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株式会社山陽マルナカ

平成27年度パートタイム労働者活躍推進企業表彰受賞企業事例集より

平成27年度「パートタイム労働者活躍推進企業表彰」
奨励賞(雇用均等・児童家庭局長奨励賞)

パートタイム労働者に公平で透明性のある人事評価制度を導入して時給に反映し、人材育成を図りながら役職登用を推進

2.賃金・労働時間
3.教育訓練等の能力開発
4.人事評価
5.キャリアアップ・
正社員転換推進措置
6.福利厚生・安全衛生
7.ワーク・ライフ・バランス
8.職場のコミュニケーション等
所在地 岡山県 業種 小売業
従業員数 7,504名 パート労働者数 6,259名
事業概要 中国・近畿エリアにおけるスーパーマーケットの経営
ポイント
  • 業務の習熟度を評価し、時給に反映する「新パートナー制度」を導入。制度の構築にはパートタイム労働者も参画。
  • パートタイム労働者の技術を処遇に反映させるため、「パートナー検定試験」を実施。
  • 役職登用制度を整備し、能力の高いパートタイム労働者をリーダーや副店長に登用。
  • 正社員と同様にパートタイム労働者も対象とした社内表彰制度の実施。
  • パートタイム労働者が主体となって店舗運営について話し合う「マイストア委員会」を設け、パートタイム労働者が店舗改善・店舗運営に参画。

審査委員はここを評価

パートタイム労働者を所属長の推薦により副店長やチーフ・リーダーに登用するなど、積極的な基幹化を進めると同時に、それに対応したきめ細かい処遇制度を整え、納得性のある人事制度の構築に努めている点が特徴です。

1. 企業概要・人員構造

同社はスーパーマーケット経営を事業内容とし、2015年10月現在、岡山県を中心とする中国・近畿エリアに76店舗のスーパーマーケットを展開している。

2011年11月にAEONグループの傘下に入り、労務関係は親会社とは独立しているが、AEONグループの人事評価システムをベースに、自社に合うように整備し運営している。

従業員の雇用区分は、正社員、契約社員、パートナー、アルバイト(学生中心)の4つで、パートナーは勤務時間によって、ロングパートナー(正社員より少し短い所定労働時間のパートナー)、ショートパートナー(正社員より大幅に短い所定労働時間のパートナー)、モーニングパートナー(7時から11時に勤務するパートナー)に分かれる。このうちパートナーとアルバイトが正社員に比べて勤務時間が短く、パートタイム労働者に相当する。

全従業員の約83%はパートナーで、全従業員の約71%が女性である。正社員の平均年齢は35~36歳、パートナーの平均年齢は42~43歳であるが、パートナーの中には高年齢者も多数含まれており、2015年10月時点の最高年齢は80歳である。

パートナーの主な仕事分野には畜産、水産、農産、惣菜、食品、住居余暇、デイリーがあり、それぞれを製造、販売、発注、管理、教育といった職務に分けている。

店舗は大きく7つのエリアに分けられ、岡山・広島5エリア、兵庫1エリア、大阪1エリアで、正社員・パートナーはエリア内の人事異動の対象であるが、パートナーの異動については広域異動を伴わないよう配慮している。

2. 取組の背景とねらい

AEONグループの傘下となる以前からパートナーの評価制度はあったが、業務を行う能力があるかを評価しており、実際に業務を行っているかどうかについては評価をしていなかった。その結果、有資格者を適切な業務に配置していなかったり、パートナーができるはずの業務を正社員が行っていたり、パートナーの業務が適切に時給に反映されていないことがあった。

パートナーの意見を経営や店舗運営に取り入れる仕組みも適切に運用されておらず、パートナーの離職率も高かった。経験豊富なパートナーと新人パートナーの時給が同額という店舗もあり、パートナーの意欲低下と定着率が課題となっていた。

AEONグループの傘下となってから、パートナーの業務を整理し、透明性のある適切な評価制度を整備し、パートナーの戦力化と技術向上を図る仕組みを導入することにした。生活者でもあるパートナーの意見を取り入れ、店舗運営や経営に反映させる取組を進めている。

3. パートタイム労働者の活躍推進のための具体的な取組

業務の習熟度に応じて昇級し、時給が加算されるパートナー昇給制度を導入

2014年度より、業務の習熟度に応じてパートナーの時給を上げていく評価制度の運用を開始した。「新パートナー制度」と称し、パートナーの職種により8段階の資格等級を設定して評価項目を決め、必要な項目を満たすと等級が上がり時給が上昇するというものである。

パートナーは、入社時に「トライアル」に位置付けられ、勤続3か月で自動的に「職務①」に昇級する。その後は毎年10月に査定し、業務が達成できていれば1等級ずつ上げて時給に反映させている。1等級上がると、時給が10円アップする。

昇級するために、毎年上長と店長が本人と相談して目標を設定し、OJTで必要なスキルを習得させる。

パートナー評価制度(例)

例えば職務①から職務②-1に上がるためには、A~Cの項目を満たす必要がある。なお職種によって表の項目は異なる。

パートナーの技術を処遇に反映させるためのパートナー検定試験の実施

パートナーの技術を向上させ、適切に評価して処遇に反映するため、2014年度より商品作りについて技術審査制度を導入し、1~3級までの3段階を設定したパートナー検定試験を実施している。

受験者は、店長の推薦がある者が対象となる。本社で実施し、試験内容は実技と筆記である。試験は毎年各級2回ずつ、計6回実施している。

実技試験では、魚をさばくなど、担当する食品を実際に加工させ、該当する等級の技術を満たしているかどうか判断する。筆記試験は、1級~2級対象で食品衛生上の知識や担当商品の部位の名称等、食品そのものに関わる問題を出題する。店長から推薦されたパートナーは、店長や先輩からOJT指導を受けるとともに、支給されたiPadに搭載されている動画教材や検定マニュアルを使い、試験対策学習を行う。動画では魚や肉のさばき方、消毒方法等の具体的な作業手順が学べる。

試験合格者は等級に応じて時給が昇給し、3級は1,100円、2級は1,150円、1級は1,250円となる。これらの時給はパートナー評価制度の最上位のエキスパートの時給よりも高く設定されている。

現在のところ水産部門と畜産部門について試験を実施しているが、今後は惣菜部門と農産部門についても導入を検討している。

2014年~2015年度技術検定合格者実績

  受験者数(名) 合格者数(名)
畜産3級 39 27
畜産2級 8 4
水産3級 53 40
水産2級 16 4

※これまでのところ1級合格者はいない

部門が異なるが、レジ検定制度も導入しており、これについても1~3級までの等級がある。現在は3級までの運用がスタートしている。

正社員登用制度を導入し、面接を重視した試験を実施

2014年に正社員登用制度を導入した。年2回登用試験を実施し、合格者を正社員として登用している。

受験者はロングパートナーで、店長推薦を受けた者が対象となる。試験内容は適性検査(新卒採用と同じ内容)と、役員・人事3名によるグループ面接があり、役員が合否を決定する。合否判断には面接を重視しており、グループ面接では受験者5名前後に対して、これまでの仕事内容や今後の目標、将来の展望について問う。ショートパートナー及びモーニングパートナー、アルバイトから正社員に登用されるためには、まずロングパートナーになる必要があり、勤務時間をフルタイムにした上で、本人希望があり、店長承認があれば正社員への転換が可能である。

正社員に登用されると月給制になる。正社員の給与体系は職能資格制で、J1(高卒程度)、J2(短大卒程度)、J3(大卒程度)、J4(チーフ程度)と等級が上がっていく。正社員になると月例給与のほかに、賞与が支給されることにより年間給与総額が高くなるように設定している。

2014年度は27名を正社員登用し、2015年度は41名を正社員登用する見込みである。登用者の平均年齢は35~36歳で、男女比は半々程度であるが、そのうち女性は子育てが一段落した者が特に多い。

パートナーの正社員登用を推進するため、登用試験を年4回に増やす予定である。

パートナーを役職登用する、チーフ・リーダー登用制度を導入

これまで役職は正社員に限定していたが、2015年6月より店舗の部門責任者であるチーフやリーダーに、ショートパートナーも含めたパートナーを登用する、チーフ・リーダー登用制度を導入した。

本人の希望又は店長推薦を受けた者を対象に、運営部長(エリア統括役職者)・人事部が随時決定している。

登用者は店長が指導し、自部門の管理や教育等のマネジメント業務も担当する。登用者のうち、リーダーは65円、チーフは125円の時給アップとなる。2015年10月現在、パートナーから登用されたリーダーは4名、チーフは12名である。

パートナーを副店長に登用する、店舗管理職登用制度を導入

店舗の拡大に伴い、2014年12月より正社員に限られていた副店長職にショートパートナーも含めたパートナーを登用することとした。各エリアの運営部長が評価の高いパートナーに打診し、本人が希望すれば登用し、時給も役職者時給に変更される。2015年10月現在10名を副店長に登用し、うち5名は女性である。

これまでパートナーは賞与支給の対象外であったが、2015年下期より副店長以上には賞与を支給することとした。賞与の算出には、正社員と同じ評価フォーマットを使用し、次期に向けての数値目標や取組事項を記入させ、結果を店長がA~Eの5段階で評価する。

店舗管理マネージャー制度を導入

副店長とは別に、店舗管理マネージャーという役職を設け、店長や副店長が不在となる時間帯(早朝や深夜、閉店間際等)に配置することとした。現在は、正社員登用者のほかにパートナーも就いている。2015年10月現在、店舗管理マネージャーは63名おり、今後も強化していく予定である。主に60歳以上の他社退職後の高年齢人材をターゲットに考えており、「第二の働き口」としてアピールしていく。

パートナー個人も対象とした従業員表彰制度の整備

AEONグループの傘下となる前も表彰制度があったものの、表彰対象は店舗単位又は部門単位で、パートナー個人を表彰対象としていなかった。しかし、パートナーの働きを適正に評価し、主体的に業務に取り組んでもらうため、2013年より表彰制度を整備し、正社員、ショートとロングのパートナー個人も表彰の対象とすることにした。

運営部長と店長の推薦があり、店舗や部門の売上げに貢献した者や、際立った取組を行った者を表彰の対象としている。常務と部長級数名を委員長とした表彰委員会で審議され、毎年3月に受賞者を決定する。

2013年度には2部門、2014年度には1部門、2015年には1部門と個人1名のパートナーが受賞している。

受賞者は社内報や社内イントラネットに掲載されるほか、賞品として研修旅行を授与される。研修旅行は全額会社が費用負担し、出勤日扱いで関東近辺へ1泊のスーパーマーケット視察旅行を行う。

入社時研修やOJTの他、各店舗で行動規範にのっとった研修を実施

パートナーやアルバイトに対して、入社時研修や各部門におけるOJTのほか、「従業員行動規範研修」を年1回実施している。これは副店長が各店舗においてグループワーク形式で行うものであり、行動規範にのっとったテーマで実施している。また、パートナー検定試験の受験者に対しては、先輩社員が随時技術指導を行っている。各店舗の副店長に対してはリーダー研修を実施し、従業員指導について学ばせている。

社内報や各店舗支給のiPadにより、制度周知や人材育成を支援

2012年より毎月社内報を発行して全従業員に配布し、就業規則の変更や、キャリアアップ制度、会社の方針等を周知している。

また、2014年に各店舗にiPadを支給し、従業員の誰もが自由に社内制度を閲覧できるようにしている。iPadでは、検定試験対策としてビデオ授業(動画)や、「図書室」ページで検定用マニュアルが閲覧できるほか、各店舗の課題や会社の方針が共有できるようにしている。

このほかにも、各制度を「運用の手引書」に記載し、店舗で閲覧できるように保管している。

相談ホットラインの創設

2012年より、AEONグループと一体となり「イオン行動規範110番」を設け、雇用形態に関わらず匿名で相談ができるホットラインを開設した。

年間約50件の相談があり、その8割以上がパートナーからの相談であり、人間関係の問題が9割近くを占めている。相談があった場合は、匿名で調査をするなどの対応をとっている。イオン行動規範110番については、各職場にポスターを掲示して周知を図っている。

パートナーが主体となり、店舗改善・店舗運営に参画

店長よりもパートナーが地域の生活者であることが多いため、パートナーの意見を経営に反映させるために、2013年より「マイストア委員会」を各店舗に組織している。パートナーが主体となって店舗の改善について話し合い、地域の学校行事等のイベント情報を共有して、地域特性を反映した店舗運営を実施している。

好事例についてはAEONグループ全体で表彰されるが、「地元の祭りにどう参加するか」というテーマで新倉敷店がノミネートされたことがある。

パートナーの評価制度策定や販促チラシ作成にもパートナーが参画

業務の習熟度に応じて昇給する新パートナー制度を策定するに当たっては、社内に「パートナー制度構築専門委員会」を立ち上げた。委員会メンバーには、10名のパートナーが参画している。同委員会は各店舗のパートナーにヒアリング調査を行い、月2回の委員会内で各種制度に反映するよう活動し、マイストア委員会の導入や、従業員表彰制度の整備等に至った。

更に、販促チラシ作成にパートナーも参画し、パートナーが提案するレシピやメニュー、商品等を紹介するチラシを作成するなどして毎月店頭で配布している。

パートナー提案が掲載された販促チラシ

災害給付をパートナーやアルバイトにも適用

パートナーの就業規則を2014年に見直し、これまで正社員のみが対象であった災害付加給付をパートナーやアルバイトにも適用し、死亡時には500万円が支給されるようにした。

パートナーも対象として育児休業・介護休業を整備

育児休業・介護休業制度についてパートナーも対象に含めて整備している。2012年~2015年のパートナーの育児休業取得実績は51名で、2016年も4名が取得する予定である。育児休業については問い合わせ件数が多く、更なる周知徹底を図っていく。

社内報で雇用形態に関わらず育児中の従業員を取り上げるなどして両立を支援

2014年より育児と仕事の両立支援のため、社内報に「ワーキングママは行く!」というコーナーを設けた。雇用形態に関わらず育児中の社員を取り上げ、どのように両立しているかのレポートを掲載し、ワーク・ライフ・バランスへの取組を推進している。また、産休・育休者には、社内報と育児に関する制度説明や行政情報を添えた手紙を同封し、送付している。

ダイバーシティへの取組を続け、女性店長・副店長が増加

2013年より社内に「ダイバーシティ推進プロジェクト」を設置し、女性副店長を含めパートナーが毎月参加している。ここでは管理職の女性比率を2016年までに30%にすることを目標に、グループ他企業を招待する取組としての情報交換会、女性管理職研修「ダイ満足カレッジ」の実施の他、2015年3月には初の女性管理職研修会を開催するなど、様々な活動を行っている。

ダイバーシティ推進プロジェクトの各種取組が認められ、2015年10月「均等・両立推進企業表彰 均等推進企業部門『岡山労働局長優良賞』」を受賞、厚生労働省「仕事と育児・介護との両立支援のための取組」事例に選定された。

これら取組の結果、管理職になりたいと思う女性が増え、2013年9月時点は女性店長1名・副店長5名であったが、2015年9月時点で女性店長・副店長18名となった。パートナーの女性副店長は2015年10月現在、5名である。

4. 取組に当たって工夫した点・苦労した点

これまでは「長年勤務しても昇給しない」、「適切な評価を受けていない」といった不公平感がパートナーの中にあり、正当な評価を受けていないことが理由で業務に対する意欲が向上せず、定着率が悪かった。そこで、主体的に業務に取り組めるよう「パートナー制度構築専門委員会」を設置し、積極的にパートナーを経営に参画させることにした。

本社社員とパートナーとの接点がなく、パートナーが意見を出すことに不慣れで、要望を吸い上げることに苦労したが、2か月に1回開催されるブロック会議等を活用し、「自店の困り事」といった身近なテーマから意見を収集した。

パートナーから要望があり、今後検討しなければならない課題に、託児所の整備もある。同社はエリアが広く店舗数も多いため、経費の問題から今のところは実現できていない。

パートナーの数が多く、仕事内容や働き方も多様であるため、パートナーの昇給制度の中には実態に即していない点も出てきている。多様な働き方に対応できるよう、今後も制度の修正・追加を行う必要がある。

5. 取組の効果と今後の見通し

各種取組により、2011年度から比較して2014年度は求人応募数が10%程度増加した。

パートナーの店舗管理職への登用により、正社員役職者の残業時間に約20%の改善がみられた。登用されたパートナーも、責任ある業務を担当したことで責任感が増している。2015年10月現在、リーダー登用4名、チーフ登用12名となった。

また社内委員会等、積極的にパートナーを経営に参画させることで「自分達が主体的に制度を作った」という意識を持ち、制度を有効に活用していく効果が生じている。

今後も従業員の定着と活躍を促進するべく、各種制度整備の取組を続けたいと考えている。

従業員の声

自分達パートナーが主体となって作った新パートナー制度の周知を図りたい
(店舗勤務、デイリー部門、勤続21年)

1996年モーニングパートナーとして入社、その後ショートパートナーを経てロングパートナーとしてデイリー部門に勤務。

2013年、店長と運営部部長より新パートナー制度構築に参画するよう声が掛かり、策定メンバーに加わった。最初は半信半疑だったパートナー達も、周知活動を続けるうちに趣旨を理解し、積極的に制度作りに関わるようになった。

今後は、新制度の周知が課題であるため、労働組合等でも制度を説明し、人事部を通じて全従業員に理解してもらえるよう周知を図りたい。

現場の業務においては、後輩に基本から技術を継承していくことが自分の務めだと思うため、後輩の指導に注力していきたい。


いずれは正社員転換して後輩パートナーの手本となりたい
(店舗勤務、農産部門、勤続15年)

2000年、ロングパートナーとして入社し、現在農産部門に勤務。2013年、新パートナー制度構築に参画。

AEONグループ提携前は、パートナーに対する評価が不透明で、店舗によるばらつきもあり、業務に対する意欲が低下しているパートナーを多く見た。

新パートナー制度を構築したことで、パートナー達の中に努力すれば給与アップにつながるという意識や、パートナー自身が会社の制度を改善できるという意識が芽生えしてきたと感じている。その結果、チーフやリーダーへの登用者数、女性パートナーの副店長数が増え、若いパートナーの中には彼らを目指したいと目標を持つ者も出てきた。

新制度の運用は始まったばかりなので、これに対する評価はまだ出ておらず、今後改善すべき点も出てくるとは思うが、店舗等で説明する際には、「本制度はパートナー自身で改善できる制度である」と伝えている。話し合いを続けて、より良い制度にしていきたい。新制度構築に携わったからには、後輩の手本となるべく引き続き努力したい。

今後は正社員登用を目指し、上位を目指してがんばりたいと考えている。

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