ここから本文です

エイベックス株式会社

平成27年度パートタイム労働者活躍推進企業表彰受賞企業事例集より

平成27年度「パートタイム労働者活躍推進企業表彰」
奨励賞(雇用均等・児童家庭局長奨励賞)

パートタイム労働者に対して計画的な教育訓練を実施し、各種表彰制度の対象とする。社長報告会等を通じて経営目標を共有し、正社員転換も導入

2.賃金・労働時間
3.教育訓練等の能力開発
4.人事評価
5.キャリアアップ・
正社員転換推進措置
6.福利厚生・安全衛生
7.ワーク・ライフ・バランス
8.職場のコミュニケーション等
所在地 愛知県 業種 製造業
従業員数 361名 パート労働者数 54名
事業概要 自動車関連部品を中心として、建設機械部品及びミシン部品の開発製造
ポイント
  • 正社員と同様に情報を共有し、会社方針や目標を理解させる取組。
  • 正社員と同じ導入訓練、入社1年未満社員対象の研修を受講させ、基礎知識と基本スキルを習得させる。
  • 半期に1回面談を実施し、個人目標と進捗状況を管理。
  • 育児や介護との両立を支援する諸制度を適用。
  • 業務に対する取組意欲が高いパートタイム労働者は、契約社員を経て正社員に転換。
  • 正社員と同様に表彰対象とする。
  • 改善提案活動やアンケートを通じてコミュニケーションを促進。

審査委員はここを評価

パートタイム労働者に対しても、初日の導入教育を1日かけて実施し、会社をまずは知ってもらった上、アンケートを実施したり、質問を受ける体制を整えられた結果、会社が目指す働き方に繋がっています。

1. 企業概要・人員構造

1949年に創業し、ミシン部品で積み上げた切削・研削加工技術を活かして、1960年代から自動車部品事業に参入し、オートマチック・トランスミッション用バルブを始めとするエンジンやブレーキの部品や建設機械部品を製造している。業界全体では生産拠点の海外移転が進む中、同社では2004年に新工場を稼働するなど、国内で事業を発展させている。

リーマンショック以降の経営環境は厳しかったが、全社一丸となって乗り越えた経験から、改めて人材の重要性を認識し「一生働ける会社」と「一生働きたい風土」の実現を目指している。詳細は後述するが、パートに対して計画的な教育訓練を実施し正社員転換を推進するほか、女性社員活躍推進の取組(2015年10月現在の女性管理職比率15.7%)、障害者雇用目標値3.0%の取組(2015年10月現在は1.7%)、多能工化戦略推進等を実施している。

雇用区分は正社員、契約社員、パートの3区分である。正社員の勤務時間は8時間で、工場勤務の場合は二交替制、事務職の一部も現場に合わせて時差出勤をしている。

パートは1日の所定労働時間が8時間の「フルタイムパート」と、4~8時間未満の「短時間パート」があり、勤務時間は本人の希望を反映している。ほとんど全ての部署にパートが配置されており、外観検査等の業務を担当している。他拠点への異動や、昇給、賞与の支給はないが、育児・介護休業は利用できる。

契約社員はフルタイム勤務で、パートよりも責任が重い、又は難易度の高い仕事に従事している。

パートや契約社員は原則1年契約であるが、これまで契約更新を行わなかった実績はなく、本人が希望する限り契約を継続している。

正社員の定年は60歳であるが、60歳以降の希望者はパートとして継続雇用している。2015年10月時点の最高年齢は78歳男性社員で、指導的な役割を担っている。

パートや契約社員にも60歳定年制を適用しているが、本人の希望があれば60歳以降も継続雇用している。

2. 取組の背景とねらい

同社の理念は「良品を生産すること」と「社会に役に立つ企業として努力すること」であり、そのためには全社一丸となり、「明るい人間関係」「協調性」「感謝報恩」の中でモノづくりに邁進できるよう取り組んでいる。

パートに対しても、職場の業務を通じて生きがいとやりがいを感じてもらい、長期的に安心して働いてもらうために、表彰制度や正社員転換、情報共有、教育訓練、育児・介護と仕事の両立支援等の各種仕組みを導入している。

3. パートタイム労働者の活躍推進のための具体的な取組

全社員に対して、入社初日の導入教育と全社共育デーで研修させる

入社時には、雇用形態に関わらず導入教育を実施する。2011年より制度化した導入教育は、先輩社員が講師となって会社概要、就業規則、品質、安全等の基礎知識を教えるもので、工場内で安全に働いてもらうために、対象者が1名であっても入社初日に必ず実施している。終了後には理解度テストとともにアンケートを実施し、疑問点等を質問できる仕組みとしている。理解度テストは講師が採点、コメントを記入し、受講者に返却する。また、導入教育時に、不安や悩みごと等については総務経理部門まで連絡するように口頭で伝えている。

この他に年3回、入社1年未満の社員を対象とした「全社共育デー」を開催している。役員や先輩社員が講師となり、3つのテーマに分けて座学又は実技の研修を実施している。

テーマは、①企業理念、就業規則、原価の仕組み、②KYT(危険予知トレーニング)、2S(整理、整頓)、③自社・顧客紹介、図面読解、切削・研削技術、となっている。

本人の希望又は上司推薦により、希望のテーマを決定する。③については専門性が高い内容のため、パートは希望者のみ受講することとしている。

全社共育デーでは毎回振り返りのテストも実施し、総務部が採点後、上長が内容確認とコメントを記載して本人に返却する。パートに対しては①のうち企業理念、就業規則、②のうち2S(整理、整頓)についてのみ振り返りテストを実施している。振り返りテストにおいてはストレスチェックも行っている。

なお同社では、講師となる社員も指導を通じた学びがあるとして、「教育」ではなく「共育」と呼んでいる。

全社共育デーは、全社員を対象に2002年に導入した研修制度であったが、参加も研修内容も広範で非効率的だったため、2014年から対象を入社1年未満の者とし、内容を絞って実施することにした。入社2年目以降の社員のスキルアップには、新たな研修機会を設けるべく、2015年11月に全社一斉職場技能アップ共育を開催予定である。

全社共育デースケジュール(イメージ)

会社負担で各種資格取得を支援し、外部講師を招聘した社内講習も実施

雇用形態に関わらず資格取得を支援しており、QC検定、国家技能検定、TOEIC等の業務上必要な資格については、受験費用を会社負担として勤務扱いで受験が可能である。

また外部講師を招いて社内で英会話講習(基礎~中級レベル)を実施している。就業後の17時に開始するが、2014年度には女性パート1名が受講した。

社内講習を新設した時は、社内イントラネットや工場内の掲示板で周知を図り、希望があれば誰でも受講することができる。

ステップアップシートと年2回の面談で評価を実施

正社員以外の従業員は、ステップアップシートを用いて目標管理を実施している。半期ごとの全社目標を基に各部署は業務推進書を作成するが、従業員はそれらを基に各自の目標とテーマを立て、ステップアップシートに記入する。半期ごとに振り返り自己評価を記入し、面談で上長と内容を確認する。上長が評価を記入後、人事に提出し、最終的には社長にも回覧する。

ステップアップシート(イメージ)

正社員については年2回の評価結果を賞与に反映しているが、パートについては、ステップアップシートを振り返りながら技能向上を奨励するなどの個別指導を行っているものの、処遇への反映はない。同社は共同作業を重視した製造業であるため、個別の能力評価を実施するよりも、主にチームを表彰対象としている(後述)。

年2回の経営指針発表会で各種チーム表彰を実施

同社では全社員を対象とした各種表彰制度を備えており、年2回の経営指針発表会にて表彰を行っている。

部署内のチーム単位(4~7名)での表彰が多く、特にQCD(品質・原価・納期)の観点から多数、表彰を実施している。2013年度は「顧客流出不良ゼロ件賞」として、社員4名とパート25名のチームが表彰されたほか、「顧客流出不良半減賞」「原価低減賞」「顧客納入遅延ゼロ件賞」でパートを含めたチームが表彰された。

個人単位の表彰としては、「MVP」と「ヒヤリハット優秀提案」があり、2013年度MVP受賞者6名中1名がパートで、ヒヤリハット優秀提案受賞者4名中1名がパートであった。MVPはチーム内でアンケート投票を行い選出しているが、2013年度のMVP受賞のパートはあいさつや清掃等を実践していること、頼みごとを気持ち良く引き受けてくれたこと等が評価され受賞した。

また、雇用形態に関わらず勤続表彰も実施しており、2013年度はパート3名が10年勤続表彰を受賞した。各賞受賞者には副賞として商品券を支給している。

社内で刀具研磨競技会と2S+清掃コンテストを実施し、表彰

切削・研削技術を向上させるために、社内で刃具研磨競技会を実施している。雇用形態に関わらず希望があれば誰でも出場できる。勤務時間外ではあるが、出場者に対しては先輩社員が部署を横断し個別に技術指導をする。競技会において上位に入賞した者に対しては、経営指針発表会で表彰を行う。正社員転換を果たしたパート出身者が契約社員時代に参加した実績がある。

また2014年6月から「2S+清掃」コンテストを実施し、これも優秀事例は経営指針発表会で表彰している。2014年度は制服の収納方法について提案したパートを表彰した。改善提案に対しては必ず該当部署より回答し、職場責任者にも伝え、PDCAサイクルを実施している。

契約社員を経て正社員に転換可能

同社では、契約社員及びパートの正社員転換について、就業規則で明記し、これを積極的に推進している。就業規則では、正社員転換への条件は、

  1. 心身ともに健康であり、職務に対する意欲がある者
  2. 過去6か月間の人事考課がB等級以上にある者
  3. 正規従業員と同様の働き方及び転居を伴う異動が可能な者
  4. 所属長の推薦する者

の4点である。なお、就業規則には明記されていないが、実際には、正社員転換希望者がパートだった場合、まず上長が職場推薦書を提出し契約社員に転換させる。契約社員として、6か月間の個別目標(機械操作、商品理解等)を設定し、機械操作等の技能を学ばせる。一旦、3か月後に約30分間の中間報告面談を実施し、社長と上長、本人で目標達成度合いを確認。6か月後に技能が目標とする一定レベルに達したと上長及び社長が認めた場合、正社員に転換させている。6か月の技能習得期間は、所属する職場だけでなく、他部署の協力も仰いで各種技能を学ばせている。なお目標未達成の場合でも、本人が希望すれば契約社員として6か月後に再チャレンジすることができる。再度チャレンジする意思がない場合はパートに戻している。

正社員転換は随時申し出を受け付けており、転換時期は毎月1日となっている。

2014年度と2015年度に各2名を正社員に転換させた。現在も正社員を目指して訓練中の契約社員がおり、今後も転換者の増加が見込まれる。

パートからの正社員転換者は、パートの担当業務や人間関係についても理解が深く、職場からの人材ニーズは高い。今後もパートから正社員への転換を積極的に推進していきたいと考えている。

会社情報共有のため、毎朝・毎月・年2回各種取組を実施

雇用形態に関わらず全社員が会社の一員として参画意識を持てるよう、事業目標や経営情報の共有化を図っている。

具体的には、年2回の経営指針発表会や毎月の社長報告会、毎日の朝礼を通じて会社情報を共有しており、経営指針発表会では終了後アンケートを実施することで、理解を促進している。社員から意見があった場合には必ず回答をしている。

経営指針発表会では、半期ごとの事業目標を説明し、各種表彰も実施する。毎月の社長報告会では、前月の実績、今月の目標、今後の計画について社員に説明している。そして各職場の朝礼では、連絡事項と当日の動き、翌日以降の重要案件を伝え、情報共有できる仕組みとしている。

就業規則から行事予定や連絡事項まで、社内イントラネット上に掲載し、職場に設置したPCで誰でも閲覧することができる。PCを見る機会の少ない職場もあるため、各職場の掲示板にも情報を掲示するほか、経営理念や目標は会議室にも掲示している。

2011年からは社内報を毎月発行し、全社員に配布している。

パートに対しても、育児・介護と仕事の両立を支援

介護や育児と仕事の両立を支援するために休業制度を整備しており、これまでフルタイムパート3名、短時間パート1名が育児休業を、フルタイムパート1名、短時間パート1名が介護休業を取得した実績がある。休業制度については社内報や社内イントラネットで周知し、実績を報告している。

また、育児休暇より復帰する社員にヒアリングを実施したところ、育児中は長時間勤務が難しいことが分かった。そのため子どもの小学校入学まで利用できる短時間勤務制度を設けたところ、2013年度にパート2名、2015年にパート3名が利用した。短時間パートも同制度を利用できるが、2013年度及び2015年度はフルタイムパートの利用のみとなっている。

短時間勤務については個別の事情によって状況が異なるため、社員の声を反映して6時間勤務又は7時間勤務を選択できるように柔軟に運用している。

書籍購入補助制度を導入し、自己啓発を支援

自己啓発のため書籍購入補助制度を導入しており、事前に上司に申告し、承認を得た書籍を対象に月2,000円を上限とし補助している。同制度については就業規則にも明記し周知している。これまでのところ平均月10件程度の利用数で、パートは1件の利用実績がある。

毎年家族会を実施し、社員家族とコミュニケーションを図る

毎年秋に家族会を開催し、全社員及びその家族、新卒採用内定者とその家族を招待し、工場見学、職場見学、懇親会を実施している。若手社員は会社での悩みを両親に相談することが多いため、子どもを安心して任せられる職場だと理解してもらうことが離職防止に有効であると考えている。

2014年度の家族会には、社員40名とその家族が参加した。2014年度には2名の短時間パートが参加し、職場に対する家族の理解が深まった。家族会参加を経て、当該2名は正社員を目指すこととなり、現在は契約社員として正社員転換に向けて励んでいる。

相談窓口を設置し、社内イントラネットやアンケートで周知を図る

2015年度より相談窓口を新設し、部署内で困ったことや悩みがあったら相談するよう、掲示板や社内報、社内イントラネットや各種アンケートへの記載を通じて社員に周知している。

人間関係の相談を持ちかけられることもあり、相談窓口を所轄する総務経理部門が適宜対応している。相談した社員には対応状況を伝え、すぐに対処ができない場合でも、その理由と以降の対応予定を知らせている。

4. 取組に当たって工夫した点・苦労した点

同社では、入社1年未満の離職率が60%と高く、離職理由は「将来像が描けない」、「やりがいを感じられない」という内容が多かった。それまで新人教育は各職場の業務であったが、現場は繁忙で新人育成に時間を割く余裕がなかった。十分な教育を受けずに業務に就くため、何を目的とした業務であるかを理解できないまま作業し、不安が高じて離職するケースが多いと考え、見直しを図ることとなった。

まずは研修プログラムを見直し、2011年より導入教育を制度化した。更に全社共育デーの整備で入社1年未満の社員への指導機会を増やし、不安の除去と主体的な業務意欲の向上を図った。

また雇用形態に関わらず、社員が働きやすさとやりがいを感じることが技能向上と主体性ある働き方につながると考え、「一生働ける職場作り」と「一生働きたい風土作り」を目指した。パートに対しても、経営指針発表会や社長報告会を通じて経営情報を共有した。また表彰制度等、目標を示す取組を実施することで、やりがいを感じてもらい、主体的に業務に取り組んでもらうように努めている。

5. 取組の効果と今後の見通し

種々の取組を実施し、2012年に愛知県ファミリー・フレンドリー企業に登録したところ、2014年度には中堅企業の部で表彰を受けた。2015年10月には、三重県「男女がいきいきと働ける企業」にも桑名市の多度工場が認定された。

また、2011年に導入教育を実施してからは、2012年度には15%だった離職率も、2014年度には7%に、2015年度秋までに5%程度に低下している。入社初日に、入社した人数が1名であってもほぼ1日をかけて先輩社員が指導することにより、職場の一員であるという意識が芽生えている。

育児が一段落した女性パートには業務に主体的に取り組む者が多く、パートから正社員に転換した者もパートの担当業務や立場に理解があるため、指導的な立場として活躍している。今後も正社員転換を推進し、優秀な人材に活躍してもらいたいと考えている。引き続き社員の声を反映して働きやすい職場環境を整備していきたい。

従業員の声

正社員転換を目指し、契約社員として修業中。いずれは管理職を目指したい
(工場勤務、検査業務、勤続4年)

2013年に入社し、多度工場で検査業務に従事している。未経験の業務だったが、先輩の指導を受け難易度の低い作業から担当した。最初は肉眼での検査を担当し、肉体的な負担があったが徐々に慣れた。検査器具の使い方を学び、別の部品の検査も担当できるようになり、現在は拡大鏡を使った検査をしている。人間関係は良好で働きやすい職場である。

新しく検査業務に就く者を指導する機会も増え、不良品を即座に見つける方法や、不良限度の見分け方を指導している。

2年前に正社員を目指さないかと社長に勧められたが、子どもが小さかったためその時点では断った。育児が一段落した現在、配偶者の応援もあり、正社員を目指して契約社員に転換することとした。中間面談では未熟な点を社長から指摘されたが、2016年1月に転換することを目指し、努力しているところである。

まずは正社員転換を果たし、技能の向上と、お客様に満足していただける高品質な製品作りを続けていきたい。将来、管理職を目指す機会があればぜひ挑戦してみたいと考えている。

一覧へ戻る