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千葉信用金庫

平成27年度パートタイム労働者活躍推進企業表彰受賞企業事例集より

平成27年度「パートタイム労働者活躍推進企業表彰」
奨励賞(雇用均等・児童家庭局長奨励賞)

パートタイム労働者に対して正職員と同一の人事考課制度を適用し、賞与に反映。自己申告制度を導入し、風通しの良い職場風土を醸成するほか、パートタイム労働者の正職員転換も推進

2.賃金・労働時間
4.人事評価
5.キャリアアップ・
正社員転換推進措置
6.福利厚生・安全衛生
8.職場のコミュニケーション等
所在地 千葉県 業種 金融業・保険業
従業員数 951名 パート労働者数 89名
事業概要 信用金庫法に基づく預金、融資、内外国為替、投信販売、保険窓販、その他の金融業務
ポイント
  • 正職員と同一の人事考課制度の下で、業績考課と能力考課を実施。
  • 正職員と同回数の面接を実施してパートタイム労働者を評価し、結果を賞与に反映。
  • 年に2回、パートタイム労働者を含む営業店全職員対象の個人業績表彰の実施。
  • パートタイム労働者の本音や意見、希望を把握するために自己申告制度を導入し、相談しやすく働きやすい企業風土を醸成。
  • 年1回、正職員登用試験を実施し、優秀なパートタイム労働者の正職員転換を推進。

審査委員はここを評価

正職員とパートタイム労働者の両者に、可能な限り共通の人事処遇制度を適用しています。例えば、職員面談や自己申告制度、更には個人業績表彰制度等で、こうした取組によって、異なる雇用形態の職員が、協働しながらそれぞれ活躍できる職場となっています。

1. 企業概要・人員構造

同金庫は、創業から90年以上にわたり、地域経済を支える金融機関の一つとして地域の活性化を目指してきた。1998年には両総信用金庫、2002年には木更津信用金庫、成田信用金庫と合併し、現在は千葉県全域に49店舗を展開している。

同金庫では、正職員の他に事務を担当するパート職員、定年退職者を再雇用した嘱託職員(契約内容によって雇用形態区分が異なり、常勤と非常勤がある)、年金に関する相談業務や年金口座開設を得る外訪活動を担当する年金アドバイザーと呼ばれる嘱託職員が勤務している。嘱託職員は、常勤と非常勤(短時間・短日数)の2通りの勤務時間があるが、どちらも嘱託職員就業規則の対象となっている。

事務を担当するパート職員は、ハローワーク等を通して、原則として金融機関勤務経験者を募集・採用している。勤務時間は、フルタイム契約のパート職員が9時から17時(休憩60分)まで、短時間契約のパート職員が9時から15時までである。勤務日数は週5日を基本とするが、本人の希望により月14日勤務の短日数契約もできる。給与は時間給と職務による加給の他、賞与(通常年2回)も支給している。時間給は、勤続年数に応じて自動的に昇給する。通勤可能な範囲での異動もある。契約は1年ごとに更新するが、原則として継続する。パート職員にも育児・介護休業規程を周知しており、2013年に1名が介護休業を取得し、育児休業者1名については、2015年9月に職場復帰している。

2. 取組の背景とねらい

同金庫では、正職員を補完する戦力として、長年にわたってパート職員を採用し、活用してきた。2002年に3金庫が合併した際に、パート職員や嘱託職員についても制度を見直し、雇用形態の違いによる差がなく、パート職員や嘱託職員がのびのびと活躍できるように後述する各種制度を順次導入してきた。

例えば、合併前のパート職員の人事考課はそれぞれの金庫で実施していたが、個々人に対する励ましや評価の言葉をかけるような対応を行うのみで、結果を待遇に反映させるものはなかった。しかし、合併を機に、パート職員の仕事に対する意欲を向上させるため、人事考課の結果を賞与等の処遇に反映させるような制度を整備した。

また、同金庫は2007年に正式に規程を定め、優秀なパート職員に活躍してもらうために正職員登用制度を導入した。

3. パートタイム労働者の活躍推進のための具体的な取組

正職員と同一の人事考課制度を適用

同金庫では、パート職員についても、正職員と同様の人事考課制度を適用している。

人事考課には、①業績考課(年2回)と②能力考課(年1回)がある。①の業績考課は、半年間を考課期間とし、期初の目標設定時と中間時に面接を行い、フィードバックをしている。業績考課の内容は、担当業務上の目標に対する達成度合いを評価する「業績考課」と、執務態度に関する「情意考課」に分かれており、項目ごとに規定のウェイトを掛け合わせて合計した値を総合考課点としている。

業績考課では、職種に応じて複数の目標項目を設定し、職位区分に応じたウェイトで評価する。パート職員については、部署・部門毎における重要・優先度の高いテーマに関する目標を3項目立て計60%の比重とし、「それ以外に力を入れたい数値項目やパフォーマンス向上を図る項目」の目標を1項目(複数設定)立てて残りの40%の比重をかける。

目標については、目標管理シートに自ら目標を掲げ適切な目標であるかについて、目標設定面接を実施している。中間時の面接は、所属長又は一次考課者が実施し、目標が過大であった際には修正している。なお考課者は、事前に考課者研修を受け、公平な評価の方法を学んでいる。一次考課者、二次考課者を経て所属長が最終考課を行い人事部に提出する。

考課結果のフィードバックは、部長や支店長等の所属長が実施する。また、評価結果に応じた金額の賞与を支給している。2014年度下期においては、パート職員の約20%が全体平均を上回る高評価を得て、賞与に反映されている。

業績考課 目標管理シート(イメージ)

業績考課・情意考課(イメージ)

②能力考課は、10月から翌年9月の1年間を評価期間とし、職務遂行に当たって発揮された能力を評価する。考課結果は、将来、正職員へ転換をする際の参考としている。

能力考課表(イメージ)

正職員と同じ土俵で表彰する個人業績表彰制度

同金庫では半年ごとに、雇用形態に関わらず営業店職員を対象に、重点分野を選んで表彰項目を決め、個人業績表彰を実施している。例えば、融資、住宅ローンの推進、預金の推進等を項目とし、上位入賞者に対して報奨金を支払うものである。上位入賞者には、本店で行う表彰式において、役員から表彰状を手渡し、近隣のホテルで入賞者と役員の懇親会を催し、役員が直接、職員の労をねぎらう場となっている。パート職員が上位入賞することもあり、2014年度下期も表彰者約60名のうち2名はパート職員であった。

正職員登用制度を整備し、年1回の正職員登用試験を実施

パート職員から正職員への登用については、正職員登用制度で規定している。

登用試験の受験資格は、年収制限のないパート職員としての勤務期間が3年以上であることやコンプライアンス・個人情報関連試験及び証券外務試験を取得していること等である。なお、コンプライアンス・個人情報関連試験及び証券外務試験は、全正職員が取得する資格で、事前に試験日程(年2回)や問題集・通信教育を案内している。

正職員登用の希望者は、正職員登用試験申込書を記入し、所属する部店長に提出する。部店長は、正職員登用に対する部門長意見書を記入し、人事部に提出する。この際に、人事考課(業績考課・能力考課)の結果を参考としている。

正職員登用試験において、人事部では筆記試験と面接試験を実施する。筆記試験は、コンプライアンスや業務上の基礎知識を問う内容で、面接試験は受験者1名に対し、人事担当役員(専務理事)、人事部長、副部長、人事課長の4名で実施する。合否判断については、試験結果そのものよりも、人事考課や勤務実績等が記載されている部門長意見書が重要視されている。

登用試験は第4四半期に実施し、合格者は4月1日付で正職員となる。毎年数名が合格しており、2011年に現行制度となってからの登用者数の累計は12名となった(2015年に転換した2名を含む)。合格者の年齢は30代前半から50代半ばまで様々だが、ベテランの者が応募する傾向にある。

正職員登用後の給与に連動する等級・号棒の位置付けは、正職員登用時の年齢に応じて設定される。

正職員と同じ職員面談を設け、人事部長宛に直接意見を伝える自己申告制度も実施

同金庫では年1回4月に、全職員を対象とする職員面談を実施している。職員一人ひとりの勤務状況、意見及び身上把握等を目的としており、まず本人が「身上書兼面談記録表」を記入し、所属長と面談をする。面談では、職務の満足度や将来の希望、職場の悩みから、本人又は家族の進学や健康、介護等の家庭の事情、心配事までの多岐にわたる相談に応じている。所属長は、面談後に所属長記入シートに記入し、身上書兼面談記録表に添えて人事部に提出する。このシートは職員が仕事に集中できる環境づくりに役立てるとともに、人事異動を検討する際の参考にもしている。

また、所属長には相談しにくい意見や悩み等を拾い上げるため、年1回11月に、所属長を経ないで直接、人事部長宛に「自己申告書」を提出させている。内容は、意見や希望、悩み、異動に関する希望、上司に対する評価等何を書いても良いとしている。所属長経由の報告では分からなかった職場の様子等が判明することもあり、有用なものになっている。

健康管理補助や従業員と合同の懇親行事

同金庫では、健康管理対策として40歳を超えた全職員に対して、社内で実施する健康診断か人間ドッグ受診か、好きな方を選択できることにしている。人間ドッグ受診者には補助金として上限3万円を支給する。40歳以上のパート職員の過半数が人間ドッグを受診している。

同金庫は、1998年から2002年にかけて3つの金庫と合併したため、職員の親睦を深めるために、年1回ソフトボール大会を実施している。県内各地から送迎バスを出し、会場には模擬店や屋台を並べ、ソフトボールに参加しなくても家族連れで楽しめる行事としており、例年500名以上が参加する。パート職員も参加しており、正職員とパート職員相互の親睦を深めている。

同金庫にはその他にも、本店職員食堂や更衣室、暑気払いや忘年会及び年越しそばへの補助金制度があり、パート職員も対象としている。

情報の共有

同金庫では、イントラ・パートナーとよぶ社内ネットワークを導入し、情報の共有に活用している。就業規則を含めた各種業務規程や通達を、各部店に配置したPCから、職番とパスワードを入力すれば、誰でも自由に閲覧・プリントアウトすることができる。役職の違いによるアクセス制限はあるが、雇用形態の違いによる制限はない。

4. 取組に当たって工夫した点・苦労した点

同金庫では、パート職員と正職員の間に不要な垣根を作らないような配慮をしている。雇用契約や賃金制度以外で、明確に区別する必要がある場面は少ないと考えており、できるだけ同じ制度を適用することにしている。

評価に際しても目標設定を調整するなど、勤務に対する意欲や向上心を高く維持できるように工夫している。

また同じ職場の一員として、パート職員の意見や考えを平等に受け止めるようにしている。人間関係等対応が難しい内容もあるが、「言っても無駄だ」という気持ちをパート職員にさせないようできる限り配慮している。自己申告制度を浸透させ、相談しやすい風土を作ることにより、パート職員の定着率向上と、優秀な人材の獲得につながれば良いと考えている。

5. 取組の効果と今後の見通し

同金庫においては、パート職員の契約更新に厳しい条件はないが、人事考課の結果も契約更新の参考とすることで、目標管理意識が醸成され、業績意識の向上につながっている。

同金庫においてパート職員から転換した正職員が活躍する姿を見ると、取組の成果が出ているのではないかと感じる。正職員転換後に役席に就いた例もあり、他のパート職員からも、励みや刺激になるという声が挙がっている。パート職員から転換してもキャリアアップが可能であることが示され、意欲のある優秀な人材が集まることを期待している。

同金庫では、ハローワークに求人票を出すなどして、金融機関経験者をパート職員に採用しているが、近隣の商業施設との人材確保競争が激しく、給与等の処遇について更なる改善の必要も感じている。2015年4月から千葉労働局雇用均等室にいる雇用均等コンサルタントのコンサルティングを受けて職務分析の取組を進めつつあり、処遇の適正化に役立てようとしている。

採用においても柔軟な対応を目指している。同金庫の定年年齢は65歳で定年後の継続雇用者も多いが、他の金融機関を60歳で定年退職したのちにもっと働きたいと考えていた60歳以上の人材を採用した実績もある。60歳を過ぎても、健康で確実な業務を遂行できる人は多く、また顧客にも高齢者が多いためか、好意的に評価する声が聞こえてきている。

同金庫では、多くのパート職員が若手の良き指導者もしくは相談相手となり、重要な役割を果たしている。面接や自己申告制度等を通して、風通しの良い企業風土を醸成することにより、パート職員がのびのびと活躍できる職場環境を整え、業績の向上につなげていきたいと考えている。

従業員の声

広範な知識と柔軟な対応を求められる信用金庫の事務職として、豊富な経験を職務に活かし、いずれは等級を上げることも目指したい
(支店勤務、事務職、勤続15年)

2001年にパート職員として入庫した。7年間の本店勤務と支店での預金窓口担当を経て、2012年に登用試験を受けて正職員に転換した。現在は支店で事務職として経理と為替を主に担当しながら、窓口全般の業務もチェックしている。

パート職員として勤務していた時代は、職務範囲が預金に限定されていたが、正職員に転換すると職務範囲が広がり、年金や保険等、広範な商品知識を身につける必要が生じる。子どもが成長し、正職員転換を目指すと決めた時には、必要な資格取得と商品知識習得のために猛勉強した。

現在は正職員となり、同じ等級でも経験が浅い若手の正職員を、長年の経験を活かして指導したり、相談相手となったりしている。職場においては、役席者と若手をつなぐ役割も担っており、多様な対応ができるように心がけている。特に接客においては、自分の年齢でしか実践できない応対があると考え、説明や対応に工夫を重ねている。

尽力した結果は人事考課で評価され、賞与に反映されるため、努力する甲斐がある。今後も引き続き勉強を続け、上の等級を目指して頑張っていきたい。

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