付している。

従業員が幸せに働ける職場づくりによって優秀な人材を確保し、長期間勤務してもらうことにより、製品やサービスの質が向上し、事業拡大や発展につながると考え、一層の改善に向けた取組を続けている。

5. 取組の効果と今後の見通し

これまでの取組によって短時間パートの定着率は高まり、平均勤続年数は、2008年度の3.4年が2014年度には4.6年に延びている。

働きやすい職場環境を整備してきたことが評価され、2013年に第3回「四国でいちばん大切にしたい会社大賞」奨励賞を受賞した。これは経営者や人事関係者の励みになったばかりでなく、従業員が自分達の職場の価値を再認識する機会にもなった。受賞後は見学者や訪問者が増え、雇用形態に関わらず従業員が職場に誇りを感じるようになった。見学者からは、従業員の対応が素晴らしいという言葉をかけられることもあり、それが更に従業員達の励みになっている。

また、2013年の新工場稼働や駐在請負業務の拡大に伴って雇用を拡大したが、短時間パートへの応募者数が、2009年と比較すると2011年は1.5倍、2014年は2.3倍に増え、採用者も2009年の76名から2011年は116名、2014年は197名と増加し、人員を確保することができた。

今後更に定着率を向上させるために、入職3か月以内の退職率を低減したい。退職者アンケートによると、院内駐在拠点は現場により状況が異なり、事前説明よりも業務が煩雑かつ繁忙で対応が難しかったという所感が多い。病院駐在型の業務は、医療器材の洗浄・滅菌や手術室の環境整備等業務内容が多岐にわたり、現場によって手順が異なるため、詳細な内容を言葉で伝えるのが難しい部分もあるが、改善を図り、エリア責任者の巡回を増やすなどフォロー体制も強化して離職を防いでいきたい。

今後も、短時間パートを含む全従業員が、やりがいを感じることができるように、働きやすい職場から働きがいのある組織へと進化していきたい。

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